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第八頁「任命、後援会長!?」

 屋上に一陣の風が吹いた。

 3月とは言え、まだまだ寒い。

 それに、何も無い屋上で風の吹きさらしになれば尚更だ。



 目の前には福谷さん。

 何やら緊張している様子が伺える。


 ……そんなに緊張されると、こっちが困ってしまうぞ。

 などと心の中で突っ込みを入れた時、ようやく福谷さんが口を開いた。



 「あの!」


 「ひゃ、ひゃい!?」


 「あっ、いや。そんなに驚かないで下さい」


 またしても声が裏返った。

 ―――我ながら情けない……って言うか、僕も変に緊張してるし。

 人のことは言ってられないな。



 「そっ、そう? は、ははははは……」


 微妙な会話。


 僕は乾いた曖昧な笑みを浮かべる事しかできなかった。

 どうにも、さっきから妙に意識してしまっているようだ。



 「あの。それで、続きいいですか?」


 「いいよ」


 「実は、桜井くんに折り入ってお願いがあるんですけど……」


 「あ、と……何?」


 本題を持ち出してから、急に彼女の語調が深刻そうな―――と言うか、言いにくそうな事を言うような語調に変わった。

 ……だから、そんな目で見られたら僕だって困るって!



 「いっ、嫌だったらいいんです! 迷惑なら迷惑だって、はっきり言ってもらえた方がいいですし」


 「えっ……うん」


 何だ? 何なんだお願いって?

 ここまで福谷さんが真剣になるなんて、一体……?


 しかし、この会話の流れ。

 それにこの場所。そしてこの状況―――。


 ホントに、もしかすると、もしかしてしまうかも!?



 「……桜井くん? どうしたんですか、難しい顔しちゃって?」


 「いっ!? いやあ、何でもないよ、何でも!

  ははははは……」


 どうやら思索に没頭していて話を聞いていなかったらしい。

 またしても乾いた笑みで強引に誤魔化す。


 ……ホントにどうしようもないな、今日の僕は。



 「そう、それでお願いって何?」


 「はい、それなんですけど―――」


 そこまで言うと、グッと息をのむ福谷さん。

 まだ決心がつかないらしい。


 月並みだが、まるで緊張がこっちまで伝わってくるみたいだ。

 だが、そこまでスゴイ話なんだろう。

 僕としても、心して聞かねば。



 ………



 ………………



 微妙な長さの沈黙の後、ついに彼女がその口を開いた。

 そして出てきた言葉は―――



 「桜井くん! コレ、お願いしますっ!!」


 眼前に突きつけられたのは、1枚の紙きれ。

 ……って、何だこりゃ?




 『生徒会長選挙立候補者後援会員名簿』




 紙の上部にはそう書かれていた。


 

 さらによく見ると、『副会長』の欄には、茜ちゃんの名前。

 ついでに言うと、会員の所には光の名前もある。


 しかし、肝心の会長の欄は空欄である。

 これは……まさか、な。



 一瞬、イヤ〜な推測が脳内をよぎったが、無理矢理頭の深層部に押し込んだ。



 ……まあ、違うことを証明するためにも、ちゃんと確認は取っておくか。



 「あのさ福谷さん。

  まさかとは思うけど、これってのはもしかして―――」


 「……はい、桜井くんに私の後援会の会長をお願いしたいんです。

  あの……やっぱりダメですか?」


 何? 何故? Why? どうして僕が後援会長?

 しかも福谷さんが立候補? どうなってんのさ?




 ―――ってぇ! 嫌な予感的中かあ!?




 「さっ、桜井くん!? 大丈夫ですか?」


 「うっ、うん、大丈夫! 見ての通り、僕は至って平常どおりだから」


 「……そうですか」


 それだけ言うと何も言わない、むしろ何も言えないといった感じで、福谷さんが黙り込む。

 ただ、『クスッ』という小さな笑い声が聞こえたような気がしたが。


 どうやら、完全に墓穴を掘ってしまったようだ。

 だがこの状況で驚くなという方が無理な話だろう。




 そんな言い訳より、まずは目先の問題をどうするか、だ。


 僕の前に突きつけられているのは、福谷さんの後援会員の名簿。


 そこに書かれているのは、茜ちゃんと光の名前が、それぞれ副会長と会員に。


 そして、僕のために空けられている椅子は……なんと、よりによって会長。




 ―――いや、これはいくらなんでもパスかな。


 生徒会活動になんて興味ないし、そんな事に割く時間も無い。

 それこそ、僕にとっては百害あって一利なし的な状況である。




 ……でもなあ。

 こうも熱心なのに、無下に断るってのもナンだよなあ……。


 目の前には、一大決心の末に頼んできたであろう福谷さんの姿。

 しかも、心なしか瞳が潤んでいるようにも見える。

 そんな彼女の必死の要請を、僕は断る事ができるのか?




 ―――とは言え、福谷さんには悪いがやはりこの仕事は請けられない。

 確かにクラスの雑用なんかは今まで何度も手伝ってきたが、今回のは次元が違う。


 とてもじゃないが、僕の専門外だし、個人的な事……いや、本音を言うと時間が惜しすぎる。




 そういう訳で、この仕事は断ろう。

 福谷さんも、迷惑ならいいって言ってるしさ。






 僕の方も腹を決めて顔を福谷さんの方に向けると、

 そこには血が出そうなほど強く唇をかみ締め、今にも泣き出しそうな少女が立っていた。

 正確にはそうでなかったにせよ、少なくとも僕の目にはそう見えた。


 そっ、そんな顔でこっちを見られたら―――



 ………



 ………………



 「分かった。それじゃあ、福谷さんの後援会長、やるよ」


 「ほっ、本当ですか!? ありがとう、桜井くん!」


 目の前には、今にも泣き出さんばかりの勢いで喜んでいる福谷さん。




 ―――結局、僕の方が折れる形になった。

 ……まあ、いっか。これも天命なのかもしれない。


 何より、僕はあそこで福谷さんの頼みを断る事ができなかった。

 あれだけ必死にお願いしてきているんだ、根負けだってするさ。


 それに、もしそれでも断っていたら、多分嫌な後味が残っていただろう。

 とりあえず、自分の選択を肯定しておこう、うん。






 「それじゃあ桜井くん、この用紙に必要事項を記入してください」


 いまだ興奮さめやらぬ様子で、紙を差し出してくる福谷さん。


 名前と、クラスと、出席番号の記入か……定番だな。

 ―――サラサラサラ〜ッと。うむ、我ながら汚い字だ。何と言っても走り書きだし。



 「はい、確かに。これで桜井くんは、“福谷つばさ生徒会長候補後援会長”に任命されましたよ。

  後はこれを桃田先生の所に提出すれば、手続きは完全に終了です。

  それじゃあ、これからの選挙戦、他のお2人と一緒に、頑張っていきましょうね!」


 何やらご大層な肩書きになってしまったが……まあ正式な名称というのは、えてして長いものだ。

 要するに福谷さんを頑張ってバックアップすればいいってことなんだし。


 そんなことはともかく、後援会長を拝命したのはいいのだが、疑問が1つ2つ。



 「それで……僕はまず、何をすればいいのかな?」


 第一の疑問。これが分からない事には動きようが無い。


 まあ正直な話、何もしなくていいなら、それに越したことは無いのだが。

 きっとそうもいかないだろう。



 「そうですね……それでは、まず宣伝用のポスターを作りたいと思います。

  桜井くん、何かいいアイディアはありますか?」


 そう言いながら福谷さんは用紙を見せてくれた。

 恐らく、本来なら手書きで書く物だろうけど、この大きさなら―――



 「よし。それじゃあ、ちょっとついて来て」


 「?」


 当惑する福谷さんを連れて、僕は一路クラブハウス棟へと向かった。


 それにしても……ふふふ、我ながらいいアイディアが思いついたもんだ。

 インスピレーションの神が舞い降りたとは、このことだな。




 ………




 ………………




 で、クラブハウス棟への道中。

 何も喋らないのもアレなので、ここはもう一つの疑問をぶつけてみるとしよう。



 「ねえ、福谷さん?」


 「はい?」


 「どうして、僕なんかを後援会長に?」


 「それは、その……」


 明らかに、福谷さんは言いよどんでいる。

 ……そんなに言いにくいことなんだろうか?



 「……それは、私が桜井くんに頼みたかったから。

  桜井くんに、私の応援をしてほしかったから」


 「えっ?」


 まるで蚊が鳴くかのように、小さな声で―――でも、それでいて確かに福谷さんはそう言った。

 だが、続く言葉はない。

 チラッと目をやると、真っ赤な顔のまま俯いている。


 ……これは気まずいだろ。

 適当に話をふらないと。



 「じゃ、じゃあさ、茜ちゃんと光は?

  光はともかく、茜ちゃんと話してるところって、あんまり見たことないけど?」


 「和泉くんとは、おっしゃる通りよく一緒に仕事したりするんですよ。桜井くんとほどじゃないですけどね。

  それに、陽ノ井さんとも結構よくお話しますよ。ほら、体育の時とかに。

  何より陽ノ井さんは人望がありますから。こういう時には、心強い味方です」


 ふぅ……とりあえず話題にはのってくれたな。

 このまま黙られっぱなしだったらどうしようかと思ったよ。


 僕から茜ちゃんの名前を出した時、微かに表情が曇ったのが、ちょっと気になったけど。

 まあ、ささいな問題だろう。



 しかし、茜ちゃんは人望がある、かあ……。

 いっつも一緒にいるから全然意識したことないけど、言われてみると友達も多そうだ。

 女子ソフト部のネットワークで、人脈も広そうだし。


 光は人数合わせだろうな、多分。

 放課後はいっつもすぐ帰っちゃうし、現に今だっていないし。




 それにしても、茜ちゃんは部活で忙しいし、光は帰っちゃうしとなると、

 どうやら後援会の活動は僕が中心になって行うことになるらしい。

 よ〜く考えると、これはエライことになってしまったのかもしれない。


 とは言っても、自分で選んだことだからか、不思議と後悔はない。

 むしろ、やればやったでそれはそれで楽しいだろうなんて、そんな考えまであったり。


 まあ、乗りかかった船だ。最後まで乗っかってやるさ―――




 ………




 ………………




 そうこうしている内に、目的地―――新聞部室に着いた。

 幸い、優子ちゃんは在室しているようだ。



 ―――コンコンッ。



 申し訳程度にドアをノックしてから中に入る。

 続けて福谷さんも入ってきた。

 勝手知ったる新聞部室だ、この程度の挨拶で十分だろう。



 「はいは〜い……っと。

  あれ、桜井くん? それに、え〜と……福谷さん、だっけ? 1−A委員長の」


 「はい、福谷つばさです。確か、1−Bの川科さんですよね?」


 「そうそう。体育の時ぐらいしか会わないのに、知っててくれて光栄だよ〜。

  今、コーヒー淹れるから、適当に座ってて」


 そう言って福谷さんに席を勧める優子ちゃん。

 促されて、僕も一緒に座った。


 机を見る限りでは、どうやら資料整理中だったようだ。

 それにしても、何度来ても、この綺麗さには感心するよなあ……。



 「はい、どうぞお2人さん。桜井くんはブラックだったよね?

  福谷さんは……ゴメン、分からないから適当にミルクと砂糖入れちゃった。よかったかな?」


 「ええ、構わないですよ。苦いのはあんまり得意じゃないですし」


 何と言うか……体育の時にどの程度交流があるのか知らないけど、

 早くもコミュニケーションをとれている優子ちゃんには、ある種の才能を感じてしまう。



 「それで、今日はどうしたの?  まだ締め切りには余裕があるから、手伝ってもらうことは特に無いけど?」


 「それなんだけど……実は、こっちからお願いがあって来たんだ」


 「へ? 桜井くんからお願いなんて珍しいね。

  何かな? 私にできることなら、是非協力したいな。

  桜井くんには、いつもお世話になってるしね」


 「ありがとう。それで、お願いのことなんだけど―――」


 少し福谷さんの方に視線をやってから話し始める。



 「今度の生徒会長選挙で、福谷さんが立候補するんだけどさ。

  その選挙用のポスター、ここのデジカメとパソコンで作ってほしいんだけど……できるかな?」


 少々思索の表情になる優子ちゃん。福谷さんは、なるほどといった感じで頷いている。


 ダメで元々といった感じではあるが……優子ちゃんの顔色は芳しくない。

 やはり、部の備品を使わせてもらうのはムチャな相談だったんだろうか。




 そして、ややあってから優子ちゃんの回答。



 「―――分かった、いいよ。

  こう見えても、私は世界をまたにかける国際ジャーナリストを目指してるんだから!

  こんなのは、お安い御用だよ♪」


 「ありがとう、川科さん!」


 色よい返事をもらって、よほど嬉しかったんだろう、お礼を言うのを福谷さんに先を越された。

 ……本当に、今回の選挙に力を入れてるんだな、この娘は。



 「ただ、新聞部は一応報道関係の部活だから、これ以上の協力はできないよ。

  例えば……紙面で福谷さんをプッシュしたりとか、そういうのは無理。中立の立場を守らないといけないからね」


 「OKOK、ポスター作りだけで十分すぎるぐらいだよ。

  それじゃあ、早速お願い」


 僕の了承に頷いて答えると、優子ちゃんは早速準備に取り掛かった。


 しかし、世界をまたにかける国際ジャーナリストって……。

 すごく身近に一人いるだけに、どうしても手放しで凄いとは思えない僕がいる。

 いや、実際は凄いんだろうけどね。


 ……優子ちゃんも、母さんみたいになるんだろうか?

 この娘なら、ありえない話でもないから笑えない。




 ………




 ………………




 「は〜い、笑って笑って♪」



 ―――カシャッ。



 「う〜ん、まだちょっと固いかな? リラックスリラックス!」



 ―――カシャッ。



 「もうちょっとだけ頑張ってみよう? 次いくよ〜」



 ―――カシャッ。



 「いいね〜、その表情だよ! もう一枚いくよ〜」



 ―――カシャッ。



 「それじゃあおまけに、さらにもう一枚。は〜いチーズ♪」



 ―――カシャっ。




 ………




 ………………




 妙にノリノリ、いやむしろ悪ノリ気味な優子ちゃんに対し、こういうのに慣れていないのか、ちょっと表情が硬い福谷さん。

 だが、そこには凛とした強さも感じられた。


 おまけとか、さらにもう1枚とか言って、なんだかんだで十数枚の写真を撮った後、

 ようやくパソコンでの作業に移る。


 そう言えば、前に写真は写真部に撮ってもらってるとか言ってたような気がするけど、

 カメラがあるってことは、自前でも撮るんだろうな。


 優子ちゃんは慣れた手つきでパソコンを操作している。


 僕は文書作成ソフトとメール、それからインターネットぐらいしかロクに使えないので、

 何をやっているかはさっぱり分からない。

 とりあえず、写真編集ソフトを使っているようだ。


 福谷さんの方はと言うと、食い入るようにして画面に見入っている。

 それだけ集中しているのだろう。

 その様子からは、生徒会長選挙に向けての並々ならぬ情熱が感じられた。


 委員長の仕事を手伝ってても思うけど、福谷さんって何事にも一生懸命なんだよな。




 そして僕はと言えば。

 ハッキリ言って、ボ〜ッとしているだけだ。


 時折、優子ちゃんが福谷さんにデザインについて細かい事を聞く以外は、

 マウスがクリックされる音ぐらいしか聞こえない、静かな新聞部室。


 外から聞こえる運動部連中の喧騒さえも、どこか遠くの世界の出来事のような、

 そんな隔離された空間にいるような気さえしてくる。



 「ふあ〜あ……」


 噛み殺すこともせずに、大きなあくびを一つ。

 ホント、暇だなあ―――







 ………







 ………………







 ―――ん?


 ああ……どうやら寝ちゃってたみたいだな。


 加えて、いつの間にか横になってたらしい。

 体の感覚がそれを教えてくれていた。


 とりあえず、目を開けてみる。



 「起きましたか? 桜井くん」


 「えっ? 福谷……さん?」


 思ったことがそのまま口に出るとは、まさにこのことだろう。

 僕の目には、意外な人物……つまりは、福谷さんが映っていた。

 何やら微笑んでいるようにも見える。


 それにしても、後頭部が変にあったかいな。

 まるで人肌に触れてるみたいな感じ。

 しかも床にしてはやけに柔らかいような?




 ……って! この体勢、この温度、この感触、まさか―――



 「わあっ!!」


 とんでもない状況に気づいた瞬間、

 跳ね起きるようにして体を起こした。




 「さっ、桜井くん!? 急にどうしたんですか?」


 「どっ、どうしたもこうしたもないよ! だって……」


 「だって?」


 だって……膝枕だなんて、そんな。恥ずかしすぎるって。



 ―――とは言うわけにもいかないし。



 「ふっ福谷さんって、大胆だね!

  でっ、でも! そういうことは、あんまり見ず知らずの男にするもんじゃないと思うよ!?」


 「……? 桜井くんは、見ず知らずじゃないと思うんですけど?」


 「と〜に〜か〜く! 膝枕は今後禁止! 以上!」


 強引なことこの上ないが、これぐらいしか打開策が思いつかなかった。

 このまま理攻めに持ち込まれては、たまったものではない。


 ……しかしまあ、思いもよらない事をしてくれるもんだ。




 少し気持ちを落ち着かせるために、窓の外に目をやる。

 外は既にかなり暗い。


 太陽は西へと沈み、夕方というにも遅い時間帯だ。

 腕時計を見ると、17:52の表示。完全下校まで、もうちょっと。



 「あらら〜、ラブラブタイムはもうおしまい? 面白くないんだ〜」


 唐突にドアが開くと、声と一緒に優子ちゃんがひょっこり顔を出した。

 どこかから戻ってきたらしい。



 「優子ちゃ〜ん。他人事だと思って!」


 「まあまあ、そう言わないの。部室閉めずに待っててあげたんだから。

  ……って言っても、つばさとだべってただけだけどね」


 いつの間にやら、福谷さんの名前を呼び捨てにしている。

 喋っている内に意気投合したという所だろうか?



 「それにね、桜井くんがあんまり気持ち良さそうに寝てるから、

  寝かせておいてあげようって言ったの、つばさなんだよ? ちゃんとお礼言わなきゃ」


 「そうなんだ。……ありがとう、福谷さん」


 「そんな。部室を閉めずに待ってたのは優子なんだし」


 「そこで謙遜しないの〜。未来の会長さんなんだから、もっと自信持ってもいいと思うな?」


 「……うん」


 静かに頷くと、福谷さんははにかむように笑った。



 「あっ、あと膝枕は私のアイディアだから、そこん所よろしく」


 「やっぱり優子ちゃんがたきつけてたの!?」


 「あ〜、そういう言い方はないんじゃない? 十分楽しんだくせにさ」


 「うっ。それは……」


 たっ、確かに。

 福谷さんの膝の柔らかさを十分すぎるほど楽しんだのは間違いない……。



 「これで文句は言えないよね♪」


 「……は〜い」


 この娘には頭が下がるよ、ホントに。



 「そんなことより、桜井くん。つばさのポスター、バッチリできたよ! ジャジャーン!」


 ちょっとありきたりな擬音と共に差し出されたポスターは……。



 「おお〜……」


 思わず、感嘆の声をあげるほどの出来であった。

 そして何より―――




 福谷さんって、可愛いよな。




 第一の感想はそれだった。

 ちょっと不謹慎だが、レイアウトとかキャッチフレーズより先に、そこへ目がいってしまった。

 力強くも、優しさを感じさせる福谷さんの、その瞳に、その表情に、ちょっと気を抜くと吸い込まれてしまいそうだ。



 「これで、つばさの当選は間違い無しだよ! 選挙、頑張ってね!」


 「うん!」


 優子ちゃんの励ましに飛び切りの笑顔で答える福谷さん。




 その笑顔は、これから始まる選挙戦に希望の光を与えてくれるような、そんな気がした―――


 作者より……


 ども〜ユウイチです♪

 いかがでしたでしょうか、Life第八頁?


 何だか物語が動いてるんだか動いてないんだか微妙な感じですが、

 確実に前進はしています。今後の展開にご期待ください(^^ゞ


 さて、次回は生徒会選挙編の三頁目。

 いよいよ本格的な選挙活動が始まります、お楽しみに。


 ちなみに、このエピソードは色々と重要な回ですので、

 つばさ関連の行動で「あっ」と思ったら、読み返してみるとおもしろいかも。


 それでは次回にまたお会いしましょう! サラバ!(^_-)-☆by.ユウイチ


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