1・狭間
全編携帯のメール投稿で書いてみようかな、と思い立ち、始めてみました新連載。最後までお付き合いいただけたら幸です。
一つ、方法があるとしたら、
それは、この方法しかなかった。
例え、未来の人間になんと言われるようになろうとも、
例え、過去に類を見ないことであろうとも、
そんなことには、
かまっていられなかった。
この方法でうまくいかなければ、未来も過去もないのだから…
自分たちがいなければ、そのどちらも存在し得ないのだから。
暗い、肌寒い空間に無機質な機械のアラートが鳴り響く。
まるで、なにかの終わりを告げるかのようなそれは、彼女にとって耳障りなもの以外のなにものでもなかった。
音に連動するようにして、彼女の前の空間が薄明るく光った。モニターになっているのだ。
『目標座標まで、X+7:Y−6:Z±0。カウントダウンを開始しますが、よろしいでしょうか?』
「現時点での帰還座標を記録後、艦にデータ転送。その後カウントダウン開始」
冷静な声で彼女は指示を出す。
『了解。マーキング完了。座標データ転送………完了。カウトダウン開始します』
そう機械の声が言うのと同時に、目の前のモニターに文字の羅列が表示される。
(この数が無くなったとき、それが世界の始まりになる……)
――彼女は小さく頭を振った。
(いえ、始まりなんかじゃない。私は…私たちは……『彼ら』にとっての敵なのだから)
ため息が漏れる。こんなこと、誰が望んでやるというのか…
その過去を消してやりたいと、彼女は願った。