第23話 戦闘開始! 最強vs最弱コンビ
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数人の味方の叫び声に俺は反射的に振り返る。
「どうした? 魔王軍のカスども!! 窮地を脱したかと思ったか? 残念だったな。油断したところに俺たち『黒鋼騎竜隊』の参上だ! 野郎ども! 殺戮パーティーの始まりだ!」
「「「オォォォ!!!」」」
団長らしき人物の掛け声とともに化け物精鋭部隊が一丸となんて突撃してくる。
黒鋼騎竜隊って……冗談だろ。
ここには基本的に下級兵と上級兵しかいない。
黒鋼騎竜隊を相手に出来るようなメンバーではない。
考えてみれば人類の一般兵と魔王軍の一般兵が戦ったら短期決戦で終わればいいが、長期戦になれば種族差というヤツで人類側がジリ貧になるのは自明だ。
ならば確実に力をそぐためには精鋭部隊を1隊ぐらい連れてくるのは当たり前……か。
「おい、どうする? キース? こりゃあ流石に手に負えねぇぞ」
俺は油断なく相手を警戒しながらキースに話しかける。
「あぁ、これは逃げた方がよさそうだ。だが相手は竜に乗っている(竜と言ってもレッサードラゴン)。逃げるって言っても難しそうだ」
そうなんだよなぁ。
打つ手なしだ。
これはいよいよヤバそうだ。
キースも俺と同じ考えに至ったのか。
「こりゃ争初日にして死が現実的になって来たぞ……」
キースは表情には出していないものの相当焦っている。
そしてそれは俺も同じだが……。
「手が……無いこともない」
俺は小さくキースに言った。
少し打ち合って、実力の差を理解したのか味方兵士はクモの巣を散らすかのように司法にちり尻となって逃げだす。
俺はそれを尻目に見ながら。
「それは一騎打ちだよ」
「は?」
キースは、この期に及んで何をバカなことをといった表情で呆れている。
「俺に任せてくれ」
覚悟を決めて、俺は味方兵士の行く道の真逆を行く。
「お、おい、待てって」
キースが止めに入る。
俺も自分で言ってて何をバカなことをと思ってる。
だけどこのまま手をこまねいていたってどうせ死ぬのは変わらない。
だったらここで黒鋼騎竜隊の隊長と戦って、ワンチャンスにかけた方がいいだろう。
「キース、お前の言いたいことは分かる。けどこのまま黙ってたってどうしようもない。だったら挑戦したっていいだろ? もしも奇跡的に勝てたら俺は一気に高い階級へ跳ね上がることだろう」
「いや、そうじゃねぇよ」
俺の言葉をキースは否定する。
どういうことだ?
「俺だってこのまま手をこまねいていたって無駄なのは分かってる。だったら……俺にも一枚噛ませろよ」
そう言ってキースはニヤリと笑った。
「噛ませろって……それじゃあ一騎打ちに……」
キースは俺の言葉を遮って……。
「大丈夫さ。相手は天下に名高い黒鋼騎竜隊の隊長ともあろうお方なんだ。下級兵2人ぐらい1人で相手してくれるだろ?」
なるほど。
キースは俺たち2人をなめ切っている状態ならワンチャンスあると踏んだんだな。
俺たち2人はこのピンチに口元を歪めた。
そして、黒鋼騎竜隊の隊長の前に出る。
「ん?」
俺たちに気が付いた黒鋼騎竜隊の隊長は歩みを止め、ついでに俺を殺そうとした部下を手で制す。
「ほう、雑魚どもはみんな逃げたと思ったが……お前たちは何しに来たんだ? まさか命乞いか? それともお仲間を助けるために時間稼ぎか? もし後者だったら格好いいねぇ! ハッハッハ!」
黒鋼騎竜隊の隊長は煽るような発言をしてくる。
これも油断の表れだ。
「命乞いなんかじゃねぇさ。てめぇを殺してゆっくり眠ろうかと思ってさ。お前をぶち殺しに来たんだよ。俺たちは2人で相手させてもらうが、まさか天下に名高い黒鋼騎竜隊の隊長様ともあろうお方が卑怯なんて言わないよな?」
俺はニヤリと笑い煽り返す。
ちなみに俺はこの時こっそり、固有スキル『挑発』を使った。
効果は……。
バツグンだった。
「なめるなよ。カスどもが。2人まとめてぐっしゃぐしゃのミンチにしてやるよ」
黒鋼騎竜隊の隊長は2本の長い剣を鞘から引き抜く。
俺も拳を構え、キースも2本の愛犬を鞘から抜いた。
戦闘開始……!
リューン「やっとバトルシーン……! 長かったぜ」
作者 「安心しろ。ここまでグダグダつまんない話が続いた分これからもっと盛り上がっていくから……!」
リューン「ほーう。それまで失踪すんなよ?」
作者 「…………」
リューン「無言やめろ!!」




