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不遇の落ちこぼれ扱いされる土魔法使いに転生した僕、異世界における第一次世界大戦の到来によって不本意な成り上がりをしてしまった件  作者: リヒト


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魔法

 魔法の四大属性。

 それらの中で、土属性の魔法だけは他の属性とはちょっと違った特色を持っている。


「ファイヤーボール!」


 いつものように自室の窓辺の席に腰掛けている僕は庭に見える景色。シーアお姉さまの魔法の特訓風景を眺める。

 彼女が魔法を唱えるなり、突き出した手のひらから岩のように大きな炎の塊が空を駆け抜け、的を撃ち抜く。


「派手だねぇ~」


 基本的な魔法はあれだ。

 無から有を産む。それが魔法の基礎。


「……こうかな」


 だが、土魔法は違う。

 有を変形させるのだ。僕は手にあるスプーンを変形させ、フォークへと変形させる。


「これは土なのかねぇ?」


 土。それは果たして何処までを指すのか。

 この世界の土魔法は『土』の定義として、この大地そのものを指しているようだった。

 銀へと干渉し、形を変形させた僕はフォークでティーカップの中の紅茶と砂糖をかき混ぜる。

 銀を土として認識するのは中々苦労するが、僕の魔法はそう認識している。銀を変形できるのだ。鉄とかも変形させられるだろう。


「金を作れたら最高の魔法なのだが」


 他の属性のように無から有を。金を生み出せたりすれば最高なのだが、残念ながら土属性の魔法は有の変形しかできない。

 地面の中に埋まっているものすべてを加工する技術と言えば、聞こえはいいが、それが戦闘に生きるかと言えば微妙。既にこの世界では蒸気機関が発明され、産業革命が推し進められているので、産業の部分では大いに活躍できる余地はある。

 だが、これにも一つ大きな欠点があった。


「土属性の魔法を使う人なんていないからなぁ」


 魔法は高等技術だ。

 才能にも大きく左右される。純粋に土属性の魔法を使いこなせる人間が少ないので産業に土属性の魔法使いを活用しよう!という意見が出てこないのだ。


「んまぁ……それと工業に使えるほど緻密な作業が出来るか?と聞かれたらちょっと自信ないしな」

 

 今の僕はスプーンをフォークに何となくで変えるのが限度。同じものを量産できる気はしない。細かな調整が効かないので、毎回ちょっとずつ違うのだ。

 これはあくまで僕の話なので、滅茶苦茶凄い魔法使いとかなら違ってくる可能性もあるけど。

 土の整地など、土木等で活用するので精一杯だ。


「まぁ、貴族の仕事ではないわな」


 建設現場で色々やるのは間違いなく大事な仕事だ。

 だけど、貴族の仕事ではない。

 故に、何処まで行っても土属性を持って生まれた僕は落ちこぼれ扱いを抜け出すことはまぁ、ないだろう。魔法の属性は誰でも一つだけ。生まれた時から詰んでいる悲しい子だ。


「よっと」


 とはいえ、魔法は魔法だ。

 日本人の僕としてはやっぱり魔法というだけでテンションがあがる。


「本音を言えば、もっと派手なのがいいんだけど」

 

 窓を開け、そこから自分の身を投げた僕は体をくるりと二回転ほどさせた後、地面へと着地する。


「身体強化はもう問題なく出来るね」


 二階からの飛び降り。

 死ぬような高さじゃないけど、無傷で平然としていられない高さからの飛び降りだったが、僕はピンピンしていた。これは無属性魔法である身体強化の影響だ。


「ふんふんふーん」


 さっさと僕は身を隠しながら庭を駆け抜け、人気のない裏庭の方にまで移動してくる。


「やりますかぁ」

 

 そこで僕は軽く足を上げ、地面へと叩きつける。

 それだけで魔法が発動し、僕の足元に大きな穴が出来る。


「よし」


 魔法の発動に詠唱は必要ない。些細な一動作で発動させられる。

 周りに何の魔法を使ったか、申告するために魔法名を言うのはマナーとされているけどね。


「こうしてみると、結構強そうだけどねっ」


 穴を作った僕は続いて地面へと手をつき、土壁を作り出す。


「よし」


 自分の背丈を超えるほどの土壁を作った僕はその規模の高さに頷く。これであれば、相手の魔法を受けきることもまぁ、楽勝だろう。

 だが、残念かな。既にこの世界は相手の魔法を無効化する無属性の防御魔法が生まれ、既に戦地では使い始められているらしい。この土壁の錬成は既にお役御免となりそうだった。


「……お、お坊ちゃまぁ?」


 土壁を魔法で再び地面の中に仕舞っていた中、僕は背後から声をかけられる。


「げっ」


 慌てて振り向くと、そこには我が家に仕えている執事の姿があった。


「な、何をしておられるので……?」


「しーっ」


 驚愕の表情を浮かべている執事の爺やに対し、僕は慌てて人差し指を自分の唇に添わせる。


「何も言わないでください……ねっ?」


「あっ、いやっ」


「僕が魔法を使っているとお父様がうるさいですから」


 父上の土魔法軽視。蔑視はまぁ、ひどく、僕が土魔法を使っているのを見れば確実に大激怒だろう。だからこそ、僕はこうしてこそこそと裏庭に来て魔法を使っているのだ。


「……いや、それはわかっておりますが……何時から、魔法を?」


「うん?少し前からだよ……どう?結構出来ているでしょ?」


「……け、結構と申しますが……いや、……あの、魔法。いや、そもそも魔力量がっ」


「何ぶつぶつ言っているの?……まぁ、良いや。爺や!ここで見たことは口外禁止でお願いしますね?僕は大人しく退散しますので」


 爺やに僕を叱る気はなさそう。

 面倒事となる前にさっさと退散してしまおうか。

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