誘拐、あるいは・・・・・・
気が付くとそこはとても幻想的な場所だった。
暗い所に時々物凄い速度で白い光の点が通り過ぎて行く。
次第にそれらの光点はせわしなく行きかうようになり、まるで繁華街での街灯の様になる。
そこで、はたと気が付く。
(あれ、これ私もこの光で構成されてね?)
え、ちょっと待て?待って!!待って下さいお願いします!?!!
何で私、光になってるの!?可笑しいでしょ!?
あ、まさかあれ?あれですか!?いつの間にか私は死んじゃって星になりました。とかっ!?!!
(………いや、ないな。大体星は地上から見ないときれいに見えないし、見えたとしても少なくともこんなんじゃないし)
ともあれ、起きてしまったことは仕方がない。
何故、こうなったかも興味はあるが今は置いておこう。
今やるべきことは、まずは現状把握、次にこれからどうするのか。
これらを考えることだ。
(そもそもここは何処で、これは何なんだ?)
どこかに誘拐からの監禁などという訳ではなさそうだ。
先程からかなりの速度で通り過ぎていく光の点。
あまりに速いものだから、意識してみないと点ではなく、変化する模様のようにすら見えてくる。
こんな綺麗な光景を見せてもらえるのなら、是非とも私を誘拐してほしい。
元々、天涯孤独の身。貯金とかも大した額ある訳ではない。誰にも迷惑をかかる訳でもない。
そんな私を誘拐する物好きな誘拐犯など、いるなら会ってみたいものだ。
閑話休題。
では、光踊るこの空間は一体何なのか?
(というか、意識してみると光点とかに結構法則性とかありそうだな)
ほら、モールス信号みたいな感じで。
・-・・-なんて感じ。
あるいは、プログラミングを習った時、たまに話に出ていたコンピューター言語とかでもありそうだな。
ほら、0と1のみで構成された言語。
元々、あれは電流のOFF,ONをそれぞれ0と1に置き換えている。
この光景も、同じように光のON,OFFで言語を表していたりするのではなかろうか。
(分からんがとりあえず検証してみるか)
ダメだったらまた考え直せばいい。
大丈夫、時間はまだたくさんあるのだから。