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第16話 作戦の考察

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「よし! レナス川に到着だ。野営の準備をしたら後は自由にしていいぞ!」


 上級100人隊長と言っていた今回の俺たちのリーダーが仕切る。


 俺は当然逆らうことなどできないので言われたとおりに野営の準備をする。


 俺たちは昨日魔王城を出発し、その翌日……つまり今日の5時……たった今目的地のレナス川に到着した。


 敵がここまでやってくるのはあと2日後という予想らしいが、早めに来て備えておくのはいい方向に転ぶことはあれど悪い方向に転ぶことはないだろう。


 俺たち地下迷宮防衛班9番隊の33班は、レナス川の最も左に配置された。


 今回上層部の考えは包囲殲滅作戦と言っていた。


 だがそう簡単な話ではないとも言っていた。


 俺なりにこの話を考えてみた結果、この作戦のどの部分が肝になってくるかが少しづつ分かって来た。


 まず1つ目のポイント。


 この戦は川を挟んで向かい合っている。


 このレナス川は非常に長く、戦場になると予想される現在の野営地は川の中腹に位置する。


 そして川幅は非常に広く、戦闘中に渡るのは非常に難しい上、この状況で包囲するときに陣形の両端にいる者が上手く川の対岸に渡らなくては、作戦が成り立たないということ。


 そしてまさにその厳しい作戦の中心ともいえる陣形の左翼に俺たちは配置された。


 死ぬリスクは高いが、一番武功は上げやすいだろう。


 そして2つ目のポイント。


 さっき地図を見た限り敵が本陣を置くであろうメフィスト高原はレナス川よりもかなり奥に位置していた。


 つまりこのメフィスト高原に位置する本陣ごと包囲するのはわが魔王軍の兵力では不可能。


 このことから察するに、上層部はメフィスト高原は包囲せず、レナス川に配置した兵士だけを囲んで倒そうと考えているはずだ。


 しかし、ここで大きな問題が発生する。


 仮に左翼軍と右翼軍がレナス川の対岸までを渡りきり、敵を完全に包囲したとしても、こちらの動向に気づいた敵本陣が本陣に残しておいた部隊を援軍として出陣させてくるだろう。


 そうなれば、折角包囲しても逆に包囲され返されてしまう。


 この敵の行動を防ぐためには、対岸まで渡り切った左翼軍と右翼軍を2分し、片方を本陣に向かわせる必要があるということだ。


 しかし、少ない兵力で本陣に残る精鋭たちを抑えることができるのかという部分だ。


 そして最後のポイントが、人間の7つの国が誇る超精鋭部隊(『聖輝航空魔導隊』『飛閃騎士団』『黒鋼騎竜隊』『駆翔機動戦団』『黄金騎馬隊』『太陽守護団』『深淵術師団』)の動向である。


 彼らはたった1人でも戦局を揺るがすことができるような猛者たちだ。


 その動向に常に気を配り、対応しなくてはならない。


 もし、対応が少しでも遅れたり、その動向を見失ったりでもしたら大変なことになるだろう。


 どれだけ彼らの動きを封じることができるかというのもこの戦において大きなポイントになるだろう。


 ……と、ここまで色々と考察してきたが、まあ結局はこんなことを考えても意味はない。


 せいぜいこの考察が役に立つのは、戦局がどちらの軍に傾きかけてるのかを見極めるポイントを把握し、自分の命を落とさないように気を付けることができる、程度なものか。


 自分の力なんて大したことはないし、仮に何か大きなことができるとしたって結局今の自分は魔王軍の下っ端。


 何度も言うようだが、上に逆らうことなどできないのである。


 かくして俺は、その後何事もなく眠りについたのである。


 翌日、異世界に来て初めて絶望が俺を襲うことも知らずに……。

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