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第66話 鬼

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本日は2話更新。

今回は話の内容が少しえぐいです。

 イラッ。


 何が邪悪なる魔族を倒すためだ。


 ふざけやがって。


 無力な高校生ごときがちょっとチート貰ったからってイキりやがって。


 まあ俺も無力な高校生だったんだが。


 っと、待てよ?


 あいつは今俺たちに懸かっている幻術の魔道具を見破ったのか?


 あれは魔王様自らが作ってくれたという魔道具だ。


 流石勇者と言ったところか。


 とにかく!


 俺もあいつも同じ日本からの転生者なのにこの力の差はなんなんだ!


 むかつくぜ。


「勇者……」


「嘘だろ……!?」


 2人も勇者の強さが具体的に分かったわけじゃないだろうが、その強さは魔王軍の中でも有名なようで恐れおののいている。


 確かにこの状況じゃ全滅必至だよな。


 この勇者はディランよりも現状では弱いが、今回の戦闘とディランの時の戦闘を比べると今回の戦闘の方が厳しいものになるだろう。


 何故ならディランはあの時本気で俺たちと戦っていなかったからだ。


 あいつを俺はさんざん挑発したが、あいつは俺を本気で殺しに来なかった。


 いや、本気ではあったが全力を出さなかったというべきか。


 ともかくあいつはなんの意図があってかスキルを全く使用しなかった。


 だがこの勇者はディランと違いスキルをガンガン使ってくるだろう。


 それに加護の効能もよく分かっていない。


「来ないのか? ならばこちらから行かせてもらう」


 俺たちが警戒して攻撃しないのを見て勇者が攻めかかってくる。


 ミアちゃんとキースは逃げだす。


 こいつは確かに強い。


 だがたった1つこいつには致命的な弱点がある。


 俺はさっき浮けた傷により条件を満たした逃げのスキルを使い、素早さを10倍まで引き上げて勇者に立ち向かう。


「リューン?」


 勇者は持っている大剣を使い俺を斬りつけようとする。


 俺は逃げのスキルにより何とかこれを避けると勇者に待ったと手で合図するようにして……。


「イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、日本」


 咄嗟に有名な地球の国を5つほど上げる。


「え?」


 勇者は俺の思惑通り立ち止まる。


「今だ逃げろ!」


 俺は出せる限りの大声を出してミアちゃんとキースに向かって叫ぶ。


 キースは3秒ほど悔しそうな表情で立ち止まっていたがすぐにミアちゃんを連れて屋敷を出た。


「ど、どういう……?」


 勇者は俺の言葉の意味が理解できなかったようでいまだに混乱している様子だ。


「どうもこうもない。俺は日本人だってことさ。こんな姿になってしまったが元は君と同じ日本人なのさ。助けてくれ。俺は本当は魔王軍になんかいたくないのにあいつらに脅されて魔王軍で働かされているんだ。頼むよ、俺を助けてくれ」


 俺はここがチャンスとばかりにできる限りの演技を見せる。


 俺は何とか無理やり涙を流そうとする。


 でもそれは流石に無理だった。


「そ、そんな……。だが地球の国の名前を5つも知っているなんてあり得ない。やっぱり本当に……」


 勇者は混乱している。


 警戒心が薄くなり混乱している今ならいける!


 俺は勇者に少しづつ歩み寄る。


 そして肩を叩いて……。


「分かっただろう? なぁ、頼むよ……」


 俺はさらに悲痛な声音で言う。


「分かった。そういうことなら。大丈夫だ。俺は勇者。いくら君が魔族の見た目をしてたって絶対に助けるよ」


 そういって勇者は剣を捨てて俺の背中に手を回して……。


「グハッ! グゥ……。……!?」


 勇者は血を吐いて崩れ落ちた。


 勇者の喉と胸からは俺の爪が生えていた。


 俺は爪を引き抜いて、ローブに大量の血を吐いたこの勇者を情け容赦なく蹴りつけて転がす。


「悪い。日本人なのは本当だけど、お前に助けてもらおうなんて微塵も思ってないんだわ」


 そうして蹴飛ばした勇者のもとへ歩き出す。


 そうすると1人の屋敷の警備員らしき人間と目が合った。


 やば。


「ひ、ひぃっ!」


 警備員は悲鳴を上げて俺に背を向けた。


 また敵に会って、面倒くさいなと思ったが、勇者を殺すほどのやつに戦いを挑もうとなんてするわけないか。


 勇者はすでに死んでいると思うが、異世界だし、一応蘇生魔法とかもあるかもしれないので首を胴体から切り離し、心臓部も滅茶苦茶に引き裂く。


「ふぅ、こんだけぐちゃぐちゃで体が原型を留めていなければ蘇生魔法があっても生き返らせるのは無理だろう」


 俺は首をもって屋敷を出る。


 敵を討ち取った時に褒章を貰おうと思ったら首を持ち帰らなければならないのだ。


 

 この日、俺は真の意味で人間をやめた。

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