第十一頁「お兄ちゃんと一緒♪」
僕の少し先を行くあやのがふと漏らした。
自分は軽いのしか持っていないくせによく言うよ、とあくまで心の中だけでそう言った。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫だって。
それに、僕がへばってたんじゃ荷物持ちの意味がないだろ?」
ホラ、とか言って手持ちの袋を持ち上げてみせる。かなりキツイのは言うまでもない。
だが、僕にだって兄として、そして男としての意地ってもんがある。
「そりゃそうだけどさ。
……もう、ひょろひょろなのにやせ我慢しちゃって」
「やせ我慢なんてしてないって! それに、そんなの余計なお世話だ」
ちょっと子供っぽく反論。多少、自己演出気味な部分もあったりする。
「あ〜、人がせっかく心配してあげてるのに、その言い方はないよぉ。
やっぱり、お兄ちゃんって酷いんだ〜」
「だ〜っ! 違うって!
―――ハアッ、もう何でもいいよ」
あやのには何だか勝てない。少なくても今日は。
思わずため息が一つ。
「ため息なんて、若さが足りないなあ。そんなんじゃ、幸せが逃げちゃうぞ?
―――よぉし、それじゃあ景気づけに家まで競争!
よ〜い……ドンっ!」
「あっ!? ちょっと待ってよ! 待てったら! あやの〜っ!!」
誰もやるなんて言ってないのに、あやのはもう走り出していた。
思い立ってから実行までが早すぎるぞ!?
……くっそお、荷物はあっちの方が断然軽いから勝てっこないのに。
しかもあやのは足が速いし。
―――とか何とか文句を言いつつも、頬の筋肉が弛緩しているのが分かる。
僕はやっぱり、何だかんだでアイツには甘いよな、ホント。
帰りは終始ご機嫌だったし、あやのも多分、笑ってるんだと思う。
あんなに嬉しそうなあやのって、久し振りに見たなぁ……。
あやのが嬉しいなら……僕が一日付き合うぐらいでアイツが喜んでくれるなら。
それはそれで、いい春休みの過ごし方なのかも。
深く大きく息をして、そして―――
あやのを追いかけて、重い荷物を手に緩やかな坂道を駆け下り始めるのであった。
作者より……
ども〜作者です♪
Life十一頁、いかがでしたでしょうか?
何と言うか……閑話休題っぽいエピソードですなあ(笑)
あやの中心と予告しておきながら、怜奈がちょこちょこ絡んでたり。
まあ、しつこいようですが予定は未定ですので(^^ゞ
次回予告は作者の戯言程度に考えておいてくださいね♪(爆)
さてさて、そんな戯言程度な次回予告ですが、次は生徒会のお話です。
やったら沢山キャラが出てきそうな予感ですので、今の内にバックナンバーを復習しておくと吉かも。
それではまた次回お会いしましょう!
その時まで……サラバ!(^_-)-☆by.ユウイチ