妖精の街は最高でした。
「…ねぇ、ユウカ」
私に振り回されて完全にのびてるリオンさんが口を開く。
「思ったんだけどさ、君ヒキニートの癖にどうしてそんな体力とかあるわけ?」
確かに自分でも思ったな…。
「なんでだろう…多分陸上部の影響ってか残り香です。」
「りくじょうぶ…?」
この国には陸上部もないのか…
「まぁユウカのおかげでもう着くよ」
「ふっ…(ドャァ」
私は最高のドヤ顔をリオンさんに向け、早く街を見たいあまりまた駆け出す。
「あ、待ってよユウカ」
それに続いてリオンさんも走り出す。
「……っ‼︎」
夕日が落ちる場所に妖精の街はあった。
「…綺麗‼︎」
私が率直な感想を述べると、リオンさんは笑って
「でしょ?」
とまるで自分のことのように言った。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
私たちがちゃんと街に着いた時にはもう夕日は見えなくなっていた。
「さてユウカ、僕は宿を探してくるから勝手に観光しておくといいよ」
「はーい」
リオンさんは早速宿を探しに行った。
「…やっぱり綺麗だな〜、夜も」
とりあえず暇なのでうろうろしてみる。
「ねぇ、そこのアンタ?」
「は、はい‼︎」
しばらくうろうろしていると後ろから声がかかる。
「この辺じゃ見ない顔…アンタ、旅人ね?」
「そ、そうですが…なんか用すか?」
話しかけてきた人を見ると透き通った羽を持ち、キラキラと輝いていた。
「oh…妖精⁉︎」
「え?あぁ、うん、そう…何を隠そうアタシは妖精‼︎滝の妖精、レアよ‼︎」
妖精、レアは急に自己紹介をする。
「あ、私はユウカ。一応リオンさんの助手だよ。」
そう言うとレアは驚いた様に独り言を言い始める。
「リオン・アルバートか…少し厄介ね…」
「…?どうかした?」
「あ、いやなんでも無いわ。まぁ…ちょっとね…」
レアは言葉を濁す。
「まぁいいわ。アタシ、明日早いからいくわ。じゃあね。」
レアはそう言うと、私の横を逃げるように去って行った。
「…行っちゃった」
「あ、ユウカみっけ。どうかしたのかい?」
「リオンさん…‼︎今妖精と話してました‼︎」
リオンさんは自分よりも乙女属性の私を見て、優しそうに微笑む。
「それはそうとユウカ、君、財布はどうしたんだい?」
途端、私の笑顔が凍りついた。
「う わ あ あ あ あ あ あ ‼︎」
こうして、夜の街に私の絶叫が響き渡ったのであった。