表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/23

12☆トイレ

お昼休み売店で競争してやっと買ったチョコチップメロンパン。そして数少ない自販機のコーヒー牛乳。

足りない!!!でもこれで持たせなきゃ一日に五百円もらえるかもらえないかの身分としては、贅沢いってらんない。

しずくちゃん、これじゃ元気出ないよね?へろへろだよね?

理科棟の人気のない女子トイレに行って鏡を見る。青白い顔。唇も薄紫。洗面台で水を両手にすくってごくごく飲む。もちろんばっちくないように洗面台は洗剤で念入りに掃除した。

ここ、人が来なくて居心地いい。

とか言ってたら、人の声が近づいてきた。

トイレのドアが開く前に間一髪個室の一つにこもった。

「前田〜、ほんとに金曜日バンド部員になりに来てくれるの?」

前田?1組の前田さん?

もう一人は誰か知らない女子。

「うん。濱口くんたら、3組の卯月しずくを呼んでるみたいだけど、卯月にその気はなさそうだったし、私が入ってボーカルやるの!」

あーりゃりゃ。お友だち候補だと思ったんだがなぁ。私の目も曇ったかな?

ジャーゴボゴボ。水だけ流して個室から出る。

「そーなの?頑張ってね前田さん」

にかっと笑って手を洗う。

気まずそうな前田さん。

「あの、卯月さん」

「何?」

「ごめんなさい」

いきなりうわーんと泣き出す前田さん。私が泣かしたみたいだ。高校生はデリケートなのか?それともそういう娘?もともとおとなしそうだったし。

「あやまんなくていいよお。前田さんの当然の権利だし、もっと堂々としててよお」

「卯月さんは金曜日どうするの?」

もう一人の娘が聞く。

「私、その日用事あるんだ」

「嘘でしょう?」

「なんで!?」

「屋上で鉢合わせたらどうすんの」

「ほんとに用事!お兄ちゃんとデート」

「え?」

「本当のお兄さん?それとも彼氏いんの?」

2人からすごい剣幕で尋ねられる。

「本当の兄貴!」

「……」

キンコンカンコン

「やっば!遅れる」

3人ともトイレから飛び出していった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ