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1-6-3

冒険者ギルドに着くなり街道から1時間くらいの場所に位置するゴブリンの巣を発見したことを伝えた。

すると職員は慌てた様子でギルドマスターを呼びに行っていた。


この光景ってことは、この後の反応は・・・


ギルドマスターのトレーンさんがやってくる。

「またお前さんか。現時点でも驚きの情報だが、たぶんもっと驚くことがあるんだろう?」

と聞かれる。


「まあ・・多分・・・きっとそうなるかと・・・・」

と僕は曖昧な答えを返すことしかできなかった。


「まあ詳しい話は個室で聞こうか。それじゃあ付いてきてく―――「ちょっと待ってください」

「話すことは構いませんが今後のことを円滑に進めることを考えると、冒険者ギルドの手に余ることだと思います。

商人ギルドマスターのエコラックさんを呼んでもいいですか?」


「・・・分かった。職員を一人遣いに出そう。とりあえずお前らは個室で待っててくれ」



30分ほど個室で待っているとトレーンさんと、担当している職員さん、息を切らした状態のエコラックさんが入ってきた。

「そんなに慌てなくても・・・」

「馬鹿言うんじゃねえよ。ゴブリンの巣って言ったら、そこらに野良でいるゴブリンとは訳が違うんだ。一気に危険度レベルが上がる以上迅速に対応する必要がある。

まぁ正直お前さんたちの落ち着きようを見てると、この後の流れもなんとなく見えるんだけどな」

と苦笑いしている。



改めて座りあうと説明を開始する。

というか本当はリーダーのアビーにしてほしかったのだけど、なぜか僕がすることになった。


「改めて街道から森の中に入り1時間くらい移動した場所でゴブリンの巣?集落?を発見しました。数はおおよそですが30体強。僕は初めて見るのでわかりませんでしたが、アビーによると群れの中にはゴブリンキングもいたそうです」


「何!?ゴブリンの集落だと!?しかも街道から1時間の距離にか!?

まずい!早くギルドで緊急討伐クエストを発令しなく――――「待ってください」


「なぜ止める!?それだけの距離に集落ができるとなるとその街道の危険度は一気に跳ね上がる。直ぐに通行止めの手筈を整えて緊急クエストを発令しなくてはいけないんだぞ!?」


最早何を言っても落ち着かないようだ。結論を先に言った方がよかったか。


「だから――――「もう討伐完了してます」早く通行止めを・・・・・は?」

「だから、もう討伐完了してます・・・」


いろんな人で何度も見た表情だ。

目が点になっている。

勢いよく立っていたトレーンさんは10秒くらい立ち尽くしてから、ドスンと椅子に座った。


「本当にびっくり箱人間だな・・・」


やめてください。その不名誉極まりない称号・・・

びっくり箱なのは僕のスキルであって、僕ではないです。


「本当なら聞いちゃいけねえことなんだがどうやって倒した?」

「ご心配せずとも大丈夫です。方法もお話しするつもりです」

「本気?いや正気か?冒険者にとって戦う手段は、商人にとっての希少な品を入手する経路みたいなもんだぞ。それを明かすっていうのか?」


僕は頷き説明する。


「全ての魔物に対して通用するとは思えない手段ですし、スタンピードの可能性が高まっている今、有効な対処方法の秘匿は街にとって大きな損害と考えます。

スタンピードは街が滅ぶかどうかの危険が伴うと聞いています。

そんな時に個人の利益を優先して何が残るんですか?

仮に方法を秘匿することができたとしても、それで街が滅んでしまっては意味がないと思います」


「なるほどな、商人としての先を見通す力ってわけか」


僕は頷きながら唐辛子を目の前に出してみる。

「皆さんはこれを知っていますか」


「いや、見たことねえな。これは食べ物なのか?」


「厳密には違うと言っていいでしょう。食べ物といってもベースとなる食材ではなく、塩や胡椒と同じく調味料に分類される食材です」


続けて説明する


「この調味料は少量でも辛みを感じる食材です。目や鼻で摂取してしまえば激痛が伴います。今回はこれを細かく砕いた粉をゴブリンの集落に投げ込み、ルーシーの魔法であたり一面にまき散らしてもらったというわけです」


「実際にその場を目の当たりにしたわけじゃねえが、地獄だな」


「お察しの通りゴブリンたちは激痛にのたうち回っていました。その隙に全員で攻撃を行ったため大きな危険もなく討伐できています。

反面、鼻や目といった器官がない魔物に対しては通用するのかわかりません。

例えばスライムやトレントといった魔物には通用しないことが考えられます。

このやり方ならある程度の準備をしておけば、スタンピードの際に防衛ライン構築のための時間稼ぎくらいはできると思いました。」


悩んでいるようだ。


「一方で食材の一つでもあるため僕と冒険者ギルドで直接やりとりするのではなく、商業ギルドを介したほうが円滑に話が進むと思ったわけです。

ちなみにこの唐辛子という辛みの調味料ですが、胡椒のように風味が豊かというわけではありません。あくまでも辛みをつけるための調味料です」


「なるほどな。それならこの場に商人ギルドを呼ぶ理由も分かった。

たったの5人で特に大きな怪我もせずに討伐できているのなら相手によっては有効だろう。

噂話程度でもあるがスタンピードの可能性が示唆されてる以上、このやり方は非常に優秀だと言わざるを得ないな」


賛同しながらさらに懸念を説明する。


「ただこのやり方を公に公表しつつ唐辛子を簡単に入手できるようにしてしまうと、魔物狩りを主体とする冒険者で乱用される恐れがあります。

いざという緊急時には使ってもいいとは思いますが、日常的な使用は冒険者の技量を落とす結果になると思います。

またありとあらゆる生き物はその環境に適応するために、自らを作り変えてきました。

おそらく魔物たちも一緒で、最初はこのやり方が使えていても、いずれはなかなか効きにくい状態になることが予想されます」


続けて説明する。


「これは慣れることによって起きる事なので、唐辛子を魔物と戦闘で使うかどうかはの実際の流れとしては、

まず僕が商人ギルドに超大口で卸します。唐辛子を今まで見たことが無いということは当面の間入手経路は僕だけになるでしょうからね。

その後商人ギルドは冒険者ギルドに卸し、冒険者ギルドは独自判断でどれだけ冒険者に日常的に販売するかを決めます。

これならギルドが緊急事態だと思ったタイミングで使い、それ以外の期間で準備を揃えようとすることになるでしょうから」



その言葉を発した後は具体的にどれくらいの量で、どれくらいの価格で販売するかの商談になった。

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