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シャブの密売やぁ~めた

戸松原和夫は、一応、ヤクザである。


今年、還暦を迎えたばかりである。


刑務所に入っている間に、やっとの思いで建てた念願のマイホームを豚のように太った女房に奪われ、三行半を突きつけられたのである。


二人の間には子供がいる。絶倫の戸松原は50を過ぎて、出来た子供を溺愛したが、その幼い子供も豚女房が連れて逃げた。


信じていた嫁に、全財産を刑務所に入っている間に奪われたのである。


戸松原を知る者達は、陰で「あれは絶対に計画的、離婚だな」と噂し、笑い転げている。


戸松原は、世界中の、いや誇張はよくないか…


日本中の霊長類から、ゴキブリのように忌み嫌われている。


戸松原の生い立ちから話そう。


戸松原は石油屋の長男である。

一応、ボンボン(お坊ちゃま育ち)なのである。

しかし、どこでどう道を誤ったのか、60にもなり、うだつの上がらないチンピラである。


愛車はニコイチ(盗難車)の黒いシーマである。

盗難車なのに名義変更まで出来るように巧妙に細工して、堂々と乗り回している。

しかし、狡猾な戸松原は自分が万が一にもパクられないように手下の者を所有者にしている。


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