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第三十頁「それぞれの学校祭」

 『さくらいく〜ん、朝だぞ〜!

  せ〜の―――おきろおきろおきろおきろおきろおきろおっきろ〜!!!』





 ―――カチッ





 ……今朝は未穂ちゃんのメッセージか。

 とにもかくにも元気、って感じだな。これは確かに目が覚める。



 「さてと……とりあえず着替えるか」


 せっかく早起きしたんだし、二度寝してはもったいない。

 ……って言うか、二度寝しちゃダメだし。


 今日から生徒会執行部が学祭に向けて本格的に動き出すのだ。

 合宿から帰ってそんなに日が経っていないけど、そうも言ってられない。

 それを言えば、茜ちゃん達ソフト部の面々はおととい大会から帰ってきたばっかりだし。



 ―――大会、みんな頑張ったんだな。

 ベスト4って言ったら、かなりすごいんじゃないだろうか。


 華先生に聞いた話だけど、今の世代はいわゆる“黄金世代”らしく、志木高の歴史の中でも強力な部類だとのことだ。

 まあ、設立10年そこそこと、歴史の浅い学校ではあるけど、それでも強いことには変わりない。

 何より、数字がそれを雄弁に証明している。



 「って、しんみりしてる場合じゃないって」


 ちょっと慌てて制服に着替えると、階下に降りた。





 ………





 ………………





 「あっつ……」


 8月の熱い熱い太陽光線をもろに受けながら、一人自転車をこぐ。

 部活に行くには中途半端な時間なのか、人の姿はまばらだ。


 自転車できて正解だったな。

 こんなクソ暑い中を歩くことを思うと、それだけでゾッとする。




 ソフト部は大事なミーティングがあるとかで、茜ちゃんとあやのとは別々に登校ということになっていた。

 ってことで、茜ちゃんと翔子ちゃんは生徒会の方にはこれないみたいだ。


 大会が終わったばっかりだって言うのに、ご苦労なことだ。

 ……まあ、終わったばっかりだからこそのミーティングか。


 これをもって3年生は引退、代替わりらしいけど……。

 それに関して気になることがひとつあった。


 ―――『新キャプテンは誰なのか』ということだ。


 直接僕には関係なさそうでいて……これがけっこう重要だ。

 なんたって、その人の裁量一つで僕がソフト部を手伝うか否かが決まってしまうわけだし。


 今までも何だかんだ言って、直接“頼んで”きたのは明先輩だったし、

 これに関してはキャプテンの気持ち次第って部分はあると思う。


 さすがに明先輩みたいな人は僕が知る限りいないが……。

 とにかく、人使いが荒くない人がなることを切に望むだけだ。


 翔子ちゃんなんか最悪の部類だ。

 面白がって毎日拘束されかれない。それだけは勘弁だ。


 でも、翔子ちゃんは前に出てバリバリってタイプではないから、それはないかな。

 そう考えると―――誰だ?


 女子ソフト部の人間関係にそれほど明るいワケではないが、今いちパッと出てこない。

 ……いや、候補が出ないこともないのだが、あんまり考えたくない可能性なのだ。

 誰かはあえて言うまい。口にしたら現実になりそうだし。


 まあ、こればっかは僕がどうこうできることじゃないし、大人しく成り行きを見守るしかないか。






 さらに自転車をこいで校門に着いたところで、知った顔を見つける。

 つばさちゃんだ。



 「おはよ、つばさちゃん」


 「章くん。おはよう、今日は一人……だったよね」


 「茜ちゃんは部活だからね。次のキャプテン決めたりとか、大事なミーティングで外せないとかで」


 「うん、そう聞いてる。

  そっか……お姉ちゃんも、もう引退なんだ」


 つばさちゃんは少し感慨深げに呟いた。

 けど、そこに寂しさは感じられない。



 「……あの後、明先輩とは?」


 「あっ、そういえば、全然その話してなかったね」


 とは言うものの、福谷姉妹とは合宿以来会っていなかったが。

 三年ぶりの姉妹再会に水を差すのもどうかと思って、何の連絡もしなかったし。



 「あんなにお世話になったのに……ごめんなさい」


 「いいよ、そんなの全然気にしなくても。

  仲直りさえしちゃえば、後は僕が立ち入ることでもないんだし」


 「そんなことないよ。お父さんもお母さんも、章くんに会って何かお礼がしたいって言ってたし」


 「そっ、そう……?」


 福谷家のお礼か……。期待するまでもなく期待以上のものが出てきそうな気がする。



 「それでね、お姉ちゃんのことなんだけど……。

  あの後、一回帰ってきたんだ」


 「そっか。じゃあ、収まるところに収まったってこと?」


 「それがそうでもなくて……。

  帰ってはきたんだけど、色々話し合って……結局、一人暮らしを続けることになっちゃって」


 「へっ?」


 何とも意外な話だ。もしかして、やっぱり親御さんとモメたとか……?



 「あっ、でも今までみたいなことは全然ないんだよ?

  お姉ちゃん、ちゃんとお父さんとも仲直りできたし、毎週の週末には帰ってくるっていう約束だし」


 「それなのに、なんで?」


 「う〜ん……なんていうんだろう。

  要するに、お姉ちゃんが『一人暮らしは気楽だから』って言ってるからなんだけど」


 「…………」


 なんともまあ……明先輩らしい話だ。

 うなずけてしまう。



 「もちろん、他の理由もあるんだけどね。 

  もうすぐ就職だし、引越しとかなんとかも慌しくなるからとか、

  今さら環境を変えたくないとか」


 「なっ、なるほど……」


 どれもこれもわがままな気がしなくもないが、しかし大事なポイントではある。


 ―――っていうか。



 「明先輩って就職なの?」


 「あっ、その話もしてないよね。

  うん、そうなんだ」


 「へ〜。なんか意外。先輩って成績いいし、進学だと思ってたのに」


 最近知ったのだが、明先輩はあれでいてかなり成績がいいらしい。

 それこそ、学年トップクラスとかいう話だ。

 さすがはつばさちゃんの姉ということだろうか……。



 「そういう選択肢も、もちろんあったんだけどね。

  ……実は、ソフトボールの実業団チームから話がきてるらしくて」


 「えっ! そうなの!?」


 「まだ本決まりってことじゃないんだけど……。

  お姉ちゃんは、入りたいって思ってるみたい」


 「そっかぁ……。それにしても、すごいな先輩は。

  話が来るってだけでも、ホントにすごいと思う」


 只者ではないと思っていたが、確かにそうだったようだ。



 「えへへ……そうだよね。

  お姉ちゃんのことなのに、私まで嬉しくなってきて。

  こういうの、なんかひさしぶりで」


 「つばさちゃん……」


 「もしかしたら、また別れわかれになっちゃうかもしれないけど……。

  でも、今度は今までと違うって分かるから」


 「そっか……そうだよね」


 三年近くもの長い間、離ればなれだった姉妹。

 精神的な距離と物理的な距離は違うと、つばさちゃんは肌で感じているようだった。



 「それにね。今度はずっとってわけじゃないから……だから、大丈夫」


 つばさちゃんの言葉に、ただうなずくことで同意を示した。



 「もしお姉ちゃんが実業団チームに入れば、今度はもっと応援できるし。

  結局、試合はあれっきりしか見れなかったから……。

  お姉ちゃんがソフトボールやってるところ、もっと見てみたいんだ」


 「うん。いいと思うよ、そういうのも」


 そう……そうやって、離れていた分は、これから埋めていけばいいんだ。

 抜け落ちた時間さえも、この二人なら埋められると―――そう思えた。




 「あっ、もうこんな時間! 章くん、急がないと」


 「へっ……って、そうだね。じゃあ、行こうか」


 時計を確認すると、会議の開始直前という時刻になっていた。

 知らぬ間にけっこう話しこんでしまっていたみたいだ。


 二人が再会できたことを改めて喜びながら、生徒会室へと走るのであった。




 ………




 ………………




 生徒会室に着くと、僕達二人以外のメンバーは既に揃っていた。

 ……少し足りないとは言え、改めてこうして集まると壮観だな。






 「―――と言うわけで、仕事の割り振りは板書した通りです。

  文化部の皆さんは部活の発表があるので、その点を考慮して割り振ってみました。

  その分、運動部は負担が大きくなってしまいましたけど……何か意見がある人はいますか?」


 「…………」


 何も反論はなかった。理解があるメンツで助かる。



 「それでは……。学校祭までいよいよ一ヶ月ほどになりました。

  ここから、みんなで頑張っていきましょう!」


 つばさちゃんの意気込みに、みんなが拍手で以って応えた。

 何ともいい形のスタートだ。




 仕事の割り振りを改めて確認してみた。

 確かに、全体として運動部の方が手間がかかりそうな仕事が振られている。


 が、そんな中で文芸部所属のつばさちゃんは初日のホール発表担当だ。

 ……これって確か、使用するホールの人との交渉とか、各部活との連絡とかで忙しいんじゃなかったか?


 いくら他に茜ちゃんと翔子ちゃんとのチームとは言え、仕事量はけっこうなものだろう。

 出る部活も、吹奏楽を筆頭に演劇、合唱、邦楽と多彩な上、生徒会によるオープニングパフォーマンスまであるし。

 まさにてんこ盛りだ。つかみが重要だから妥当な配分なのは間違いないけど。


 責任感の強いつばさちゃんらしい配置といえばそうなるが……。

 せめて、余計な仕事を増やさないようにしないとな。

 何せ僕だって副会長なんだし。




 ―――と、気合を入れるのもいいが、僕の担当はどこだっけ?




 「……ステージ企画か。責任重大だな」


 3日間続く学校祭の2日目でもある、文化祭2日目の目玉企画だ。


 体育館ステージでの漫才やらバンド演奏やらダンスのパフォーマンスという定番のものに加え、

 ミスコンに女装コンテスト、そして生徒会によるクラス対抗ゲーム大会と、大がかりな企画が多い。

 女装コンは個人的にはどうかと思うが……これがまた盛り上がるんだよな。


 小春ちゃんたちのバンドもここでの発表を目指してるし、これに賭けてる人だって多いんだ。

 失敗は許されない。



 「それで、一緒に担当するのは―――」


 「桜井」


 「うわっひゃあ!?」


 「……そんなに驚かなくてもいいと思うが」


 「なっ、なんだ吉澤か……おどかさないでよ」


 前にも京香ちゃんに背後を取られたことがあったが、やはり武道の心得があるとこういうことが得意になるんだろうか?

 ……僕がスキだらけなだけかもしれないけど。



 「別におどかしたつもりはなかったんだけどな……。

  まあ、それはそれとしてだ。

  桜井、お前もステージ企画担当だよな。よろしく頼む」


 お前“も”ってことは―――



 「そっか、ステージ企画担当は僕とアイドルトリオか。よろしく」


 「……その呼び方はやめてほしいんだが……ああ、そういうことだ。

  こちらこそ、よろしく頼む」


 書類を確認すると、確かに桜井・吉澤・沖野・工藤となっている。

 なんとも珍しい組み合わせになったものだ。


 ひとしきり驚いた所で、四人での話し合いが始まった。






 「―――やっぱ、生徒会企画の準備が大変そうだな。

  毎年毎年、手の込んだことやってるし。

  他の企画と生徒会企画で担当を分けるか?」


 沖野の提案だった。

 ……確かに、参加人数が桁違いなだけでも大変そうだ。

 力の入れ方もハンパじゃないらしく、資料を見ると毎年のように大型企画が実施されている。



 「それじゃあ、僕は生徒会企画以外の企画を担当するよ。いいかな?」


 「桜井がそう言うなら、俺はそれでいいと思うんだが……吉澤と工藤は?」


 沖野に振られた工藤は、何も言わずにうなずいた。

 どうでもいいが、工藤はホントに口数が少ないな……。

 男は黙って、っていうタイプなんだろうか?



 「俺も別に構わないが……一人で大丈夫か?」


 「まあ、何とかするよ。

  僕は企画とかはあんまり得意じゃないけど、こっちの仕事ならできそうだし。

  それに、いざとなったら経験者の三人が控えてるわけだしさ」


 「そういう考え方もあるか……。そうだな。

  じゃあ、そっちは任せる」


 正直、初めてのことだからぶっつけ本番ではあるが……まあ、やるしかない。

 何もやらないわけにはいかないんだ。

 アイドルトリオという強力な味方もいるんだし、どうにかしてみせるさ。



 「よし、じゃあとりあえず四人で大まかな流れなんかを確認するか」


 その後も、吉澤の主導でしばらく話し合いが続いた。


 6月から少しずつ準備を進めていたこともあり、進行もスムーズだ。

 生徒会活動の経験者だって三人もいるんだし、不安はあまりなさそうだな。




 ………




 ………………




 「―――さて、どうしたものか」


 生徒会室内は閑散としていた。

 今は僕とつばさちゃん、それに部活が終わってやってきた茜ちゃんと翔子ちゃんしかいない。


 午後の活動は基本的に自由なので、部活があるメンツは部活に出たようだ。

 文化部三人娘なんかは色々大変らしく、昼を済ますなり部活へ飛んでいった。


 自分はどうなのかと言えば、飛んでいく部活もなければ差し迫った仕事もないわけで。

 さりとて、この暑い中をすぐに帰る気もしなかったので、手持ち無沙汰の状態なのだ。



 「……そういえば、あやのがバンドの練習するとか言ってたな」


 行ってみるか。

 ステージ企画担当者として、出場予定のバンドを見ておくのも重要な仕事だろう。


 ―――なんてもっともらしい理由をつけ、音楽室を目指した。




 ………




 ………………




 ―――〜〜♪♪〜〜〜〜♪〜♪〜〜〜〜〜♪♪♪






 ビンゴだ。

 音楽室で練習している確証はなかったが、部屋に近づくと演奏らしき音が聞こえてきた。

 いったん演奏が止まった所で中に入る。



 「あっ、お兄ちゃん」


 「ども〜、生徒会が視察に来ましたよ、っと」


 「よう章。その生徒会はいいのか?」


 「今は小休止ってところかな」


 休憩の理由は適当だが。嘘はついていない。


 改めて部屋を見ると、どうやら小春ちゃんたちのバンドしかいないらしい。

 ボーカル・愛美ちゃん、ドラム・光、キーボード・あやの、ベース・小春ちゃん。

 ……そして、新規加入のギター・明先輩と、以上五人だ。



 「そっか……フルメンバー揃ったんだね」


 「仕掛け人が何を言ってるんだか」


 「いや、それはそうなんですけどね。

  明先輩、忙しいのに本当にありがとうございます」


 当事者じゃない僕が言うセリフでもない気がするが……。

 それでも、ずっと気にかけていたことだ。お礼を言っても間違いじゃないだろう。



 「……礼を言うのは、あたしの方だよ。

  桜井には、返しても返しきれないぐらいの恩ができちゃったからね。

  これでも足りないくらいさ」


 「そんな、僕なんて何もしてないですよ」


 「くすくす……。そういうのも、やっぱり桜井らしいね」


 何がおかしいのか、明先輩はただただ笑っていた。



 「あたしとしても楽しませてもらってるし、桜井が気にすることなんてないよ。

  ……まあ、力になれてるかは、岸辺の判断に任せるけど」


 「そりゃもう、大助かりですよ! 明先輩はとってもお上手ですから!

  今回限りと言わず、ずっといてもらってほしいぐらいです」


 判断を任された小春ちゃんは興奮気味に言った。

 自身も実力者の彼女が言うんだから間違いないだろう。



 「そうかい? バンドって形で合わせるのは初めてだったから、ちょっと不安だったんだけどね。それならよかったよ。

  さすがに、ずっといるってワケにはいかないのが、あたしも残念なんだけどね」


 ……どうやら、人間関係も良好のようだ。

 こっちの方は最初から大して心配してなかったけど。



 「そう言えば、学祭ではどういう曲やるの?」


 このバンド、関わりがあるようで実は演奏を聞くのは今日が初めてだった。

 よって、何をやるのか全然知らない。



 「え〜っと、一応3曲やろうって考えてるんですよ。

  オリジナル作ってる時間はなかったから、全部コピーなんですけどね。

  例の声優さんの曲もあるんですよ」


 「例の声優って……百乃木愛子のこと?」


 そう言って返すと、小春ちゃんがうなずいた。



 「へ〜……。でも、バンドスコアなんて無かったでしょ?」


 「はい。だから耳コピで頑張ってみました」


 「ハルはすごいんだよ〜。絶対音感あるんじゃないかってぐらい、簡単にコピーしちゃうんだから」


 そりゃすごい。音楽は素人の僕でも、何となくだがすごさが分かる。



 「そっかぁ……。本人そっくりに歌える愛美ちゃんがボーカルだし、これは期待しちゃってもいいかな?」


 「はい、ぜひ!」


 「こっ、小春〜……」


 小春ちゃんは元気よく答えているが、愛美ちゃんの方は自信なさげだ。

 ……まあ、性格の差だろう。さっき聞いた限り、レベルは相当高そうだし。



 「そうだ! 桜井先輩、せっかく来てくれたんですから、演奏を聞いていきますか?」


 「いいの?」


 「もっちろん! 先輩だって、立派な関係者ですもん。

  みんなも、いいよね?」


 小春ちゃんの呼びかけに、みんなは無言でうなずいた。



 「それなら、お願いしようかな」


 「じゃあ、早速!」


 みんなが楽器の準備に取り掛かる。

 制服と楽器ってのは斬新な組み合わせだけど、これはこれで決まっていた。



 「じゃあ愛美ちゃん、お願い」


 「うん。……じゃあ、行きます。

  ―――ワン、ツー、スリー、フォー!」




 ―――〜〜〜〜♪♪〜〜♪〜〜〜〜〜♪♪♪〜〜




 ―――〜〜♪〜〜〜〜♪♪〜〜〜〜〜♪〜♪♪♪




 ―――〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜♪♪♪〜〜〜♪♪〜〜〜〜♪





 ………





 ………………





 ―――パチパチパチパチパチ!


 3曲目が終わると同時に、思わず拍手していた。

 今は僕一人だけのささやかな拍手だけど、当日には体育館中を包む大歓声となっていることだろう。

 それぐらい、みんなの演奏はすごかった。それこそ、素人の僕でも分かるぐらいに。



 「いやあ、みんなすごいよ! 本番が楽しみだな〜、ホント!」


 「えへへ……ありがとうございます、先輩。

  って言っても、ミスもあったし、まだまだつめなきゃだめな所はあるんですけどね」


 そうなのか……。だけど、それはまだのびしろが残されているということで。

 ますます期待できそうだ。



 「中でも、やっぱり最後の百乃木愛子がよかったな〜。

  “Prism Days”だよね?」


 ど〜せ〜ジェネレーションのオープニングテーマだ。

 ちなみに、僕の一番のお気に入りでもある。



 「あっ、はい、そうです。私が一番歌いなれてるから、これにしてもらったんですよ。

  ……小春がどうしても1曲は百乃木愛子を入れたいって言うから」


 「だって〜! せっかく本人そっくりに歌えるんだから、歌わないなんてもったいないよ」


 やっぱり小春ちゃんの仕業か。もしかしたらとは思っていたが、予感的中だ。

 まあ、こっちとしては嬉しい限りだが。



 「でも、得意な曲を入れるってのはアリだと思うぜ。アニソンやるバンドなんてそうそうないしな。

  それにこの曲、ドラムパートもけっこう凝ってるから、やってて楽しいし」


 「そうだねぇ……。あたしも、CD聞いて思ったんだけど、ホントにそっくり歌うんだもんね。

  確かに、これを生かさない手はないと思うよ」


 「和泉先輩……それに福谷先輩まで。もう……」


 とか何とか言ってる愛美ちゃんであったが、Prism Daysが一番気合入ってるように聞こえたのは、僕の思い過ごしじゃないだろう。

 やはり、十八番にかける気持ちってのはあるんだと思う。 



 「よ〜っし、僕もなんか気合入ってきたぞ!」


 学祭に向けて頑張るみんなの姿を見てると、こっちまで頑張れる気がしてきた。



 「……お兄ちゃん、いつになく熱いんだね」


 「こんな時ぐらいは、ね。 ステージ発表担当なんだし、やるからにはいいものにしないと!」


 「よっしゃ、その心意気やよし。

  期待してるぞ、章」


 光の心には何か感じるものがあったらしく、やたらと嬉しそうにしていた。




 この後、高いモチベーションのまま生徒会室に戻り、一気に仕事を進めたのは言うまでもない。






 学祭に向けて、みんながそれぞれの場所で頑張ってる。


 文化部三人娘然り、バンドメンバー然り、会長のつばさちゃん然り……。


 その頑張りに応えるためにも、生徒会副会長として、僕も頑張っていかなきゃな―――!

 作者より……


 ども〜作者です♪

 Life三十頁、いかがでしたでしょうか?


 今回はちょっと短めですね(^^ゞ

 明先輩編で気合入れた反動だとでも思って勘弁してやってください(^^;

 元から閑話休題みたいな話ですし(笑)


 あっ、それから学祭の形態についてですが、文化祭と体育祭をまとめて学校祭ってことにしてます。

 本編にもありましたが、初日がホール発表、2日目が学校での出し物などなど、最終日が体育祭になります。

 ……これ、母校の学祭の形そのまんまなんですけどね(笑)

 話が作りやすかったもんで、そのまま流用してみました。


 どうでもいい話ですが、最近章が熱い性格になってますね。

 夏の太陽にあてられたのか、それとも周りのメンツに感化されたのか?(笑)


 それはともかく、次回は文化部三人娘のあの子にスポットを当てたエピソードその1!

 誰になるのかは……読んでのお楽しみ(笑) ヒントは本編中にあったりするんですけどね。

 いつものごとく、期待し過ぎない程度にご期待ください。


 それではまた次回お会いしましょう。

 その時まで……サラバ(^_-)-☆byユウイチ


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