第64話 金銀財宝
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書き溜めが出来たり尽きたり……。
あの後俺たちは街の中にオーガを解き放ち、オーガの行方を目で追いながら再び屋敷に潜入した。
オーガは屋敷に何度か体当たりをかました後、飽きたのか民家の蹂躙を始めてしまった。
オーガが屋敷を破壊してくれたおかげで屋敷の中を覗いてみたところ見張りは全員いなくなった。
やれやれ、これが人為的なものであるなど露知らず慌てちゃって。
「よし、全て俺たちの目論見通りに行ったようだな。さて、落ち着かないうちに畳みかけるぞ」
俺がそういうとミアちゃんは言わなくても分かるといった様子で初級移動スキルで中に侵入して窓を開けてくれた。
おお、察しがいい。
そういうところも好き。
なーんてことは言ってる暇はないので俺もさっさと侵入する。
キースも無言で真剣な表情で俺の後についてくる。
屋敷の外から確認したがそれではまだ安全とは言えないので、俺は2人を手で制して曲がり角からこっそりと様子を伺う。
だがしかし壊れた屋敷の左側に皆集まっているようで正面はがら空きになっていた。
俺はこれ幸いと2人に「来て大丈夫だ」と合図して急いで階段裏に向かう。
魔族の身体能力の高さも相まって10mほどあった距離を1秒で移動して誰にも気が付かれることなく階段裏に到着する。
2人の動きにも何の問題もなかった。
さて、宝物庫への入り口はだいたい階段裏にあるのではないかという根拠のない偏見から来てしまったが、果たして本当に……。
って、あからさまに地面がおかしくなってる場所があるじゃなく位ですかヤダー。
「これは間違いなく宝物庫への入り口ですね」
ミアちゃんが静かにそう言って地下会談へ続く蓋を開けてくれる。
そこには俺たちの予想通り地下室へ続く階段が姿を現した。
俺は蓋を戻して最後に階段を降りる。
「うおっ、蓋を閉めると暗いな」
キースがそう呟く。
確かにその通りだ。
これじゃあ足を踏み外してしまいそうだ。
「今初級光魔法で明かりをつけてあげますよ。ほら」
ミアちゃんはそう言って明かりをつけてくれる。
マジ有能。
階段を降りるとそこにはまさに盗賊がため込んだお宝のように貴金属や宝石、それに魔道具が山積みになっていた。
こういうのは綺麗に整えてあるかと思ったけど意外と違うのね。
まあこれはこれでロマンがあるけど。
「なぁ、しかしどうするんだ? 俺たち袋なんて持ってきてないしこんな細々としたものを大量には持って帰れないぞ?」
あ、忘れてた。
「いや、でもこっちにちょうど袋みたいなのがありますよ」
ミアちゃんの声に、困っていた俺とキースはすぐに振り向く。
ミアちゃんの持っていたのは少しボロい布袋だった。
「うーん、袋があったのはありがたいんだけどこんな汚い袋がなんでこんなところにあるんだ? 明らかに場違いだろ。まさか俺たちみたいなやつのために用意していましたなんて馬鹿げた話があるわけないし……」
思わず俺とミアちゃんはキースの冗談に笑ってしまう。
だが最後の冗談は置いておいて全くキースの言う通りだった。
だが俺は突如この袋の正体がひらめく。
「分かった! こいつは恐らく……」
俺はミアちゃんから袋を貰い中に貴金属やら宝石やらを詰め込んでいく。
すると貴金属や宝石は際限なく入っていった。
「は? どうなってんだ? 大きさ的に絶対おかしいだろ」
キースはあり得ない現象にツッコミの声を上げる。
キャラが違うぞ。
「うん、その通り。こいつはきっとマジックバックってやつじゃないかな?」
「なるほど。そういえば聞いたことがある。人間の街にあるダンジョンからは古代文明の高度な技術で作られた魔道具が入手できるって。その袋も見た目は小汚い袋だが魔道具ってわけか」
小汚い袋って……。
まあ間違っちゃいないが。
「それなら私も聞いたことがあります。でも常識が欠けているあなたがよくそんなことを知っていましたね」
いや、日本のラノベ知識による推測なんだけどね。
まあ褒められて悪い気はしない。
いや、落ち着け。
若干辛辣な言葉が一部入っていたぞ。
「まあ、たまたまだよ。ハハハ」
とりあえず誤魔化したがこれだけじゃ怪しまれるだけだ。
ずっとここにいても仕方ないしありったけの財宝や魔道具をこのマジックバックに詰め込んでさっさと出るか。
俺たちは無言でひたすら財宝やらをマジックバックに詰めていく。
「お、綺麗に全部は入っちゃったな。ほんと同仕組みんだ?」
魔法なんて意味わからんものがある世界で仕組みなんか気にしても仕方がないと思うが。
まあともかく目的は達成したし……。
「帰るか!」
「「おう」」




