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1-2-1

無能の烙印を押され、文字通り王都から追放されてしまった。

当面の生活費として銀貨20枚を持たされた《《だけ》》の状態でだ。

スマホは持っているが、充電の手段も無い以上いつかは無用の物になるのは目に見えているが一応持っておこうとは思う。


しかしこの世界に対しての知識がなさすぎる。


この銀貨20枚にしても1枚でどれくらいの価値があるのかわからない。

それにあの王女の話ではこの世界には魔物や魔族が存在するという。

魔王討伐の話がある以上、人間に対して友好的と考えるには、あまりにも楽観視していると言わざるを得ないだろう。

そして地図の類もない。

これでは、今自分がいるのが何処で、とりあえずどこを目指せばよくて、逆に危険な地域がどこなのか等も全くもって不明だ。

つまり今の僕の状態はいつ、どこで死んでしまってもおかしくない状態である。

当然のことながら途方に暮れてしまっていた。


そうして5分なのか10分なのか、それとも1時間なのか。スマホの時間を確認などこの精神状態ではできなかった僕はずいぶん長いこと突っ立っていたように感じた。


すると追放された王都の方から馬にひかれた物と、何人かの集団が見えてきた。

あれは・・・馬車というものだろうか?

前の世界で現物を見たことのない僕としては、あくまでもそう思うことしかできなかった。

スマホの電源は生きているが、当然ネットにもつながらないし馬車というものが実際どういうものなのか調べることはできない。

馬車らしきものが僕の前を通り過ぎるかどうかというタイミングで止まった。


中から男性がでてきて話しかけてきた。

「あなたはここで何をしているのですか?今までの道もそうですがここから先にしても魔物や獰猛な動物が出てきますよ。見たところ冒険者とは見えないのですが」


「僕は・・・・その・・・」

答えに窮してしまった。

当然だろう?

いきなり異世界に来た人間だ、なんて荒唐無稽な話をしても信じられるわけがない。

仮に真実を話したとして、事実上『王都から追放された』状態であることを話したところ警戒心を持たれてしまう。

なんと答えればいいのか分からずだんまりを決め込んでいると





「私はロッサリー・ハンク。デミウルゴス公国を本拠地とし行商をしている商人です」


どうやら商人さんのようだ・・・

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