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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

サクッとホラー:寒い夏

作者:

血の出るシーンがあります。苦手な方はご注意ください。

人気のない山道を車で移動し、目的地よりも少し離れた場所に着いた。茂みに車を隠し、ブルーシートを敷いたトランクからこれから埋めるモノを取り出す。

死後硬直が進んでおらず、間接が固まっていないため違和感はあるが何とか背負うことができた。

背負えないくらい形が固まっていたら台車を使う予定だったが、台車は土の上に轍ができてしまうため、使わずに済んでよかった。

思ったより重いな。先に必要な道具は置いてきて正解だった。

最後にブルーシートを回収し、ドアを閉める。車から離れると自動的にされるためロックはしない。

パーカーのフードを引っ張り、男は目的地へと歩き出した。

明るすぎると人に見つかる可能性があるが、暗すぎると手元が見えない。そのため日が暮れる少し前に来たが、モタモタしていたらすぐに暗くなってしまう。

急ごう。

小道を進み、道具を置いた場所に辿り着くと、背中に背負っていたモノを地面に降ろした。

夏の終わりとはいえ重い物を背負っていたからか、背中にじっとりと汗をかいている。

息を整え、シャベルで土を掘り返した。

ザク、ザク、という音が静かな森の中に響き渡る。

目標の半分くらいを掘り終えたところで、手元が見えづらくなってきた。

思ったより暗くなるのが早いな。先に掘ってから殺せばよかったか。

男がライトをつけて作業を続けるか思案していると、遠くに青白い光が見えた。

人か?

通行人がいるのならば、今ライトをつけるのはまずい。

土を掘り返していた手を止め、息を潜めていると、青白い光はピタッと止まった後、再び進み始めた。

だんだんとこちらに向かってくる。

!!こっちは一般の道ではないが、まっすぐこっちに向かってくるな。

男は音を立てないようにその場を離れ、少し離れたところにある木の後ろに隠れた。

サクッサクッと土を踏む音が大きくなるにつれ、男はシャベルを持つ手に力を込める。心臓を打つ早鐘が相手に聞こえそうだ。

「イテテ」

ドサッという音と子供のような声が聞こえる。

小さな人影が死体を見ようと身を屈めているのが見えた。

男が背後に立つと、突然少年が振り返った。

青白い光に照らされた少年の顔に、男は持っていたシャベルを全力で振り降ろした。

「はあっはあっ」

何で振り返ったんだ!?思わず殴ってしまった。

男は少年の持っていたライトを拾い上げると、あたりを照らした。

なるほど、血痕に反応するライトか。何でこんなもん持ってんだよ。

正体がわかり安心し、何気なく少年の顔を照らすと、少年の目がバチっと見開いた。

「っ!!」

男は驚いて腰を抜かしたが、落としたライトに照らされた顔は目を閉じている。

見間違いか?気味が悪いな。

男は身震いをし、冷たくなった自分の身体を摩った。

さっさと家に帰ろう。

人がいないことを確認し、男は二人分のスペースを掘り返した。

最後に地面に死体と使用した道具を埋める。

服や指紋、歯の状態から身元が特定される可能性もあるが、処理している時間はない。

どうせ子供とは顔見知りじゃないし、自分に繋がる証拠は何もない。とにかくここを離れよう。

男は落ち葉を均した後、急いでその場を離れた。


土の中はさむいよ。

ねぇ、僕も連れてって。


男は少年に話しかけていないようです。では、少年が聞いた声は何だったのでしょうか...

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