2
道草がマルクスと出会ったのは布団王と友達になったからだった。
道草も人の子躁鬱病で不眠に悩まされたが、道草は野獣。環境適応能力も半端無い。
すぐに布団を温泉と見なして湯船につかっている気分になった。
「はーいいお湯だ。極楽極楽」
布団温泉に入っていると、「おじゃましてよいかな」とぼろい布団が布団温泉に入ってきた。「なんだい君は?」「私は布団の王。布団王。すべての布団は私の支配下にある」「なるほど」「お主ただものではないな。不眠症で布団を温泉にしたのは人類史上
おまえが初めてだ」「そうかい、なんでもないぜこんなの」「おもしろいやつだ。私は布団で眠るすべての時間空間の意識を司る。逢いたいやつがいたら逢わせてやるぞ」
「じゃあ仲間由紀恵と逢わせてくれ」「アイアイサー」仲間由紀恵が現れた。野獣だった道草も握手だけで赤くなって別れた。「次は歴史上の人物がいいな。カール・マルクスと逢わせてくれ」「アイアイアサー」マルクスが現れた。「バッカヤロウ!」道草はマルクスを殴りつけた「流通それ自体で利潤を生まないとはどういう事だこのニート! 布団王! こいつを印刷営業で働かせてやれ!」「アイアイサー」マルクスは夢で印刷会社で働いた。流通で生産から分けてもらったわけではなく独自に利潤が出るのがわかった。印刷営業の仕事で少しやせた。さらに道草はマルクスにジョン・D・ロックフェラーの伝記「タイタン」を読ませた。マルクスは速読が得意。すぐ読み終えた。流通独占でいかに利潤が出るかわからせた 。「そうか流通手段も生産手段と同じく不平等だから利潤が出るんだ。資本論は間違えてしまったようだな」「これも見ろよ」経済産業省のレポートを見せた。「そうか利潤の唯一の源泉の産業資本の搾取以上の経済規模で金融資本が動いてるな。あかん資本論完璧にしくじった。」マルクスはがっくりした。「もう死んでしまった今資本論が書き直せない残念だ」「俺がいるさ」道草が答えた。「おまえがやってくれるのか、ありがとう」「野獣の経済学を見せてやるぜ」「そうかいいパンチだったぜ」マルクスは去っていった。
「今度はマホメットを呼んでくれ」「アイアイサー」「どうしたのだ緑園でうたたんでいたのに」「神の預言を伝えるために呼びました」「最後の予言者は私だ」「それは間違いです」「神は間違いなど起こさない」「神は全治全能故に、間違いをも起こすのです。そのくらい神は偉大なのです」「なるほど」マホメットも去った。こうして道草はマルクスの資本論を保管するもの、神の間違いを預言するものとなった。ただのデブではないらしい。