百鬼 ある者の栄光
一週間前に話は遡る
学友と帰り道に何気なく入ったカフェにて
「お前と撮った写真は反応がいい」
とかなんとか言って一緒に撮ってくれと頼まれた
正直言ってカメラを向けられるのは
好きではない
どんな顔をすれば良いのかわからなくなる
笑顔の仕方を忘れるといえば
僕がどれほど写真に苦手意識があるかわかると思う
ただ目の前の友人は
手を合わせて頭を下げたままだ
断るに断れない
「今回だけだからなー」
こんなイベントが月一くらいでくる
僕も悪い友人をもったものだ
悪い悪いと言うとカメラを構えて
ぱしゃり
その音が鳴ると同時に当たり真っ白な世界に包まれた
こいつフラッシュをたきやがったな
と恨めしく思っていた
それから一週間後に
まさか僕の目の前に
僕と同じ顔をした人が二人いて
たった今爆発したのだから
全く人生というのは見当がつかない
表向きでは事故なのかもしれないが
裏では僕は何かしらの事件に
巻き込まれたのかもしれない
でも影と書いて光を意味するなんて話はよく聞く