第25話 最強の救援
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俺はあれから引き気味に数分打ち合い続けた。
挑発スキルで適度に煽ってるおかげで相手は冷静さを欠いてくれている。
これなら倒すことは無理でも多少の時間稼ぎはできる。
だが、救援がというのは可能性が高いというだけであり、確実に来るという訳ではない。
来るとしてもその時間すら分からない。
いくら現状戦闘をこちらがコントロールしている展開とはいえ、戦闘力は敵の方が圧倒的に上。
もし相手が冷静になり、俺のMPが0になって固有スキルが使えなくなったとしたら。
俺の命は一瞬で消えるだろう。
そして一番の問題なのは、この現状が最良であること。
つまり、この苦しい現状を打開する方法はなく、この苦しい状況自体が最善の状況であるのだ。
まったく嫌になる。
クソッ、早く誰でもいいから助けてくれ。
改めて今の状況を整理した時、初めて俺の心の中に焦りが生じる。
だがそんな時のことだった。
それは一瞬の出来事。
決して今の自分なら煽られて冷静さを欠いたこいつの攻撃ぐらい簡単に避けられると油断したわけではない。
むしろその逆。
救援が来るのが遅ければ俺は死ぬという焦り。
自分の命が他人の手に懸かっているという恐怖感。
今更押し寄せる「何故こんな化け物と戦っているのか」という自分への疑問。
これらから来る心のわずかな動揺で一瞬足が止まってしまったのだ。
今までディランの攻撃をよけられていたのは、『キースの協力』『ディランが冷静さを欠いている状態』『俺の固有スキル逃げによる素早さの10倍強化』の3つの要素があってこそのことだった。
そして、この要素のどれか1つでも欠けていれば、今の状況を作り出すことはできなかったということだ。
そして、これほどまでに完璧に整った舞台での戦闘でもギリギリの状況なのだ。
今の状況のように逃げる足が一瞬でも止まれば……。
気が付くとディランが目と鼻の距離にまで迫ってきていた。
「まずっ……!」
ディランが剣を振り下ろす。
慌てて体を引こうとするが、間に合わない。
俺は思わず目つむる。
しかし、痛みが訪れることはなかった。
何事かと思うと、そこには見覚えのある人がいた。
「確かあなたは……」
その人は俺が言い終える前にそれを遮って……。
「あぁ、よくやってくれた。お前たちは確か……9番隊の下級兵か? まさか下級兵2人で黒鋼騎竜隊隊長『覇王』のディランを足止めしているとは……。どうやら只物じゃない人材の様だ。名前は?」
「俺はリューンです。こっちが……」
「キースです。リューンと同じ班の」
確かこの人は魔王軍幹部『朱雀』のヴィルフ。
こんな人に話しかけられるとは……。
俺たちはこの時初めて自分がすごいことを成し遂げたことと、命が繋がるったことに気が付き、心の底から安堵したのだった。
何故なら……。
この人がディランより強いと俺は知っているから。
しかし、そんなことは到底知らないキースが……。
「ヴィルフ様、こいつは危険ですよ。十分に気を付けてください」
俺はキースがヴィルフさんに忠告してるのを見て思わず笑ってしまう。
「お前、ヴィルフ様は1000レベルを超えてるのに対してディランはレベル721だぞ? 勝負は決まってるような物だろ?」
そして、調子に乗りすぎた俺は余計なことを言ってしまったのだった。
作者 「やばい2話投稿キツイ……。やっぱこれで終わりにしても……」
リューン「…………(無言の圧力)」
作者 「はい……」




