第65話 勇者
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10万文字到達。
明日完結『予定』。
「よし、それじゃあほんの少し隙間を開けるからミアちゃんが初級移動で様子を見てきてくれないか?」
俺は階段の出口にたどり着いたところでミアちゃんにそう頼む。
これではミアちゃんにリスクを押し付けるようなものだが、これは別に自分の身可愛さに取った行動ではなく、全員が一番安全に帰還できる方法を考えただけである。
全員でゆっくりこの狭い穴から出て、その状態でもし誰かにバレたら戦闘態勢に入るのがかなり遅れてしまい非常に危険だ。
そのため初級移動を持っていてすぐに出口から出ることのできるミアちゃんが先に行くのは必要なことなのである。
酷使してごめんとは思ってるから許してねテヘペロ。
口に出したらきもいと一蹴されそうだからもちろん言わない。
それにミアちゃんは説明しなくてもやってくれる優しい人だから……だと思いたい……。
まあ本当は俺の言った意味を理解しているからだと思うが。
「分かりました」
ミアちゃんはそう言うがいなや一瞬で消える。
消えてはいないし本当はすぐそこにいると思うが、この蓋からの細い隙間じゃ屋敷内の状況が全く分からない。
しかしそんな静寂が10秒ほど続き、そろそろ地下から出ようとキースと無言でアイコンタクトを取ったその時。
「ん? 何者だ貴様。この屋敷の者じゃないな?」
なんだろう、これは警備員か?
こんな時に見つかるとは厄介な。
せっかく作戦もフィニッシュというところだったのに。
まあわざわざ倒す必要はない。
戦闘しながらスキを見つけて逃げ出すか。
そんなことを考えているうちに何やら地下の外から大きな物音が聞こえだす。
どうやら戦闘が始まったようだ。
とにかく何にせよ早くしなくては人が集まってきて厄介だ。
さっさと出るか。
俺は再びキースとアイコンタクトを取り、地下から出ると素早く周囲を確認してミアちゃんを見つける。
「新手か?」
そう言葉を発したのはミアちゃんと戦闘をしている1人の男。
黒髪黒目のフルプレートか。
持っている大剣はたいそうな装飾が施されている。
これはまさか日本から来た転生勇者とかでは?
すこし嫌な予感が頭をよぎるも、別に俺は日本からの転生者を探しているわけでもないし、今の生活に満足している。
リスクをとってまでこいつと話をしてみるよりもさっさとここを切り抜けて魔王軍で信頼を高めていった方がいいに決まってる。
俺は勇者らしき人物の言葉を無視して『覗き』スキルを発動しながら勇者に情け容赦なく襲い掛かる。
素早く背後に回りうなじを爪で抉るように……!
今の俺に躊躇はない同郷とはいえ今の俺には障害以外の何物でもない。
人殺しは既にやっている。
しかし俺の攻撃は簡単にいなされて反撃をされる。
俺はこれをなんとか躱そうとするも躱しきれず腕に浅くない傷が入る。
「ぐっ」
いてぇ、いてぇよ。
俺は慌てて飛び退き、キースの背後に回ると初級回復を幾度も使用しながら覗きを使った時に見えたステータスを確認する。
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ステータス
種族:人
職業:勇者
名前:羽田 光星
年齢:16
Level:122
HP:12200/12200
MP:1220/1220
攻撃力:1220
防御力:1220
知力:1220
素早さ:1220
スキル:『鑑定(0)★EX』『アイテムボックス無限(0)★EX』『オールスキル(20)★100』『覇王斬撃(50)★55』
加護:創造神の加護 覇王の加護 勇者の加護 異世界神の加護
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うわー、クソみたいなチートっぷりじゃねぇか。
俺とはえらい違いだな、おい。
基礎ステータスはディランより圧倒的に上。
レベルがディランと同じぐらいあったら全く化け物だ。
加護は4つも持ってるしスキルも異世界テンプレ必須の「鑑定」に「アイテムボックス」他にもオールスキルってなんだよ。
覇王斬撃ってのもチート臭がぷんぷんする。
俺がこの日本人高校生と思われるこいつの溢れる主人公感に嫉妬していると、その嫉妬の対象が言葉を発する。
「俺は異世界より来た勇者の『羽田 光星』だ! 邪悪なる魔族よ。覚悟しろ」




