第十七頁「私を部活に連れてって」
―――キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
「よ〜し、じゃあ今日はここまで。
当番、号令よろしく」
「きり〜つ。礼」
当番の号令で、帰りのホームルームが締められる。
……今日も1日、ご苦労様でしたって感じだな。
……さて、今日みたいに睡眠不足ぎみの日は、さっさと帰って休養したいところだが。
僕はそんな理由で、妹との約束を守れないほど寂しい男ではない。
このあと、あやのを部活案内に連れてかなきゃだからな。
「ふぁ〜あ……っと」
―――とは言うものの、眠いものは眠い。
ちょっと意識がゆるんだ隙に、大きめのあくびが1つ出た。
あやの……来るなら早く来てくれ。
けだるさ全開で机に突っ伏すと、開放感と脱力感を足したような、そんな心地よさに襲われた。
あ〜、このまま寝てしまいたい。
ホント、早く来て…く……れ―――
………
………………
「寝るな〜っ!!」
「うわっ!?」
意識を“こちら側”に連れ戻すような、耳元で響く大音量。
冗談ではなく、体が10センチほど跳ねて目が覚めた。
「って、何だ。あやのか」
ついでに、友人らしき女の子が2人。
「もう、“何だ”じゃないでしょ。ほんっ……とに、どこででも寝ちゃうんだから。
どうせ今日も、授業中居眠りしてたんでしょ? 朝から眠そうだったし」
この場合、授業のことは関係ないはずだが、図星なだけに反論できない。
……立場弱いなあ、兄貴なのに。
「まあ、それでも約束はちゃんと覚えてたから、それで許してあげるよ」
「そりゃどうも」
なんだかなぁ。
うっかり居眠りなんてするもんじゃないな。
―――それにしても、友達を二人も連れて来るとは思わなかった。
別に三,四人連れるぐらいなら、余裕だけど。
どんな娘達と来たのかと、あやのから友達の方に視線を移してみる。
「あっ」
思わず声が出た。
「こんにちは、桜井先輩。今日はよろしくお願いしますね」
「あれ? お兄ちゃんとハルって、知り合いだったの?」
「昼休みにちょっと、ね」
あれだけの大騒ぎになれば、あの場にいたなら小春ちゃんを忘れられないだろう。
その上、相手も話題に事欠かない京香ちゃんとあっては、尚更だ。
「いや、ちょっとじゃないか……」
「? どういうこと?」
「1日生活してれば、それはそれは色々あるってこと」
あやのは困惑気味だが、この際放っておこう。
しかし、“ハル”か……何か可愛いらしい呼び方だな。
女の子らしいって言うか、普通の高校生っぽいあやのを久し振りに見た。
普段、家で一緒にいると、歳相応じゃなくてちょっと上に見えるし。
別に“大人ぶっている”わけじゃなくて、“大人びている”、そんな感じだ。
それはそれとして、もう一人の娘に視線を移す。
小春ちゃんとは対照的に、大人しそうな感じ。
―――って、このやたら大きい枠の眼鏡。
もしかして、いつぞや廊下でぶつかった娘じゃないか?
「あの。会ったことある……よね?」
確証はないので、小さな声で、慎重に尋ねた。
「……はい。前に廊下で」
やっぱり例の伊達眼鏡少女か。
まさかあやのの友達だったとは
それにしても、やはり顔にも見覚えがあるし、声も聞いた事があるような気がする。
もちろん、この前会った時は抜いて。
どこでだったかな? こっちに関しては全然確証がない。
漠然と、見聞きした事があるような気がするって程度だ。
こんなに可愛い娘、そうそう忘れないとは思うんだけどなあ。
大きな伊達眼鏡だって印象的だし。
……やっぱり、気のせいなのかな?
「え〜っ!? お兄ちゃんって愛美とも知り合いだったの?
意外と知り合い多いんだねえ」
あやのの言葉で思考が中断された。
まあ、考えていても仕方ない。
もしもっと前に会った事があるなら、その内あっちから話してくれるだろう。
それより今は、この娘達を部活紹介ツアーに連れて行くのが先だ。
「まあ、人間十七年も生きてれば、そこそこは色々あるもんさ」
「そういうものなの?」
「そういうものなの。
―――ささっ、そんなことよりも、早く行こう。あんまり遅くなるわけにもいかないしね」
リズムのいいやり取りをした後は、少々強引にあやの達を連れ出す。
……遅くなる心配より、僕が早く帰りたいっていう欲望も、2割程度あったりするが。
………
………………
「でもお兄ちゃん、いつの間に愛美と知り合いになってたの?
全然接点が見えてこないんだけど?」
「ちょっと前に、偶然ね。廊下でぶつかったんだ」
「廊下でぶつかるって……ベタだね。
いや、むしろありえない」
「ほっとけ」
まあ確かに、僕と愛美って娘の接点は見えないと思う。
だってあの時ぶつかってなかったら、今日が初対面だったろうし。
「っと、そう言えば自己紹介がまだだったね。
僕は桜井章、よろしく。君の名前は?」
「桃田愛美です。
桜井先輩の事は、あやのからよく聞いてます。
よろしくお願いします」
あれ、桃田?
……どこかで聞いた事があるような名字だな―――って、ああっ!
「……もしかして、華先生の妹さん?」
「あっ、はい。華は、私の9つ上の姉です」
「へぇ〜。華先生に妹さんがいるっては聞いてたけど、
まさかあやのの友達だなんて、思ってもみなかったよ」
本当に驚いた。言われてみれば、どことなく華先生に似ているような。
……これはエライのとぶつかってしまったような気がするぞ。
「あ〜あ。これでお兄ちゃん、今学期の英語は絶望的だね」
「やっ、やっぱりそうなると思う?」
「あっ、あの……別に、この間のことは姉には言ってませんから。
それに、姉は桜井先輩のこと褒めてますよ。
授業中に居眠りさえなければ、よく働くし、いい生徒だって」
それって褒めてる……のかなあ?
まあいい。ただでさえ一番赤点になる可能性が高い英語だ。
勝負する前から、外的事情により問答無用で敗北=赤点が無くなっただけでも良しとしよう。
―――もしかして、華先生に似てるから、顔やら声に覚えがあったのかもな。
今一つ腑に落ちないけど、とりあえずはこれで納得するしかなさそうだ。
………
………………
とりあえず吹奏楽部を見に行こうという話になり、四人でクラブハウス棟へ向かっていた。
その道中で、ちょっと気になった事を尋ねてみた。
「そう言えば、三人はいつ頃から友達なの?
高校入ってからって感じには見えないけど」
小春ちゃんは、確か中学の時からって言ってたけど、愛美ちゃんもそうなのか?
「いつ頃、かなあ? 一応、中1の時って事になるのかな?」
「じゃあ、もう結構長い付き合いになるんだ?」
「うん。同じクラスになったのが縁でね。それから少しずつ仲良くなって」
「そして今に至る、ってわけです」
最後は小春ちゃんが答えた。
別にドラマチックでも何でもない、ごく普通の出会い方。
まあ確かに、人と人の出会いって、そういうものなのかも知れない。
思い返してみれば、僕が翔子ちゃんや圭輔、そして光の三人に出会ったのも中学の時だったけど、
ドラマチックな出会いがあったかと言えば、そんなことは無かった。
あんまり似てない兄妹だけど、こういう所は不思議と似ている。
―――が、合点がいかないこと点が一つある。
「ってことは、三人とも僕と中学同じってことだよね?
なのに、どうして僕は二人を知らなかったのかなあ……なんて」
「だって、それはあれだよ、お兄ちゃん」
「?」
「それは、お兄ちゃんが周りの事に、あんまりにも関心が無いから。
校内で三人一緒に歩いてたりしたのに、それでも気づかないならよっぽどだよ」
……どこかで聞いたようなセリフがあやのの口から出てきた。
これも茜ちゃんの教育の賜物だろうか?
「―――聞いた僕が悪かったよ」
これ以上、茜ちゃんや翔子ちゃんみたいに、僕をオモチャにする人が増えるのは困る。
今度、茜ちゃんに何か言っておくか。
―――無駄なのは重々承知だけど。
………
………………
(ああ暇だ ひたすら暇だ もうイヤだ)
おっ、ちゃんと五・七・五調になってる。意識すれば出来るもんだなあ。
ちょっとした平安人気分だ。
彼らがこんなくだらない俳句を詠んだとは考えにくいけど。
いや、俳句じゃなくて川柳か。季語が入ってないし。
―――とかまあ、そんなことはどうでもいい。
何が暇かと言うと、この、あやの達がブラスの見学を終えるのを待っている時間だ。
あいにく、この部活には知り合いもいないから、終わるまでそいつと喋ってるとか、そういうこともできない。
結局、部室の外で地味に待っているしかないのだ。
かれこれ20分、いや30分ぐらいは経っただろうか?
何もしていない時間というのは、えてしてゆっくりと流れて行く。
そのくせ、過ぎ去った後の後悔は大きいから、余計にタチが悪いのだ。
(頼むから早く出てきてくれ……)
こんなことなら、新聞部室か漫研室にでも行っておくんだった―――
………
………………
「お待たせ! ……って、お兄ちゃん?
どうしちゃったの、随分疲れちゃってるみたいだけど?」
「あやの〜。入部しないなら早く出てきてくれよなぁ。
待つ方の身にもなってくれよ」
結局、あやの達が出てきたのは、一句詠んでから、さらに10分ぐらい経ってからだった。
「あっ、ゴメンゴメン。中々抜け出せなくてさ」
「はぁ。もういいけどさ」
「ほらほら、溜め息なんてダメだよ。
幸せが一つ逃げてっちゃうんだから」
……ここでこうしてる時点で、既に本日分の幸福は使い果たした感がありますよ、あやのさん。
「それで。次はどこ行くの?」
「……次?」
「そう、次。どうかした?」
妙なタメを作った後、あやのが続ける。
「ううん、なんでも。えっと、外の部活でちょっと見たいのがあるんだ。
ちょっとって言うか、本命なんだけどね」
「それもいいけど。
小春ちゃんと愛美ちゃんは、どこか見たい部活とか、無い?」
ブラスはあやのの希望だからな。一人の希望だけを連続で聞くのは悪い。
「あっ、私たちは気にしなくてもいいですよ。二人とも、部活は入れませんから」
「へっ?」
小春ちゃんの口からサラッと出た、衝撃的なワード。
驚く僕に構わずそのまま続ける。
「私は、放課後は家で巫女の仕事がありますし」
「私も都合でちょっと……」
そっ、そうだったのか。
―――いや、ちょっと待てよ。
「じゃあ、君らは何であやのと一緒に?」
「私の場合は、あやのちゃんについて来たのが半分、冷やかしが半分です。
できれば、京香お姉様がいる剣道部にも行きたかったのですけど、
先程お姉様に聞いたら、今日はお休みだと言われまして……残念です」
ああ、剣道部が休みっていうのは嘘だ。
ホームルームが終わるなり、道具やらなんやを持って道場に向かってたし。
京香ちゃんも、上手くまいたもんだな。
「愛美ちゃんは?」
「私も、あやのが行くって言うから、付き添いで……。
それに今日は、特に予定も無かったですから」
何とまあ……。
この場合は暇人と言うより、友達想いと言うべきだろう。
「あやの……お前、いい友達を持ったなあ」
「うん。だって二人とも、私の自慢の親友だもん!」
あやのは嬉しそうに、かつ力強くそう答えた。
“自慢の親友”。
あやのに、臆面無くそう呼べる友達が二人もいて、兄貴としては嬉しい。
妹の交友関係なんて全然知らなかった―――いや正確には興味が無かったけど、
ちゃんと上手くやってるみたいで安心した。
まあ、社交的なあやののことだから、端からそんなに不安が無いのも事実だ。
そういうわけだから、特に交友関係を気にしたことがなかったんだし。
「ようしっ、それじゃ、外に出ようか!」
「わっ!? お兄ちゃん、急に元気だね?」
「まあね。ほら、行くぞ!」
嬉しくて足取りが軽かった。
家でのあやのだけじゃなくて、学校でのあやのをより深く知ることができたから。
だから、兄として嬉しかった。
もちろん、これがあやのの全部だなんて思わないけど。
それならそれで、まだ知る余地があって嬉しいじゃないか。
今まで知ろうと思えばいつでも知れたけど、ずっと野放しになってた事実。
茜ちゃんじゃないけど、もっと周りの事に目を向けてもいいのかも知れない。
それが、こんなにもいい事だというのならば―――
………
………………
「それで結局、お前の本命の部ってどこなんだ?」
勇んでグラウンドにやって来たはいいものの、肝心のそこを聞いていなかった。
「野球部かサッカー部かのマネージャーとか?」
野球部だったら、圭輔もいるから、悪い虫がつくこともないだろう。
サッカー部は……まあ、変なヤツはいなかっただろう。
「ううん、違うよ。
マネージャーじゃなくって、選手だもん、私がなりたいのは」
「じゃあ、陸上とか水泳?」
運動神経の良いあやののことだ、どっちに入っても活躍間違い無しだろう。
「ううん、それも違う。球技だよ、本命は」
はて? マネージャーじゃなくて、外でやる部活で、その上球技?
―――志木高に女子サッカーや女子野球が無い以上、僕には二つの回答しか思いつかない。
一つは、シャレで砲丸投げだけど、それは絶対無い。
そもそも、さっき陸上じゃないって明言してたし。
と、なると自ずと答えは一つに絞られてくる。
しかもその答えは、あまり嬉しくないものだ。
「もしかしてさ、その部活って……女子ソフト?」
「ピンポ〜ン! 大正解だよ、お兄ちゃん♪」
「え゛〜っ!?」
こっ、これ以上あそこに知り合いが増えたら、たまったもんじゃない。
それこそ、グラウンドに出るたびにマネージャーやらされそうだ。
―――いや、それどころか強制入部か!?
あっ、ありえる……。
茜ちゃん・翔子ちゃん・あやのと、三人から圧力がかかったら、いくらなんでも断りきる自信がない。
三本の矢ではないが、二人まではともかく、三人というのは次元が違う―――気がする。
それに何と言っても、キャプテンは“あの”明先輩だし……。
「どうしたのお兄ちゃん? 顔色悪いよ?」
「いや……ちょっと、ね。最悪のシナリオが色々と大変で……」
「? 何それ?」
「……気にするな。
それより、行くなら早く行くぞ」
もうこうなったら腹をくくるしかない。
意を決して、ソフト部のテリトリーへと一歩を踏み出した。
……あやの達の後に続いてだけど。
………
………………
「あれ、章じゃない。それにあやのちゃんまで。
どうしたの? 珍しいじゃない、アンタが自分からここに来るなんて」
「僕だって好きで来てるんじゃないって」
今日は珍しく、茜ちゃんに迎えられた。
こういう時って、元気な声がかえって心に痛かったりするんだよな。
「こんにちは、茜さん。今日はお兄ちゃんに、部活案内をしてもらってるんです」
「あっ、そうだったんだ。どうりで。
それにしても、今季早くも二組目とは、アンタもモテるわね、章」
「あらあら、妬いてるの? 茜ったら」
「誰が! いつ! どこで! 誰に!?」
「あなたが、たった今、ここで、あやのちゃんに」
「だ〜れが妬くか!?」
「だからあなたが」
……この妙に軽くて独特のテンションの口調。
そして、これでもかってほど、茜ちゃんをおちょくってる話の内容。
顔を見ずとも分かる、翔子ちゃんだな。
―――それにしても、いつの間に湧いて出たんだ?
やっぱり謎だ、この娘だけは。どんなに付き合いが長くったって。
「あっ、お久しぶりです、翔子さん!」
「久し振り、あやのちゃん。
ようこそ、志木高女子ソフト部へ。
まあ何にも無いところだけど、よく見て行ってね」
「コラ〜! あたしの話はまだ終わって無いって!」
茜ちゃんがやたらと怒っているが、もはや翔子ちゃんは相手にしていない。
むぅ、この引き際の鮮やかさ。
見事を通り越して、もはや芸術だ。
「何だなんだぁ? やけに騒がしいと思ったら、桜井が来てたのかい」
「めっ、明先輩……」
ついにこの人が出てきたか。
思わず心が身構えてしまう。
……いや、決して悪い人では無い、むしろ良い人なんだ。
それは分かってるんだけど……何だかなあ。
どうにも、この人だけには慣れない。
「しかもこんなに可愛い女の子三人も引き連れてとは……。
桜井、お前さん、茜や翔子だけじゃ飽き足らず後輩にまで手を出して―――」
「違いますっ! 今日は妹の部活案内してたんです!
それから、もう二人は妹の友達です!
ついでに言うと、茜ちゃんや翔子ちゃんとはそういう不埒な仲じゃありません!」
「ははっ、悪かったよ。そう熱くなりなさんな。
ほんの軽〜いジョークじゃないか」
出会い頭の挨拶にしては、いきなり黄金の右ストレートが来たような気もしたが。
まあこの人らしいと言えば、そうなる。
「桜井先輩って、お知り合いが多いんですねえ」
「ホントに。ちょっと驚きました」
「君達ねぇ……」
もはや観戦モードの小春ちゃんと愛美ちゃん。
しかもやたらと嬉しそうだ。
「って、あれ? あやのは?」
明先輩やら後輩コンビの相手をして、ちょっと目を離した隙にあやのがいなくなってしまった。
「ああ、あやのちゃんなら更衣室に行ったわよ。ジャージに着替えてくるって」
予想だにしなかった言葉を茜ちゃんから聞かされる。
「……なにゆえ?」
「ウチに入部決めたから、もう今日から練習するんですって。
熱心よねえ。寝坊癖のあるアニキに、爪のアカを煎じて飲ませたいわ」
「失礼な! 半分は自分で起きてるよ!
―――じゃなくって! もう入部決めたって!?」
「そ。正式な手続きはまだだけど……まあ、いいでしょ。
何たって、顧問は華先生だし、キャプテンは明先輩だし」
「そういう問題じゃなくって! ほっ、本当にあやのはソフト部なの!?」
唐突にも程がある。
いや、むしろありえない。
「そうよ。あたしは結構前から話を聞いてたけどね」
「僕は?」
もはや日本語がおかしい気がするが、この際構ってられない。
「アンタに言ったら、どうせグダグダ言うだろうから、色々面倒でしょうが。
だからあえて教えなかったのよ。
あやのちゃんだって、何も言わなかったでしょ?」
「でっ、でも! 今朝はどこに入るか全然決めてないって!」
「それね。まあ、一応ブラスを続けるっていう選択肢もあったみたい。
もっとも、あやのちゃん曰く、八割方はソフトだったらしいけどね」
そんな……。
実の妹の手の平で踊らされていたなんて……。
―――ちょっとどころではない、思い切りショックだ。
事実って、ことごとく僕の知らない所で動いてるものなのか?
「新入部員の桜井あやのです! よろしくお願いします!!」
そんな兄貴の悩みとは対照的に、妹の元気な声が春先の空に響く。
―――まっ、いいか。
確かに経緯としてはちょっと気に入らない物があるけど、
結果としては悪くない。
茜ちゃん、翔子ちゃん、それに明先輩がいるなら、いざと言う時に何かと安心だ。
なにより、すんだことやら過ぎたことをグダグダ言ってもどうなるものでもないし。
それにしても……今度からどうしようかなあ、ソフト部の朝練がある日。
悲しいかな、僕の頭に浮かぶのはその程度だった。
……じゃあ、ちょっとだけ兄貴らしく。
―――頑張れよ、あやの。
作者より……
ども〜、ユウイチです。
Life十七頁、いかがでしたでしょうか?
謎の伊達眼鏡の美少女の正体も判明し、あやのの部活もいよいよ決定しまたね。
……今回の章は、書いてても、さすがにちょっと惨めな気がします(笑)
さて次回は、最近ちょっと出番が少ない文化部三人娘の、あの娘のエピソード。
誰のことかは……今回は秘密(笑)
次回を期待しない程度に期待してお待ちください!
それではまたお会いしましょう!
サラバ!(^_-)-☆by.ユウイチ