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ブリキのレイン

作者: 瑞目叶夢



ある国にブリキのレインと言うおもちゃの人形がいました。


レインは広い国の、おもちゃの町に住んでいます。


他の子は捨てられたり忘れられたりしてここに来ましたが、


レインはとっても大事にされていたけれど大好きなおじいちゃんが死んで、


年に一度のおじいちゃんの命日だけ外に出されるまで、


押入れの奥に大事にしまわれて寂しくしていたところを、


国を作った人のお使いのネズミにこの国まで連れてきてもらったのです


レインは村で一番きれいなブリキの人形で元気がよく、たくさんの人と遊ぶのが好きで


なんにでも挑戦するし、物事をはっきり言うし沢山友達がいました。


でもある日レインは勘違いしていることを自慢げに話し、


次の日、嘘つきだと言われました。


レインが勘違いしてただけと言っても信じてもらえません、


皆の声が怖くて後ろに引いた時、レインは倒れてしまい、自慢の真っ赤な塗装がはげて


鉄の部分が出てきてしまいました。


レインはさらにショックを受けます、信じてもらえない悲しみと


大好きだったおじいちゃんが大事に磨いてくれていた体を傷つけてしまったショックで


レインはしばらく家に閉じこもってしまいました。


そんなレインを心配して。お友達が家の前に集まります


たくさん心配そうな声を聞いて元気にならなきゃと思ったレインは


家にあった黄色のペンキで、鉄が見えるところに星を描いて


鏡を見てホコリを払ってピカピカに体を磨いてみんなのところに出ます


みんな嬉しそうに迎え入れてくれたけど何人かは、


やっぱりレインに冷たく接します、怖くなったレインは


隣の村の人形の村に引っ越します。



そこでレインは最初は様子を見るようにおどおどしていましたが


優しい人形たちに励まされて昔のようになんでも挑戦して


物事をはっきり述べるようになりました。


ただ、何かを言う時はきちんと調べてから言うようになり


慎重になりました。


けど、レインは疑われたことがトラウマになっていて


心の中では嫌われているんじゃないだろうかとびくびくしていました。


臆病な心にはどんどん錆ができて、


その心の錆は体にも出るようになりました。



その錆が出るたびレインは上からペンキを重ねて隠します。


自慢の真っ赤な体はいつの間にかカラフルで派手な体になって行きました。


レインは一つの場所んにずっといるのが不安になって、今度は言葉の町に行きました。


そこで事件が起きました。レインがずっとペンキで隠してた錆を指摘され


沢山の言葉に責められました。


言葉の町の人はなんでもズバズバ言うので、人形の村でつけた自信も、


塗りたくったペンキも時間がたつにつれて落ちて行って


ついにレインは錆びだらけでボロボッロになって、


おもちゃの町の自分の家に帰っていました。


ボロボロになったレインを見てみんなレインを心配しました。


けどレインはそんな姿を見られたことさえショックで


玄関のカギを閉め、木の板で止めて、大きな家具を積み上げて、誰も入れないようにしました。


いろんな友達が励ましにきて扉の前で大きな声でレインを呼びます


皆が言うにはおもちゃの町でレインを嫌っていたおもちゃ達はレインがいない間に


新しい持ち主を求めて外に出て行っていたそうです。


綺麗で大事にされていたレインがうらやましかったそうです


レインが出て行った時には、とっても居ずらくしていたみたいです。


でもレインにはその声も届きませんレインはずっと家で錆びた体を抱いて、


ベットの上で丸くなっています。


そんなこと言ってどうせ今のレインを見続ければ、


みんなレインのことを嫌うのだと思ったからです


ある日、一番仲の良かったロボットのおもちゃが


「レインが開けてくれるまで玄関から動かない」と言いだしました。


レインは二階の窓のカーテンの隙間からそっと外を見ると


ロボットは玄関の前に座っていました。


肩に欠けがある、いつも遊んでいたロボットの姿がそこにあります。


ロボットは本当にずっとそこに座っています、


何日も・・・・・・何日も・・・・・


ある日、雨が降ってきて、さすがに帰っているだろうと思って覗くと


ロボットはまだいます、雨に濡れてびしょびしょです


レインは慌てて家具をどけ木の板を外し、


玄関のカギを開け、ロボットを家に入れました。



「やっぱり入れてくれたね」



ロボットはそう言って笑いました。


レインも思わず久しぶりに笑いました。


久しぶりに声を出しました。


きしむ音をさせながら笑っても楽しいものでした。


その晩はレインとロボットは一緒に寝ました。



翌朝、レインは起きて伸びをして気づきました。


体がきしみません


体を見ると取れかけだった指は溶接されていて、


錆びも落とされ元のきれいな真っ赤な体になっていました。


周りを見ると友達のおもちゃが寝ています、みんな赤いペンキの跳ねたエプロンや


錆び取りのブラシを持ってたり床には洗剤や空のペンキ缶が倒れています


レインはみんなが綺麗にしてくれたんだと知りました。


レインはありがとうと言いたくて洗剤を付けたブラシで喉奥も磨きました。


これで自信いっぱいの元気なレインに元通りです


疲れて寝ているみんなを起こさないように下の階でご飯を作ろうと思ったら


下の階に見知らぬ女の❝人❞がいました。


その人はレインを見ると「おはよう」と言いました。


話を聞くと、その人はこの国を作った人だそうです。


そしてその人は言いました。



「君を助けてくれる人はこんなにいるんだよ


迷惑なんて思わないからいつでも助けを求めていいんだよ


不満も言っていい、一人で悩まないでみんなと解決しなさい


決めるのは君一人でも相談しちゃいけないわけじゃないんだからね」



その言葉にレインは上で寝ているみんなを思い出して「はい」


と笑顔で返事をしました。


それからレインはたまに壊れかけてもみんなの力を借りながら


元気にレインらしい真っ赤な体で暮らしていきました。


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