第63話 化け物運送
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昨日は3000文字以上書いたのに300文字しか消えませんでした。
「あの魔物は!?」
俺は予期せぬ魔物を襲来に驚き思わず大きな声を上げてしまう。
今まで遭遇しなかったというだけでこんなにも油断してしまった自分が恥ずかしい。
「あれはアークオーガですよ。ちょっと流石にこれは勝てないですよ」
オーガって完全にやばい奴じゃねぇか。
俺の固有スキルも全滅だ。
詐欺は頭のいい生物にしか通用しないし、逃げは使えるが敵意ある生物から攻撃を受けないと発動できない。
あんな化け物に攻撃を受けたらかすり傷じゃすまないし上手く傷を調整することもできない。
そもそもそんな高等テクニックがあったら普通に倒せるだろう。
覗きは戦闘スキルじゃないし煽りは詐欺と同様の理由で不可。
となれば……。
「逃げるぞ!」
俺は危機を悟って一目散に逃げだす。
とりあえずこのまま街にこの化け物を連れてくれば大暴れしたうえで遅れてやってきた高位冒険者たちに討伐されるだろう。
考えてみればこれはピンチじゃなくてチャンスだったな。
フハハ。
「おお、考えてみるとこれはピンチじゃなくてチャンスだったな。幸い奴は力が強く当たればワンパンの可能性が高いがのろまだ。こいつを街に引き連れて帰れば街は一瞬で混乱の渦に落とされることになる。男爵家の人間も屋敷の近くにモンスター登場なんて言ったら混乱するにきまってる。そこを盗みに入れば簡単に事が済むな」
おお、キースも気が付いたか。
「チャンスじゃなくてピンチだよ!」じゃなくて「ピンチじゃなくてチャンスだよ!」だな。
「最低ですね……と言いたいところですが相手が人類なので今回ばかりは褒めるとしましょう」
おお、ミアちゃんがなんと俺を褒めてくれるだと!?
この子はどれだけ人類を嫌っているんだろうか。
魔族になってしまった俺だが元々人間の俺には全く分からん。
まあこっちの世界では魔族は迫害の対象だっていうし、当たり前のことだな。
「にしてもこいつは本当に動きが遅いな。全力で走って俺あっちが歩いてる速度と同じぐらいなんだから相当だぜ。最初はビビったがビビる必要性なかったな」
まあだからと言って今更やっぱり戦おうなんて気は微塵も起こらない。
わずかとはいえ死のリスクがあるのだからやはり挑むのはおかしいだろう。
ここは今のように10mほどの距離を開けてあいつを街に連れ帰るのが最善だ。
にしても元は同族だった人類に向かってこんな残虐なことを出来る自分が怖いな。
こいつを連れ帰れば民家に沢山の被害が出るだろうに。
ま、すでに戦争で人殺しなんてしちゃってるんだから今更か。
地球でこれと同じことをやろうとしたら恐らくできないだろうけどこっちの世界ではこんなことも簡単にできてしまう。
これが環境に適応したということだろうか。
いや、俺がキチガイなだけかもな。
もしかしたら神様は俺がそういう残虐な行いができる人間だと思ってこっちの世界に連れてきたのかもしれない。
いや、何の力も持たない俺がこの世界に来ても大した変化は起こせない。
やはり神の気まぐれや娯楽みたいなノリだろうか。
神の真意は俺ごときには計れない。
だが、一つ言えることは神の気まぐれだろうがお遊びだろうが、俺の理想とは違うけどなんだかんだで楽しい異世界に転生させてくれて感謝しているということだ。
今、自分が楽しいんだから、俺を神が道具やおもちゃとして見てたっていい。
「それ、街で大暴れしやがれ!」
そうして俺たちはアークオーガを街に解き放ち、男爵家の屋敷に再び潜入した。




