第56話 貴族屋敷
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「ここが目的の場所、魔導大国マーズの男爵家のリフォナ家の屋敷か。でかいねー」
いや、確かにでかいんだけどうちの魔王城に比べると小さいよな。
「いや、そうですか? かなり小さいと思いますけど。……所詮男爵家ですし」
ミアちゃん、それな。
「ま、感想はいいから侵入ルートを探ろうぜ」
「お、おう……」
俺の一言でキースは少し真剣な表情に変わり屋敷の周りを遠距離からうろつき始める。
うん、流石にキースとは言え屋敷のすぐ近くに行ってたりはしないよね。
しかし意外と人気もある。
外壁が特別高いわけでもないがあれを人の目につかないように登るのはきついな。
「リューン、やっぱり正面から行くのがいいんじゃないのか?」
屋敷を観察していたキースが俺の元に戻ってきて話しかけてくる。
しかし正面か、あり得ないと思って最初から選択肢に入れてなかったがよくよく考えてみるとおかしな選択肢ってこともない。
外壁を登るのより素早く門番が声を上げる間もなく始末する方が楽か?
いや、流石にそれは無理か。
「うーん」
俺はさらに思考の奥深くに潜り込む。
あ、そうか。
倒すのではだめだ。
幸い門番は1人だし俺には詐欺スキルがあるんだ。
門番の気を引いてるうちに2人先に侵入してもらう。
そして俺は詐欺スキルを使って門番をだまして普通に入れてもらう。
これが一番簡単そうか。
「分かったぞキース、作戦を考えた」
「ええ、一見隙なさそうですけど……」
俺がそういうとミアちゃんが話に割り込んできて普通に俺の言葉に返してくれる。
どうやら意識的に俺を嫌ってるだけで本当はもう昔のことは忘れてるんだな。
いやぁ、よかったよかった。
「何ニヤニヤしてるんですか……? きもいですよ」
うぐぅぅ。
「おい、ラブコメしてないで早く説明してくれ」
「誰が!」
キースに真面目なことを言われるのは本当にむかつくぜ……だけど言い返せない!
しかもミアちゃんが今素でツッコんだ気がするけど。
「わ、分かったよ……。まずはキースの意見に従うのは癪だが正面突破だ。だがやり方は正面突破じゃない。まずは俺が門番に話しかけるからそこで2人に先に敷地内に入ってもらう。俺は何とか門番を説得して中に入るよ」
うん、改めて人に説明してみると我ながらだいぶガバガバな作戦だな。
い、いや、机上の空論なんだからそんなもんで十分だ。
結局は実戦で臨機応変に戦えばいいんだ。
「なるほどね。だいぶガバガバだけどまあいいんじゃないか? 今のところ俺もそれ以外思いつかないし」
いいのかよ……。
いや、考えてみればキースは作戦とかに関してはそこそこ出来るしキースにいいと言われればいいのか。
複雑な気持ちだがこれ以上考えるのは止めよう。
「それじゃあ2人は門の左側後方で待機していてくれ。俺が頭を掻く動作をしたら動き始めてくれ」
「「「了解」」」
そうして俺は門番のもとへ向かった。
さて、ここからが俺の腕の見せ所だな!




