ここはグーラエリガルドでした。
しばらく私たちが歩いていると、リオンが思い出したように口を開いた。
「そう言えば、ユウカはどこから来たんだい?僕は時空が歪むのを見たから、駆け付けたら君が倒れ込んでたんだけど…」
「私は…日本ってとこから…コケてきました‼︎」
これ聴くと自分がただの阿保にみえてくるんだけど…
「にほん…?聞いたことない国だね…」
マジかよ、日本ないパターンじゃないか。
「…えーっと、ここは何という…?」
「ここはグーラエリガルド。水魔法を使える魔法使いが多くいる国さ」
「水魔法…?てことはリオンさんも?」
「ノンノン」
リオンさんはそう言うとまた語り始めた。
「僕は天才魔法使いだから全ての魔法を使いこなせるのさ‼︎…あ、回復魔法使えなかった。」
「……いや、こっちみんな⁉︎」
リオンさんは最後に華麗なる自爆をして再び歩き出した。
「さてと、今日中に街にたどり着かないと寝る場所がないね」
「そうなのかよ⁉︎」
「うん、そうなんだよ」
初耳の事実だった。…そうだ、この人旅人だ。
「ここから近い街ってどこなんですか?」
「ここからは…デリルフローラかな」
また聞いたことない街…って当たり前か。
「デリルフローラっていう街は妖精たちが暮らす街さ。妖精って可愛いんだよ」
「地味に乙女属性だな、おい」
「妖精は人懐っこくてキラキラしてるんだよね。それに幸せを運んでくれるらしいし」
「…見て見たいな」
妖精に会うことは昔からの夢だったはず。
「まだですか?ねえねえねえねえ‼︎」
「まだまだ」
「えー、はやくはやくぅ」
「ハイハイ、お静かに」
「何気に呆れられた⁉︎」
私は呆れられたのでとりあえずいじけまくっている。
「…ほら、ユウカ。そろそろつくよ」
「…‼︎本当⁉︎」
「うん、本当。この道を抜けたらもう直ぐさ」
「じゃあ行きまっせ‼︎私につかまって‼︎」
「えぇ?あぁ、うん」
何をするかわかっていないリオンさんは私の肩を掴む。
そして私はクラウチングスタートの姿勢になる。
「…げ、こりゃもしかして…」
ふっ、今更気づいたって無駄無駄ァ‼︎
「行くぜっ‼︎私の奥義っ‼︎スーパーダァァァッシュゥゥゥゥッ‼︎」
私はそう言いながら走り始める。
「う り ゃ あ あ あ あ あ っ ‼︎」
「ぎ ゃ あ あ あ あ あ あ っ ‼︎」
それから度々二人の悲鳴が聞こえるようになったのだった。