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第六頁「意外? 章の素顔」

 誰しも、他人には知られたくない趣味や、性癖ってものが1つはあるものだ。

 例えばそれは、妙なモノのコレクションであったりとか……。


 僕とて、その例外では無いわけで。

 他人にあまり知られたくない趣味というものがある。


 そして僕の場合、趣味に対する熱の入れ方というか、気合の入り方が人一倍強い……はずだ。

 他の人が、どの程度なのか分からないから、断言は出来ないけど。




 それはともかくとして、今日は故あって趣味に没頭したい、そういう気分の日だったのだが―――






 ………






 ………………






 「ほぇ〜、お兄ちゃんでも、ちゃんと一人で起きられる日があるんだ……」


 今朝は、あやのが発した、そんな失礼な一言から始まった。

 今日は珍しく、茜ちゃんやあやのの助けを借りず、目覚まし時計の力だけで起きる事ができたのだ。



 「失敬な、僕だって、たまには一人で起きる時もあるよ」


 「たまにはって、自分で言ってれば世話ないけどね」


 「うっ……痛い所を」


 精一杯の反論を一蹴されてしまう。

 最近、言動が茜ちゃんに似てきたな、あやのめ。


 個人的には、自力起床率も、間違いなく五割台だと思うのだが……。

 一般人から見れば、“たまには”のレベルだろう。



 「そんなことより、早く朝ご飯食べちゃったら?

  せっかく早起きしたんだし、たまには、ゆっくり学校行くのもいいと思うよ?」


 「へぇ〜い」


 ……どうにも、あやのに上手く丸め込まれている気がしてならない。

 これでは、返事も気が抜けてしまうというものだ。


 いったい、兄の威厳はどこへやら……。

 朝から妙な虚しさを感じてしまう今日この頃である。






 そうこうしている内に、家を出る時間となり、そのまま登校。

 登校途中の志木高生がいる以外は、いつもと大して変わらない風景。



 「それにしても……珍しいこともあるものよねえ。

  章がちゃんと起きるなんて。何日ぶりだろ?」


 「似たようなこと、あやのにも言われたよ」


 もはや苦笑するしかない。



 「この前だって、自転車は使わなかっただけで、トースト口にくわえながら家出てきたし」


 「あの時だって、けっこう余裕だったでしょ?」


 「まあ、結果的には、ね。

  でも、あの時は、あたしが起こしにいったでしょ?」


 「それは……そうだけど」


 要するに、怪しいグレーゾーンの時間帯だったということだ。

 それを言われちゃ、こちらとしてはおしまいである。



 「きっとアレよね。たまにしか食べられないから、特上寿司は美味しいってやつ」


 「ううっ……もう何でもいいよ」


 痛っ!

 的確かつ、ピンポイントですね茜さん!?

 朝から大ダメージですよ!?


 ……ホント、なんだかやるせない。

 だったら早起きしろ、っていうのは無理な相談だが。


 人間、できないことの1つや2つはあるもんなんだから、ちょっとは見逃してほしいものだ。






 ふと、空を見上げてみる。

 雲一つない晴天。


 僕の心は、少し曇り空だったけど、その雲も晴らしてくれるような―――

 そんな、春を感じさせる青空だった。





 ………





 ………………





 「今日もアツアツ登校ですか〜ご両人」


 教室に入るなり、耳慣れた声が聞こえてくる。



 「そういう翔子だって、逆・両手に華じゃない?」


 「私は、あなた達みたいに、最初から最後まで一緒って訳じゃないの。

  この2人とは、校門でたまたま会っただけ」


 翔子ちゃんの隣では2人の男子―――圭輔と光が、うんうんと言わんばかりに頷いている。


 果たして、男2人が女の横にいる状況をどう言うのかは、定かでは無いけど。

 ……とりあえず、逆・両手に華ではないのだけは確かだ。

 が、状況を的確に表した表現ではある。



 「まっ、何でもいいけどね。

  それにしても……今日のあなた達、からかい甲斐がないわねぇ」


 「今日はって……。何をまた急に?」


 不審な程急に話題転換をする翔子ちゃん。疑問がそのまま言葉になった。



 「だって反応が薄いんだもん。

  章&茜いじりは私の趣味なんだから、もっと面白い反応してよね」


 「たとえば?」


 「そうね―――」


 そう言って少し考えるポーズをとる翔子ちゃん。

 ……そんな真剣に考えんでも。



 「えぇ〜!? そんなぁ、ご両人だなんてぇ〜♪

  ホントのことだけどぉ、そんな風に言われるとぉ、あたしぃ、ちょっぴり恥ずかしいナ♪……とか?」


 ちょっ、ちょっと待った!?

 いくらなんでも、これはありえんだろ!




 こんなのを茜ちゃんがやったとしたら―――




 『えぇ〜!? そんなぁ、ご両人だなんてぇ〜♪

  ホントのことだけどぉ、そんな風に言われるとぉ、あたしぃ、ちょっぴり恥ずかしいナ♪』




 ……失礼ながらも寒気がしてきた。

 第一に、こんな喋り方をする女の子は、この平和な世界に存在しない。


 いたとしても、それは絶対に茜ちゃんではないはずだ。

 もし、もし万が一茜ちゃんが、ある日突然こんな風になったら―――いや、考えるのもよそう。




 「あっ、これいいかも。茜、ちょっとやってみてくれる?」


 「だ〜れがやるかっ!」


 ……ああ、そうか。多分翔子ちゃんは、こういう反応が見たかったんだな。

 まさかここで、『うん、いいよ♪』なんて、茜ちゃんが言うはずないし。


 ―――キャッチャーのリードにせよ、今のにせよ、

 ホントに、茜ちゃんを誘導することに関してはピカイチだな。




 それにしても、この娘は僕たちみたいなのを、いちいちからかって毎日暮らしてるんだろうか?

 って言うか、まず自分自身と圭輔はどうなんだ、って話だ。


 不思議系の翔子ちゃんだが、ますますキャラが分からないな、これじゃあ―――






 ………






 ………………






 んでもって、特に変わった事も無く放課後。

 まあ毎日毎日イベントに満ちていたら疲れてしまう。


 ―――朝のアレも、十二分に疲労を蓄積させてくれるイベントではあったが。

 色々と忘れたいので、記憶の引き出しにしまいこもう。




 とりあえず、さっさと帰るか。




 ………




 ………………




 帰りの道中、グラウンドの脇を通りかかった。

 放課後という事もあり、威勢のいい運動部の掛け声が聞こえてくる。


 茜ちゃんや圭輔たちも頑張っているんだろうなあ、なんて他人事のように考えて、そのままスルーした時だ。

 目の前に、突然白い―――正確には、使い込まれて少し茶色がかった球体が落ちてきた。

 野球ボールより少し大きめの球。


 ソフトボールだ。

 転々と、コンクリートで舗装された道路を転がるボール。

 放っておいても誰かが拾うだろうし、そっとしておこう。


 ……決して面倒だからというわけじゃないぞ、うん。



 「おーーーいっ!!」


 遠くから声が聞こえてくる。

 僕を呼んでいるような気もしなくはないが、やはりスルーする。



 「おーーーいっ! コラッ!! むしするんじゃなーーーいっ!!」


 ほら、早く返事してやれよ。呼ばれてるぞ?



 「そこのおまえだよーーー! お・ま・え!

  いちのえー、しゅっせきばんごうはちばん、さくらいあきらーーーっ!!」



 はい、すみません。最初から分かってました。

 無視してごめんなさい。


 ―――このハスキーな声、何度も聞いた記憶が……。



 「ちょっと、ボールもってきてーーーっ!!」


 はるか彼方で、僕に向かって誰かが手を振っている。


 “誰か”なんていう、他人行儀な言い方はよそう。

 こちらに手を振っているのは、志木高女子ソフトボール部キャプテン、2年の福谷明(ふくたに・めい)先輩その人である。


 しょうがない、頼まれてるのに無下に断るのもナンだし。

 ここは、見つかってしまった不運を呪うとするか。


 それにしても……けっこう距離があるな、おい。




 「お〜。ご苦労ご苦労、桜井」


 「いえいえ、それじゃあ僕はこれで……」


 早めにこの場を去ろうと回れ右をしてみたが、

 その肩は、人にあらざる力でガッシリ掴まれている。



 「いやいやいや、せっかく来たんだから、ゆっくりしていきなって。

  ―――手伝いでもしながら」


 やっぱそうなりますか。




 ソフト部に行くと、明先輩に頼まれて……と言うか強制されて、いつも色々と手伝わされる羽目になる。

 明先輩という人は、有無を言わせぬ迫力があるのだ。それでいて豪快でもある。


 手伝いの内容は、お茶を沸かしたり、ドリンク作ったり、ボール磨きをしたり、時にはユニフォームの洗濯したり―――以下略。

 とにかく、一般的にはマネージャーがやるような事をやらされる。


 じゃあ正規のマネージャーがやればいい、という話になるが、その正規のマネージャーがいないのだからどうしようもない。

 たまたま通りかかった僕を見つける度、これ幸いと声をかけてくるのだ。


 普段は、部員同士が手分けしてやっているらしいが、

 基本的に練習を優先させたいらしく、僕がいれば、まず間違いなく声をかけてくる。


 はたして、僕以外の知り合いにもそうしているのか、あるいは僕だけになのかは知らないけど。

 こちらとしては、どちらにせよはた迷惑な話だ。

 ―――後者だったら先輩だけじゃなく、茜ちゃんと翔子ちゃんの影も感じるが。




 こんな強引な明先輩だが、その強引さが受けてか分からないけど、周囲からの人望は厚い。

 女子ソフト部に限らず、だ。


 確かに、気さくで明るいし、ああ見えて思いやりがあるので、そうなっても不思議ではないのかも知れない。

 僕も決して嫌いではない。いや、むしろ好感がもてる。


 好感はもてるんだけれども……手伝いは勘弁してほしいところだ。



 「よーっし、マネージャーも来たし、ノックいくよーーっ!!」


 「ハイッ!」


 明先輩の呼びかけに、女子ソフト部の面々が答える。


 僕は、いつからマネージャーになったんだろうか?

 そして、どうしてマネージャーが来たからノックが始まるのだろうか?


 そんな疑問に答えることなく、明先輩は僕のことなど忘れたかのように、ノックを始めていた。

 ……この分だと、どうやら部活終了まで帰れなさそうだ。





 ………





 ………………





 日もだいぶ沈んできた、部活終了時刻のPM6:00。

 先ほどようやくソフト部の練習が終わり、今は部室でミーティングをしている。


 ミーティングと言っても、内容は明日の連絡やら何やらで、ミーティングという言葉も大袈裟なぐらいだ。

 他の呼び名も思いつかないが。


 ……帰りの会? ちょっと違うかな。

 やはり、しっくりくるからミーティングなんだろうし、深く考えることもないか。


 と、そんなことはどうでもよくて。


 正直、部外者の僕がこれ以上この場にいる理由もないのだけど、

 帰ろうとした時の、明先輩から発せられる無言の圧力があまりに強力過ぎたので、

 帰るに帰れなくなってしまった。


 僕の立場ってどうなってるんだろうと思いつつ、ひたすら終了を待つ。

 短い時間のはずなのに、ひどく長く感じられた。




 ―――が、そう感じていたのは、どうやら僕の腹時計だけだったようで、

 実際の所は2〜3分といった所で終わっていた。


 終わりの挨拶も済んだことだし、今度こそさっさと帰るぞ。



 「桜井、ちょっと」


 ……って所で、明先輩に手招きされた。

 どうやら、今日はとことんまで付き合わなきゃダメな日らしい。




 「桜井、こんな遅くまで手伝わせて悪かったね。おつかれさん」


 「いえ。もう、だいぶ慣れちゃいましたし」


 実際、けっこうな回数を手伝っているのだ。


 それに、知り合いの多い部活だから、彼女たちの役に立てるし。

 実際のところ、それはそれで悪い気もしなかったりする。



 「なかなか頼もしいね、そりゃ」


 そういう明先輩の顔は、何が嬉しいのか笑っていた。



 「それじゃあいつも手伝ってくれるアンタに、お礼ってことで。ホラッ」


 そう言うと、グッと手を握られた。

 と同時に、手の平に感じる金属の冷たい感触。


 渡されたものの正体を確かめようと、握られている手を開いてみる。

 ……500円玉?



 「そうだね……給料みたいなもんだと思っとくれ。帰りにジュースでも買っていきな。

  桜井にはいつも世話になってるからね」


 「そんな、悪いですよ」


 「いいって。後輩の面倒見るのは、先輩の仕事だろ?」


 「はぁ……」


 こんな時にまで、有無を言わせない何かがあるんだよな、明先輩。


 ……せっかくの好意だ、受け取らないのもヤボってもんだろう。

 とりあえず、ポケットにでもしまっておこう。



 「これからも、またよろしく頼むよ。

  今日はありがと。それじゃあ!」


 これからもよろしく、ってのがどうにも引っかかったけど。

 もしかしたら、正規のマネージャーに任命されてしまう日も、そう遠くは無いのかもしれない。


 それはともかく―――きっぷの良さも、先輩が慕われる要因の1つかもしれないと、そう思った。





 ………





 ………………





 ソフト部の練習に付き合っていたので、茜ちゃんたちと帰れないこともなかったが、

 僕はあえて家路を急いだ。


 正直、時間が惜しい。




 家の玄関を半分体当りのような感覚で開き、「ただいま」とだけ言うと、

 あやのの返事も聞かずに、2階の自室へ駆け上った。


 「ちょっ!? お兄ちゃん、晩御飯はー?」


 「今日はいらない!」


 下からあやのの声が聞こえてくるが、残念ながら、今の僕に夕飯を味わっている時間は無い。

 どうせ、いらないって言っても、後であやのがおにぎりか何かを持って来てくれるし。



 部屋に入るなり、カバンを放り出し、パソコンを立ち上げつつイスに座った。


 遅れを取った分は、細かい所で時間を節約して行きたいが……。

 現実はそうもいかず、やはり起動にはそこそこの時間を要した。



 しばらくして、見慣れた壁紙がディスプレイに表示される。

 すぐさまメールソフトを立ち上げるものの、起動してすぐなので反応が鈍い。

 イライラしながら待つ。


 少し待ってから立ち上げればいいのだが、どうにも慌てていて、そんな事まで気が回らない。


 こういう時間って、さっきのミーティングも然り、短いはずなのにかなり長く感じる。

 状況によって時間の長さが違うというのも、不便な話だ。

 是非、その辺りは統一して欲しい。



 やがてメールソフトが立ち上がる。


 感想メールは―――3つか。

 おっ、ピーチっちさんからも来てるな。

 いつも感想をくれて、嬉しい限りである。



 メールソフトをそのままにして……っと。


 さあて……書きかけのヤツ、締め切りは今晩だし、頑張っていってみようか!






 ………






 ………………






 ―――“小説の執筆”が、僕の趣味になったのはいつごろだったろうか。

 そして、“SS書き”になったのは、いつごろだったろうか。




 少し手を休め、そんなことを考えた。




 そもそも、“SS”の定義もあいまいだからなぁ……。


 小説が、“SS”って呼ばれる世界もあると知ったのは、ネットを使うようになってから。


 サイドストーリーの略とか、ショートストーリーの略とか諸説あるけど、僕は特にこだわっていない。

 実際、僕は版権作品の2次創作からオリジナルまで何でもござれって感じだし。

 書いてしまえば、どちらにせよ大差ないし。



 それにしても、パソコンってのは便利なものだ。

 書くのも楽だし、人に送るのも楽だし。


 書いた作品は、テキスト系のサイトさんに投稿という形で送って、公開してもらってる。

 自分のサイトを持ってもいいけど……当分はないかな、やっぱり。


 締め切りだなんて言ってるけど、趣味の世界だから、そんなものは、実のところ存在しない。

 自分でケジメをつけるために、自分で設定しているだけだ。


 放っておくと、ズルズルと何となくそのままにしてしまいそうな自分を感じるからだ。

 もっとも、こうやって締め切り前に慌ててちゃ、結局は似たようなものなのかもしれないけど。


 ちなみに、僕のSSは、何やら読者の皆さんにはウケがいいらしく、

 自分で言うのも変だが、その筋では結構な有名人になっているようだ。


 感想メールもそこそこ来るし、この辺りは正直嬉しい。



 しかし、ネット上はともかく、僕の周囲でこの趣味を知っている人は少ない。

 少ないと言うか、知っているのは母さんと茜ちゃんの2人だけ。


 あやのすら知らない、秘密の趣味。



 どうしてそんな事になったんだろうか?

 改めて考えてみると、明確な理由が思いつかない。



 ……あえて挙げるなら、僕自身が、妙に恥ずかしかったというところか。

 何となく、自分から進んで言う気にはなれなかったのだ。


 母さんについては、執筆してる所を見られてバレただけだし。



 茜ちゃんは―――そっか、茜ちゃんだけは、ちょっと事情が違うのか。


 まだ僕が紙で書いていた頃、SSなんて言葉も知らなかった頃に読んでくれていた、唯一の読者だったから。


 だから、書くものが“SS”になっても読んでもらっている。

 わざわざメールに添付して送ってまで。


 書いた作品を茜ちゃんに真っ先に送るのは、もはや2人の暗黙の了解になっている。

 誰よりも早く僕のSSをチェックしているはずなので、ある意味では、茜ちゃんが僕の一番の読者と言えるかもしれない。






 ……よし、休憩終わり! あと少し、頑張ってみるか!





 ………





 ………………





 執筆を始めて、2,3時間ほど経ったろうか? ロクに時計を見てないから、時間感覚が無い。

 あいにく、僕の腹時計は、どうにもいい加減みたいだし。


 あやのはまだ起きているらしい。さっき、おにぎりとコーヒーを持って来てくれた。

 動かずにすむので、実にありがたいところだ。

 これで、コーヒーがブラックだったら言うことは無いのだが―――ぜいたくは言わないでおこう。






 んっ?


 新着メールがあるみたいだな。

 一旦テキストソフトを下げて……っと。




 送信者を見て、頬の筋肉が弛緩するのを感じた。

 ―――母さんか……久しぶりだな。






 『ヤッホー章! 元気してる? 母さんは今、中国の上海にいます♪


  ここのところ、連絡できなくてごめんね〜(>_<) 

  忙しくて忙しくて、猫の手も借りたい状況だったのよ。


  今はどうにか原稿も仕上がって、ちょっとだけ暇ができたってワケ。

  締め切りっていうのは厳しいものだからね。あなたも作家だから分かるわよね。


  ……って、作家は章じゃなくて“ショウ”か(笑)

  それはそれとして、上海はどんな所かと言うと―――




 ………




 ………………




 以下、上海の説明が延々と。

 ……母さん、国際ジャーナリストじゃなくて、ガイドでも食っていけそうな気がするよ。




 ………




 ………………




  どう、来たくなった!? 彼女ができたら卒業旅行にでも来なさいね。

  それじゃ、章へはこれだけ。元気でね☆




 彼女云々は余計だが、確かに楽しそうではある。

 行くかどうかは、機会次第というところだ。




 あやのにも色々書いてあるな。

 ……まあ、読んでもそんなに問題なかろう。




  あやのへ


  高校合格おめでとう!

  お兄ちゃんより成績のいいあやのの事だから、まず間違いはないと思っていたけど、

  合格の知らせを聞いた時は、やっぱり一安心でした。


  試験の当日も、メールを送ろうと思ったんだけど、徹夜作業で暇が無くて……本当にゴメンね。


  でも、頑張った甲斐があって入学式には出れることになったよ!

  ちょうど今は中国だから日本にも近いし、本当に運が良かったと思っています。


  残念ながら入学準備は手伝えないけど、お兄ちゃんに手伝ってもらって、頑張ってね!


  母さんはいつでも、世界のどこからでも、あなたたち兄妹を見守っているよ。

  ……見守るぐらいしかできないけどね(^^ゞ


  色々大変だと思うけど、体には気をつけてね。


  それじゃあ、4月にまた会いましょう☆  母より』






 ……なんて言うか、相変わらず、母さんは母さんだなあ。


 文体がフランクとでも言いますか。

 本当に、世界を飛び回っている一線級の国際ジャーナリストなのかと、つい疑ってしまう。


 女手一つで僕達をここまで育ててくれたんだから、その実力は本物だろうと思うけど……。

 実物の母さんを見ると、やっぱり首を捻ってしまうわけで。

 うん、微妙だ。




 それはともかく、母さんも元気そうでなによりだ。

 最近、連絡が途絶えてたからなあ……。

 海外だと、電話しようにも色々と障害が多くて困る。


 とりあえず、あやのにもメールを読ませてやるか。

 母さんがもうすぐ帰ってくるって知れば、あいつも喜ぶだろうしな。

 母さんからメールが来たっていえば、たとえ寝てても飛んでくるだろう。






 執筆の方も、もうすぐ終わりそうだし、何だかんだで、今日は良い1日だったな―――。


 作者より……


 ども〜、作者のユウイチです☆

 いかがでしたでしょうか、Life第六頁は?


 はい……と、いうワケで、キャラ紹介のラストはパワフルな明先輩と、

 そして我らが主人公、章でしたね。

 ―――ねっ、主人公なら、最後にふさわさしいでしょ?(爆)


 さてさて次回ですが、キャラ紹介編も終わったという事で、少しずつ物語が動き始めます。

 どんな展開になっていくかは……今までの話にヒントが隠されてます(笑)

 暇で暇でどうしようもないという方は、探してみるのもまた一興かと。


 ヒントは第四頁。1年の最後のイベントって何だったかな……?



 それでは次回またお会いしましょう!

 サラバ!(^_-)-☆by.ユウイチ


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