第54話 人間の街
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新作書いてます。
昨日と今日で合わせて10000文字。
「ここが人間の街かー」
今俺たちは偵察という名の観光をしている。
キースが張り切って朝の8時にこちらに来てしまったが、考えてみれば作戦の実行は夜だ。
早くても夕方……5時ごろで十分。
それなのにこんな時間に来てしまった。
全く自分でも何故キースの暴走を止めなかったのか……。
自分の情けなさに腹が立つ。
「まあ今はローブを着ているので吸血鬼の特徴である羽や牙、角などは隠せていますしキースさんも簡単に魔族とバレるような見た目ではありません。買い物をしてみたり騒ぎになるような問題行動をしなければいいのではないでしょうか」
お、これは俺に話しかけてくれてると思っていいのか?
そう思いしばらくミアちゃんを見つめていると……。
「あなたに言ったのではありません。ただの独り言です」
そ、そんなに毛嫌いしなくても……。
ま、いいか。
どうやらミアちゃんも楽しそうにしているしたまにはキースのアホな行動にも付き合うとしますか。
そしてできればキースをどこかで排除してミアちゃんと2人きりに……。
ぐふふ……。
しかしそんな俺の考えを露知らぬ2人は……。
「うおお! あそこには美味そうな串焼きが……。くっ、しかし人間なんかが作ったものを食う訳には……」
「あっちの服は凄い素敵ですね……。でも人間が作っているんですよね……」
俺は別に人間に恨みはないしそもそも元々人間だから抵抗はないが2人はやっぱりなんかあるのかな……。
ま、その前に人間の国の金を持ってないから何か物を買おうにも無理だがな。
いや、今から行く貴族屋敷から通貨を盗んでくれば何とかなるか? 他にも貴族屋敷で盗んだ後寝静まった街中の店を襲撃して色々盗んでくる手も……。
俺は「ぐぬぬ……」とうなりながらそんなしょうもないことを考える。
「おい、リューン。そんなところで立ち止まるなよ」
おっと、キースなんかに注意されるとは……一生の不覚。
「あなたはいつも迷惑をかけてばっかりですね」
そして相変わらず辛辣なミアちゃんの言葉。
もう慣れたよ……。
しかし、そんなこんなで街を練り歩いていた時、俺の目にあるものが止まる。
「あ、あれは……」
俺は右を向いたまま思わず固まってしまう。
あれは……洋菓子屋だと……。
正確にはこの世界では洋菓子屋と言うのかは分からないがそこにはケーキやプリンと言った日本で俺がよく口にしていた甘味があった。
「なんだ?」
俺の声にキースが俺の見ている方向を見る。
「あれはなんだ?」
しかしキースにはあれが何かは分からなかったようだ。
いや、今はキースなんかはどうでもいい。
今はあれをどうやって入手するかを考えるんだ。
服や雑貨などと違い、食べ物は夜に襲撃したんじゃ手に入らないだろう。
手に入るのはせいぜい素材くらいなものか……。
それではダメだ。
俺は菓子作りに関しては全くの無知だし素材だけ渡されても作れるわけがない。
となれば昼間の今しかチャンスはない。
しかし人間の国の金は持っていないので正攻法での入手は不可能。
となればやはり……。
「なあ、2人とも、ちょっといいか」
俺は2人に『ある』提案をするのだった。




