悪役令嬢とは婚約破棄ですって?残念!それは間違ってます!私は死神令嬢ですから(笑)
「アメリア・マッカートニー!貴様との婚約破棄破棄する!」
高位貴族の集まる舞踏会で唐突に始まったマリウス・フェルナン公爵令息からアメリア・マッカートニー公爵令嬢への婚約破棄宣言だった。
王族に次ぐ高位貴族の婚約破棄宣言に周囲は興味津々で2人を黙って取り囲んだ。いや、2人では無く4人だった。1対3だった。アメリア対マリウス、マリウスの腕に腕をしっかりからますシルク男爵令嬢。2人の後ろに立つ護衛騎士のシャルル。
「貴様は可愛いシルク嬢を、学園内で酷いいじめをしただけで無く、誘拐しようとまでしたそうだな?シルクの訴えて貴様を調べたら真っ黒だったぞ!」
「真っ黒だなんて。では、どんな事実が出てきたのですか?」
アリシアは首を傾げた。
「学園ではシルク嬢を含め、気に食わない女生徒を部屋に閉じ込め、取り巻きにドレスを破らせ、教科書を隠し、実家にまで脅しを掛けていたと言うでは無いか!侯爵令嬢として恥ずかしくないのか!?この悪役令嬢が!」
「恥ずかしいですわね」
「そうだろう!」
「私や我が家を甘く見られて、恥ずかし過ぎますわ!何故、私がそんな甘い事をしなければいけないのかしら?
『やるなら徹底的にやれ!』が我が家の家訓です。私がやったのなら、その女生徒のご実家と女生徒の命は今頃無いでしょうね」
「なっ?お前は悪魔か!?」
「悪魔な訳ないじゃないですか?私の幼少期の二つ名を知らないのですか?」
「そんなもの知るわけないだろう!」
「それなら教えて差し上げますわ。『シルバー・デス』銀の死神ですわ。悪魔なんて可愛ものですわね。うふふ」
「うふふじゃない!もう一度言うが貴様とは婚約破棄だ!」
マリウスは苛立ち爆発寸前だった。
「私は構いませんが、婚約を申し出たのは元々そちら側からでした。それでも破棄を申し出ますか?」
「勿論だ!可愛げのない女など要らん!女は可愛げが1番大事だからな。シルク嬢の様にな!」
「わかりました。そちらの不貞での婚約破棄ですから、慰謝料請求はしっかりさせて頂きます」
アメリアは扇子で顔を半分隠し答えた。
「慰謝料くらい払ってやる!俺は公爵家嫡男で次期侯爵だからな!」
「なら良かったですわ。私も婚約破棄して頂けて感謝しています。3人で、いえ、4人で寝室に入るなんてお断りですもの」
「なんて発言なんだ!恥を知れ!」
マリウス、シルク、シャルルは真っ青になっていたが、マリウスがアメリアに怒鳴りつけた。
「あら、見えてないと思ってらっしゃったのかしら?シャルル様の右手はマリウス様の右手を指まで絡ませ、左手はシルク様の左手と絡んでいますわよね?」
「なっ!?」
今度は3人共に顔が赤くなっていた。
「貴方方が3人で愛し合ってるのは知っていますわ。寝室での3人での激しい行為も。我が家の影は優秀ですので漏れなく報告がきますのよ。
いずれお子が出来てもどちらの種かは分かりませんね…」
扇子に隠れた顔は口角が上がっていた。
「い、言いがかりだ!」
顔を赤くしたり青くしたり忙しいマリウスが精一杯声を上げた。
しかし、マッカートニー家の影の情報収集が優秀なのは各家が知っている。真実がどちらなのか一目瞭然だった。
「そうそう残念なお知らせですが、我が家から報告を受けたご当主様方から、三人共に本日亡くなったと王家には連絡が入ってますわ。
それから私を愚弄し婚約破棄した賠償金は貴方方を娼館に払い下げたお金で補填してくれとも、ご返答頂いています。皆様ご安心下さいね。
我が家が経営している娼館ですから、清潔安全ですわ。その上売上の良い方は待遇は良いんですよ。
シャルル様程の美貌の持ち主なら幾らでも出すと言われる紳士淑女が可愛がって下さいますわ。シルク様は胸が洗濯板ですが、ロリ趣味のおじさまには愛されると思います。マリウス様は孫を愛でる方々に重宝される事でしょう。
うふふ。私の為に稼いで下さいね」
未来を思うと真っ暗で恐怖で震える3人を見て
「アメリア様、3人の水揚げは是非私にさせて下さいませね。もちろん出し惜しみは致しませんから」
程よくお肉の付いた真っ赤な唇プルンプルンの侯爵夫人が3人を見て舌なめずりしていた。
公爵家の死神令嬢の眠りを覚ますなんて、恐ろしい事をしたものだな……。
影達に連れて行かれる3人は歩きながら聞こえてきた言葉に、自分達がした婚約破棄を心底後悔していた。
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