一騎当千
「その様子で知らなかったようね」
「……何?既に戦争が既定路線なの?」
「えぇ、そうよ。ローシャ帝国が動員令を発動したわ。既にローシャ帝国は戦争の為に動き出した。鉄道を軍事のために振り分けた。もう、止まらないわ」
「……先制攻撃。それのためにシーアお姉さまも?」
「えぇ、大陸の中心に位置し、東西の格差が少ない地に根を張る我が国の鉄道網は世界一」
ここは事実だ。
確かにルノア王国の鉄道網は世界でもトップレベルだろう。敷設のガチり方が違う。
「それを活かした部隊展開でもってフリース王国を早期降伏に追い込む。その昔からある我が国のプランに則って戦争に勝利する。そのための行動を完遂するため、私も自領に帰ってきたのよ」
「……時間は命。ローシャ帝国が準備を終えるよりも前に我々が、ということですか」
「えぇ、そうよ」
二正面作戦を解消するため、早期にフランスを降伏させるというドイツのシュリーフェンプランは失敗に終わった。
その二の舞に我が国もなりそうな気がしなくないのだが。
「……」
「何?心配なの?」
「……まぁ」
シーアお姉さまの言葉に僕は素直に頷く。
「鉄道があったとしても、我が国の兵の練度がフリース王国を、凌駕しているとは思えないから。早々に相手の陣地を突破して降伏まで追い込むのは現実的では無いと」
魔法があったからと言ってシュリーフェンプランの完遂まで走り切れる気があまりしない。
向こうも魔法があるしね。この世界の戦争模様がどうなろるのか、僕は全然想像がついていなかった。
「それに関しては心配しなくていいわよ!」
僕の不安に対し、シーアお姉さまは力強い言葉を返してくれる。
「質は私の存在が解決してみせるわ。一騎当千とは私の事。そう後世に言われるようになってみせるわ。私ひとりで」
「どんな無茶だよ」
「ふふん!それを成してしまうからこそ、偉大なお姉ちゃんなのよ」
「……気を付けてね?死なないで、本当に」
戦場では何が起こるかわからない。
シーアお姉さまが亡くなってしまう可能性は十分にある。油断なんて許されるわけがなかった。
「分かっているわよ。あなたを残して去ることなんてしないから、安心して待っていなさい」
「……うん、約束だよ」
落ちこぼれ扱いされる土属性持ちは貴族たちの名誉ある場所とされる戦場に立つ許可さえ与えられない。
「ところでノア」
「ん?」
「さっき、私に対して敬語を使っていたわね?前にも言っていた通り、他人行儀の敬語なんて使ったら……お仕置だからね?」
「……はい」
幼少期の頃の話、現代でも有効だったんだね。
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