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平凡な日常にファンタジーが殴り込んできた話

国試とか卒論とか他の小説書いたりとかしてて遅くなりました。

桜井と遊びに行ってからしばらくして。

あれからというもの遊ぶときの選択肢に桜井が追加されたり桜井に群がる男どもとも多少関わるようになったりした。

とはいえ話すのはショタ先輩(守部玲という名前だそうだ)ぐらいで生徒会長はほとんど喋らないしもう一人に至っては未だに敵視されている。

そんな日々の中、珍しいことに真が今日は一緒に学校に行けないと言い出した。

珍しいこともあったものだ。寝坊することはあるけどほぼ毎日一緒に登校していたというのに。

まあ、そんな日もあるか。この時はそんな風に考えていた。



うっかり待ち合わせている訳でもないのにいつもと同じ時間に出てしまった。普段は待ち時間を考慮した時間に出ているのだが真を待つ必要もないのでいつもより早めに学校に着いてしまったのである。


第二校舎に向かう人影を見つけた。朝からそっちに向かうのは珍しいな。そっちで朝に部活やってるとこないのに。

あれ?というかあれ真じゃね?一緒にいるのは・・・桜井?他にも桜井と一緒にいると絡んでくるあの男(未だに名前知らない)とショタ先輩、生徒会長もいる。なんなんですあの集団?

というか桜井一緒にいるというか連れていかれてない?腕引っ張られてるし。なに事件?

まさか真がそんなことするわけないと思うけど・・・心配だ。わざわざ連れ出すっていうのが気になる。

・・・ちょっとついてってみようか。

うん、ちょっとだけ・・・なにもないって確認だけしてすぐ帰ろう。そうしよう。



と、いうわけでこっそりついてきたのだけどこの辺は朝に限らず用がない限りあまり生徒も先生も来ない場所である。なんでこの場所チョイスしたの?不安になるです。

不安に苛まれている間に五人は使われてない教室に入っていった。俺もこっそり尾行してドアを少しだけ開けて覗き見る。


そこにはなぜか桜井の前に並ぶ四人の姿が!なにこの構図。なんのフォーメーション?桜井をボスに見立ててのRPGごっこ?ファンタジーかな?


「桜井、俺は・・・俺たちは今までお前に黙っていたことがある」


え、なに?告白でもすんの!?俺たちの中から選べ的な?・・・これ流石に聞いちゃ悪いよね。よーし帰ろうすぐ帰ろう。

だけどそれを実行する前に話は進んでしまう。


「実は俺たちは・・・」


そう言って真たちの背中から真っ白な翼が・・・えっ。


「・・・天使なんだ」


ガチもんのファンタジーが殴り込んできた!?

いやいやいやいや!?なにこの超展開!え、真含めた四人から羽が・・・なにこれ!?こわい!告白じゃなくて暴露大会だった!

幼馴染を含むヒューマノイドから羽が生えたという現実にとんでもなく動揺して一歩下がるとパキリと何かを踏んでしまった。

しまった!

というか小枝踏んだ感じの音したけど何を踏んだ!?まさか学内に木の枝が落ちてるわけ・・・あ、お菓子の小枝が。

誰なの落とした人。学校でお菓子食べちゃ駄目だし。


「誰だ!」


そんでお決まりのようにバレたし。



そんなこんなで覗き見がバレた俺は彼らの前で正座していた。ちなみに自主的なものである。流石にてへぺろじゃ許してくれそうにないからね。必要なのは誠意なのです。

そんな俺の前に未だに名前知らない人が立った。


「なにが目的かはしらんが見られたからにはしかたない。 ・・・死んでもらうぞ」


強制死亡ルートですと!?時代劇で暗躍する人みたいなこと言いやがってちくしょう誠意なんてもう信じない!

って、ひぃー!この人(?)躊躇いなく剣向けてきたんだけども!?というかどっから出したの!?さいこぱす!


「なにしてやがる彰!」

「こいつは敵のスパイかもしれん。 消しておくのが賢明だ」


ひいー!天使を名乗るサイコパスがめっちゃこわいこと言ってるし真は真でいつの間にか槍持ってるんだけどぉ!?どっから出したの!?ポッケに入る体積じゃないよ!?

そのまま二人は武器を構えたまま睨み合う。

この天使どもギスギスし過ぎでしょ。というかなんで地上にいるし堕天使かな?そして生徒会長がさっきから微動だにせずなおかつなにも喋らない。生きてるのこれ?


「うわっ、それだけで人殺しとかドン引きー! やだねー、そういうの許されるのラッパが吹かれてからだよー?」


ショタ先輩が何気なく俺を庇う位置に立ってくれたのがありがたい。どうやら過激派はあのサイコパス一人のようだ。あとラッパってなに?


「情でも湧いたか! お前らは地上で暮らして腑抜けただろうが俺は違う! 使命のためならこの手を汚してでもっ!」


ひぃー!勝手に盛り上がって殺しにかかってきたー!いやー!猪突猛進型のサイコパスとか止める方法がなーい!


「やめろっ!」


あ、桜井の叫びでサイコパスの手が止まった。止める方法あったわ。その隙に今まで動かなかった生徒会長がいつの間にか持っていた分厚い本でサイコパスの剣を叩き落として真がサイコパスを羽交い締めにした。


「彰っ! こいつは俺の友達でそんなことをするやつじゃない! それでも槇原を傷つけるっていうならお前でも許さないぞ!」

「・・・くっ」


だから睨むんじゃないよサイコパスめ。

そして桜井ってばナイスプレイ。命の恩人だ。


「ありがと、助かった・・・。 でもなにこの状況? わけわかんないんだけど・・・」

「あ、いや俺もたった今聞いたばっかでよくは・・・」


あ、そうなん?桜井も巻き込まれた側かぁー。




違った。

あのあと落ち着いて桜井と一緒に軽い説明を受けたのだが予想に反して桜井はがっつり関係者だった。というか奴も天使だった。しかも中心人物だった。本人は自覚ないみたいだけど。

実際説明受けてから「嘘だろ・・・? 俺が・・・?」って呟いている。ちなみに俺は完全なる無関係者である。

「実はお前の前世は天使だったんだよ!(意訳)」とまるで中二病の人が考えたような真実を暴露された桜井はショックが大きいみたいなのでそっとしておくべきだろう。


とりあえず俺はショタ先輩にどうすればいいのか聞いてみた。


「えーと、俺はどうすれば? このままさよならしちゃだめでしょどうせ」

「んーまあ、そのままって訳にはいかないよぉ。 殺すのはやりすぎだけどー、でも記憶処理ぐらいはしないとねぇ」

「・・・同意」

「巻き込まないためにはしかたねえ・・・彰、てめえも文句はねえよな?」

「・・・ちっ」


サイコパス舌打ちしてんぞ。


「えっと、この事を忘れろってことなんだよね? そうすれば万事解決する感じかな?」

「そうだよー。 和樹君みたいな一般人に知られてると困ることもあるからねぇ」


ま、まあ守秘義務とかあるよねこれ。天使とか知られざる世界の真実って感じだし。


「知ったままだと不慮の事故とかあるかもー?」


あらやだブラック!是非とも消していただきたい!


「そ、それで記憶を消すにはどうするのさ? 物理的なのはなるべく避けたいんだけども」

「これ、使用」


生徒会長が手に持っているのは先ほどサイコパスの剣を叩き落とした本。それ鈍器じゃなかったのか。もしかして魔導書みたいな?

生徒会長が本を掲げると本が勝手にページを捲りながら宙に浮いた。


そして生徒会長がなにやら呪文のようなものを唱えると本が光を放ってその光が俺に降り注ぐ。

あー、これで記憶消えるのか。消しすぎないといいんだけど・・・。


光は数秒で収まった。本からも光が消えて生徒会長の手元に戻る。生徒会長は一仕事終えた感じだ。


それはいいんだけど記憶消えてないんですけど。まだ消えないのかな?


「ねえ、この記憶消すのっていつ消えるの? 時間差とかで?」

「なっ!?」


天使たちがざわってした。え、ダメなパターンでした?

桜井も不安そうにして生徒会長に尋ねる。


「おい、どうしたんだよ? あれだろ? ただ記憶を消すのに時間がかかってるとかじゃ・・・」

「否定。 魔法、即効性」

「じゃあなんで和樹にてめえの魔法が効いてねえんだ! このままじゃ巻き込んじまうかもしれねえじゃねえか!」


生徒会長に食って掛かる真と心配そうな目を向けてくるショタ先輩。

あ、ちなみにサイコパスはなんか言う前に桜井に止められました。今俺はみんなのおかげで生きているに違いない。


「それじゃあしかたないねー、槇原くん? さっきよりももうちょっと踏み込んだ信じられないような話するけど聞いてくれるかなー?」


えー、このままなにも聞かなかったことにして帰っちゃだめ?あ、駄目ですかそうですか。


こうしていろいろ問題はあれど平凡であった俺の日常は突如出てきたファンタジーに侵食されてしまったのでした。

・・・くそう、BLな世界でファンタジーとか誰が得するんだ。少なくとも俺はしない。

まさかのファンタジー路線。でもこういう設定のゲームとかあるしセーフセーフ!

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