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RE:BOOT  作者: エビ仮面RX
1/9

プロローグ

新作です。ちゃんと書き始めるのは2年ぶりくらいかな?

知ってる人はお久しぶりです。知らない人ははじめまして。よろしくね!!

「はぁっ!!」

「やっ!!」


 つい先刻まで静けさに満ちていた森に二つの声が響く。

 一つはまだ幼さを残した少年の。

 一つはこちらも幼さを残した少女のそれ。


 声から遅れて数瞬の後にカッ! という何かを打ち合わせたような音が耳に届く。

 それが何度か繰り返された後、声の主が姿を現した。


「ふぅ、流石だね。アカリ」

「兄さんこそ」


 声の主はやはり、少年と少女の姿をしている。

 普通と違うとすれば、お互いに木で作られた剣を握っているところだろうか。

 纏う雰囲気は戦士のそれ。見れば刺す。寄らば斬る、と言った風に。


「でも今日こそは--」

「今日こそ--」

「俺が」

「私が」

「「勝つ!!」」


 そしてまた二人は姿を消す。

 もっとも実際に消えているわけではなく、お互い高速で動いているからそう感じるだけなのだが。

 なんにしろこれがお互い最後の一撃というわけだ。今のうちに冷たい飲み物でも用意しておこうか。


 --------------------


「で、また決着がつかんかったワケじゃな」


 妙な言葉遣いをする声の主は先の少女とはまた違った少女である。もっとも少女なのは見た目だけであり、目の前の少女が一体何年生きているのかは知らない。

 恐らく妖怪の類ではないかと常々思っている。思っているだけで口には出さない(出せない)が。


 その妖怪(のようなもの)は手にしたカップを口に付け、ゆっくりと机に下ろしたところでこちらを睨み付ける。

 恐らくこちらが考えている事を察したのだろう。ほらみろやっぱり妖怪じゃないか。


「今日はイケると思ったんだけどなぁ」


 と、こちらは先の少年である。

 先ほどまでとは打って変わり、刺すような視線や触れれば切れるような雰囲気はどこにもなく、年齢相応の空気を出している。


「ふふふ、甘いよ兄さん。私だってそう簡単にはやられないんだから」


 そしてこちらもまた先の少女である。断じて妖怪ではない、むしろ天使か。


「まあ勝負なんて時の運さ。勝ち負けにこだわるだけが強さじゃないってな」


 と、分かった風な事をのたまっているのは何を隠そうこの俺である。

 昔は色々あったが、今は分不相応にもこの二人の父親なんてものをさせて貰っている。

 そう、あくまで二人の父であり、妖怪の親ではありません。どっちかというとそっちが俺の親。

 まあそれも『のようなもの』が付くわけだが。


「そこのバカがエラそうにしているのは妙に納得がいかんが、まあそのバカが言う通りじゃの。勝負とは言うものの勝ち負けだけが全てではない」


 俺の親(のようなもの)が俺に続く。が、なんでバカが二回も続くんですかねぇ?


「じゃがあくまで『全てではない』というだけじゃ。もちろん負けられない、勝たなければならない場面もある」

「例えば?」

「負ければ命を落とす。大切なものを失う。そういう場面では勝つ以外の選択肢はないの」


 おいおい人の子供に何物騒な事吹き込んでんだよこのバ--

「もし見たいのならそこのバカに『負ければ命を落とす』場面を実践してやってもよいが」

 --お師匠様、まだその子達には早いと思うんです。


「師匠! 父さんを虐めるのはやめて!!」


 アカリが俺を庇ってくれた。アカリたんマジ天使。


「冗談じゃよ、冗談。全くアカリは可愛いのう。どれ、そんなバカではなく、儂の子にならんか?」


 どさくさに紛れて何調子乗ってんだこのババア!!

 アカリはウチの子です。どこにもやりません!!


「でも師匠は父さんのお母さんなんでしょ? だったら私達にとっておばあちゃんになるんじゃないの?」


 いいぞアキラ、もっと言ってやれ!! おばあちゃん、お・ば・あ・ちゃ……アアアアアア!!

 どこからか伸びてきた手が俺の顔面を鷲掴みにする。


「痛い痛い!! 師匠、ギブギブ!!」

「ふん! 母からの愛のムチじゃ。遠慮せずにありがたく受け取るがいい」


 お母様からの愛情を顔面いっぱいに感じる。主にこめかみの辺りとか。

 --これぞ師匠の十八番。母より愛をこめて(アイアンクロー)である。


 しばらく経ってからようやく解放された。母の愛って偉大だと思う。だってしばらく逆らう気にならなくなるもん。


「全く……貴様は親になっても子供のままじゃの」


 いつまでも子供の心って大事だと思う。


「まあなんじゃ。そこの息子(バカ)は置いておくとして、アキラとアカリはもう十五になったんじゃろう?」


 --十五歳。それが意味するところはつまり。

 この世界では成人と認められ、神から天職を授かる事が出来る年齢であるということ。

 その事に思い至り、無意識に渋い顔をしてしまっている事に気付いた。


「うん! 次の『天の日』に天職を調べて貰うんだ!! すっごい楽しみなの!!」

「俺も!! どうせなら『騎士』系の転職だったらいいなぁ」


 そんな俺の様子を知ってか知らずか、子供達は無邪気に自分の天職に想いを馳せている。

 --願わくばこの子達には(・・・・・・)良い天職が授けられん事を。


 そう願っていた。少なくともこの時までは。

次の投稿は登場人物の紹介です。

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