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そんな時だった。
教室の中心付近で集団で話してた、奴らが近づいてきたのは。
「よー、カズ。卒業式以来だな。つっても大してメンツ変わらねえけどな」
と言いながら男子生徒が近づいてきた。
彼もまたカーストの上位に位置している人物で、重川君の友人だ。
「つーかよー、入学式っていったら華々しさが当たり前だろ?なんでこんな静かなんだよ?」と嫌味を言ってくる。
それにつられて彼の取り巻きがクスクスと笑う声が聞こえる。
「そう言うなよ。性格なんて人それぞれなんだから、いいじゃねえか」と重川君が僕を庇う反応をする。
「ま、しゃーねーわな。それより今日の帰りゲーセンに遊びに行かねえか?」
と彼は興味を失くしたようだ。
「お?いいね。九条も一緒にどうだ?」
重川君が九条さんを誘うが九条さんは、
「ごめん、今日は久しぶりに勇也君と蓮司君と3人で帰りたいからやめとくね」
と断っていた。
「そっかー。残念だな。またそのうち誘うから今度こそ一緒に行こうぜ」
と重川君は返して彼らとともに離れていった。
当たり障りのない会話に、何の変哲もない日常。
『やっぱり僕の人生に変化なんてないな』と心の中で愚痴ていた。
-----しかし、3人とも気づかなかったのだ-----
この時の重川の目が、ほんの一瞬つりあがっていたことに。