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小指と小指の誓い  下

作者: 桜巳

■ 約束の日


北のおすまし王子は 凛々しく気高さを受け継いだ青年になりました

南のおてんば王女は 美しく勇敢さを受け継いだ令嬢になりました

二人は 結婚の日を迎えようとしていました

喜びと期待にわく 北と南

笑みを交わす二人の守護者と 二人が愛する妃たち

皆が愛する 王子と王女の結婚です

光に満ち足りる日を どうして待ち望まずにいられるでしょう


ケレド カワッテシマウノデス


光が満ち足りるはずの日を どうしたら忘れられるのでしょう

悲しみと憎しみに満ちる日を どうしたら忘れられるのでしょう

結婚の前日に 二人の守護者が 初めて世界を呪うことを

一体誰が 予想できたでしょうか

結婚の日に 王子が魔王に 王女が神に裁かれることを

一体誰が 予測できたでしょうか


キッカケハ タダ一ツダケ

オナジ日ニ 二人ノ妃ガ永遠ノ眠リニツイタダケ


百合のように美しい北の妃は 病の悪化により息をひきとりました

それは 南の王女からの贈りもののため

病を癒す薬と 体を蝕む毒を 間違って贈ってしまったため

そう 記されています

菫のように愛らしい南の妃は 高熱に苦しみ息をひきとりました

それは 北の王子からの贈りもののため

間違った処理により お茶の葉が 毒の茶葉となっていたため

そう 記されています


二人ノ守護者ハ 妃ヲトテモ愛シテイマシタ

狂オシイホド 愛シテイマシタ


北の守護者は 南の王女を恨み 魔王への復讐を誓いました

南の守護者は 北の王子を恨み 神への復讐を誓いました

王子と王女は 終わりを悟り 約束を誓いにしました


王子と王女が 二人の守護者により 裁かれたことが

星を 二つに別ける 大きな争いのきっかけになりました

王子と王女が 結婚するはずの日

二人の生涯の幕が降ろされ 北と南の争いが始まったのです



■ おわりの詩


それは とても悲しい 物語

それは 綴られる 約束の物語

それは 小指と小指で繋ぐ 誓いの物語


ダカラコソ 紡ガレタ物語


-生まれ変われるなら

 彼と同じ北に産まれたい

 いつも一緒にいられるから


-また生を受けられるのなら

 彼女と同じ南で生きたい

 二人の誓いを果たせるから


それぞれの 最後の望み

紡がれる 二人の物語


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