メアリーさんの噂
こんにちは。水神瞬です。
今回はボクから1つ、鳳町に伝わる都市伝説を紹介させてもらいます。
「メアリーさんの約束」というお話です。
実はこの数年の間に、あまり知られていませんが4人の人が鳳町から姿を消しているんだけど、これは全てこの『メアリーさん』が関係しているらしいのですが・・・・。
知ってますよね。『メアリーさんの電話』のお話。
夜にメアリーという名前の女の子から次々に電話がかかってきます。
「もしもし、私メアリーさん。今、角のコンビニの前にいるの・・・」
「もしもし、私メアリーさん。今、あなたの家の前にいるの・・・」
「もしもし、私メアリーさん。今、あなたの部屋の前にいるの・・・」
そんな感じで・・。
そして最後に、「もしもし、私メアリーさん。今、あなたの後ろにいるの・・・」という電話がかかってきて、後ろを振り向いてみると・・・・・というお話です。
ところが、鳳町ではこの話に続きがあり、それがそのまま都市伝説の1つになっています。
ある日のこと、いくつかの金融会社から多額の借金をしている一人の男性がいました。男性のところには、いつも電話がかかってきます。電話の相手はいつもその金融会社からで、「金を返せ!」という内容のものでした。
ところがその日は借金の催促の電話がいつもより激しく、ひっきりなしに電話の呼び出し音が鳴ります。
しばらく無視をしていましたが、その男性は遂にガマンが出来なくなり、受話器をつかむとこう叫んだんです。
「うるさい!バカヤロー!!」
すると、受話器の向こうから泣き声が聞こえてきました。
それは女の子の泣き声で、女の子は泣きながらこう言ったらしいです。
「もしもし、私メアリーさん・・。今、あなたの家の前に居るんだけど・・・。
なんでそんなひどいこと言うの?あなたのこと、許さないから!!」
男性が驚いて家の窓から玄関のほうを見ると、玄関から夜の闇の中にとぼとぼと歩いていく一人の女の子の姿が見えました。
驚いた男性は家を飛び出すと、急いでその女の子の後を追いかけました。そして、男性の家の近くの公園の隅で、しゃがみ込んで泣いている女の子を見つけたのです。
男性はその女の子に近づくと、声をかけました。
「ごめん。別の人からの電話だと思ったものだから・・・」
でも、女の子は泣き止みません。
顔を両手で覆いながら泣き続け、男性にこう言いました。
「許さない・・・。許さないから・・・」
困った男性は、その女の子にこう言ってしまったのです。
「ごめんごめん。なんでも言うこと聞くから泣き止んでよ」
すると女の子は一瞬だけ泣き止み、相変わらず顔を見せないままにこう言いました。
「本当?本当になんでも言うこと聞いてくれる?」
男性は顔を縦に振りました。すると・・・。
「それじゃあ、私を泣き止ませて!!」
急に女の子がまた大声を上げて泣き出しました。
困ったった男性は懸命に女の子をあやして泣き止ませようとしますが、全く泣き止む気配はありません。
そのうち、男性は妙なことに気が付きました。女の子の声がどんどん大きくなっていったのです。尋常ではないほどに・・・。
急に恐ろしくなったその男性は、その場から逃げ出しました。そして、やっと自分の家にたどり着いたのですが、家の扉を開けるとそこからも泣き声が・・・。
それ以来、男の耳にはどこへ行っても少女の泣き声が届き、気の休まる時がありません。
ガマンできなくなった男はとうとう・・・・
「もうなんでも言うことを聞くから、泣かないでくれ!!」
その瞬間、男の目の前に急に恐ろしい形相の少女が現れ、
「それじゃ、私と一緒に地獄に行って!!!」
その後、その男性の姿を見た者はいませんでした。
そしてそれからです。鳳町の公園で、しゃがんで一人で泣いている女の子の姿が目撃されるようになったのは・・・。
よくこの町では言われています。
「もし夕方、公園で泣いている女の子がいても、決して声をかけてはいけない。」ってね。
その女の子はメアリーさんで、もし彼女を泣き止ませることができなかったら、声をかけた人は闇の世界に引きずりこまれてしまうということです。
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「シュン。読み方が棒読みだよ」
「やっぱりヘタだよね。60点ぐらいかな」
「うん。ヘタだ。ヘタ」
「ミキちゃん、リコちゃん。うるさいんだけど」




