第2話 魔王城の地下迷宮
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俺はキースによって魔王城に連れてこられた。
と言っても俺が連れてこられたのは城の本丸部分ではなく、見張りのために作られた塔。
どうやら魔王城は堀はなく、本丸の周りに城壁とその城壁にまんべんなく12個の見張り塔が隣接されている。
キースはその塔のうち1つに入っていく。
これでは城壁が意味をなさない。
やはり魔王城の構造はよく分からないな。
俺もキースに続いて塔に入る。
下級蟷螂人、下級虎人、下級狐人、下級獅子人、小鬼。
塔の内部では様々な見た目をした魔族が皆それぞれ得物を持って立っている。
塔の内部は螺旋階段になっていた。
キースは無言でどんどん上っていく。
俺もそれに続く。
最上階に到達すると、そこには魔法陣が描かれていて、水色の淡い光を放っていた。
「これが転移陣だ。ここら一体の地下にある地下迷宮に繋がってる。さっさと来い」
キースはそう言って魔法陣の上に乗る。
魔法陣が強く光り、思わず目を閉じる。
しばらくして目を開けたら、キースはいなかった。
レティアもそれに続く。
恐る恐る俺も魔法陣の中に足を踏み入れる。
再び魔法陣が強く光を放ち、俺は目を閉じた。
目を開けると、目の前にはキースたちがいた。
なるほど、流石ファンタジー世界。
にわかには信じがたいことだが、現実に起きてしまったのでは信じざるを得ない。
「よし、この地下迷宮の奥に俺たちの住処がある。行くぞ」
キースについていきながら俺はあたりを見回す。
石の壁に、巡回するように歩く魔王軍の兵士。
地下迷宮というのは確かに間違っていない。
というより俺の考える迷宮の姿と全く同じだ。
せっかくの異世界転生なのにステータスは最弱で職業は勇者じゃなく魔王軍の兵士という事実にやっぱり元の世界に帰りたいなどとも思ったが、やはりこの世界の方が元の世界よりは楽しそうだ。
30分以上歩いただろうか。
この迷宮、アホみたいに広い。
最短ルートでこの時間だと普通に交戦しながら来るとどんな手練れでも数日はかかりそうだ。
魔王城、恐ろしや。
外に出るためには毎回この距離を往復しなくちゃいけないとか流石にキツすぎる。
「よし、ついたぞ」
やっとか。
俺はため息をつき顔を上げると……。
「なんだこれ!?」
坑道のような迷宮の長い道を抜けると、謎のだだっ広い空間が広がっていて、その奥には黄金の門が聳え立つように行く手を阻んでいた。
サイズもまあまあ大きいが、全てが黄金で作られ、宝石などが埋め込まれたその扉はとても美しく荘厳だった。
「まあ初めて見たやつはみんな誰しもそういう反応するよなぁ」
キースは笑いながら門を開ける。
内装も想像通り威圧するような暗い雰囲気だった。
どうやらここから先が魔王軍の兵士の居住区域のようだ。
黒を基調とした壁には美しい黒龍が彫られていて、入り口には大鬼の像が門番のように佇んでいた。
こ、こぇぇ。
俺は軽く震えながら中をどんどん進んでいくキースたちについていく。
長い長い廊下を抜けると、そこには扉が。
「ここが隊長の部屋だ。レティアは立ち会う必要がないということで帰った」
「へぇ」
キースは数度軽くノックをする。
中にいたメイドらしき人物が内側から扉を開いてくれた。
「入るぞ」
そういってキースは中には入っていく。
部屋の中を覗いてみると中は意外と狭かった。
「し、失礼しまーす」
俺はキースに続き、恐る恐る部屋の中に入る。
「隊長、新人を連れてきました」
「へぇ~、じゃあお前の33班に入れることにしてくれ。確か5人しかいなかっただろ? よかったな」
「ありがとうございます! ……という訳だ」
え?
まさかのそれだけとか冗談だろ。
なんかもうちょっとないの? まあそれはそれで俺にとっては楽でありがたいが。
「それじゃあついてきてくれ。俺たちの33班の部屋に案内する」
「あ、あぁ。分かった」
キースは部屋を出ていく。
俺もそれについて行った。




