ナンパをしてみる話
FGOとかアズールレーンとかやってたら遅くなっちゃったぜ!
休みの日、俺は一人で街の方に来ていた。
普段なら一人で来ることは避けているのだが今日は思いきって来てみた。
目的はナンパである。先日思い立ったことを実践してみようと思ったのである。
自分なりにおしゃれして伊達メガネも外して気合いは十分・・・だったのだが。
「へい、お姉さん! 暇なら俺と遊ばないかい?」
「う、嘘よ!」
「!?」
まさかの嘘呼ばわりである。
「お、男が女に、それも私なんかにこ、声をかけるなんてありえないわ! なにか目的が・・・臓器? 臓器ね!?私の臓器が目的なのね!? 」
「なんて具体的な誤解」
「私は騙されないわよおおおお!」
ああっ、行ってしまった・・・。と、とんでもない誤解をされてしまった。
うーむ、何が悪いのか。もしかしてこの服装とか臓器売買してる人っぽいのだろうか。どんな人だよそれ。
と、ともかくもう一度!今度はちょっと暇してそうな人に・・・。
「あ、ねえお姉さん待ち合わせ?。 そうじゃなかったら俺で妥協して遊ばない?」
「え・・・!? あ、えう・・あ・・・ご、ごめんなさいっ!」
「謝罪案件!?」
謝られた挙げ句に走り去られてしまった。
やはりあれか?俺の格好は臓器系の犯罪者臭がするのだろうか。くっ、前科とかないのに・・・。
とまあそんな感じに朝から失敗続きで落ち込んでいた俺は後ろから近付く男に気がつかなかった。
「・・・やっぱり! お前もしかして槇原か?」
「違います臓器は関係ないです!」
「なんの話だよ!?」
突然声かけられて驚きつつも振り向くとそこには同じクラスの友人である桜井がいた。
あ、なんだ桜井か。驚いてしまったじゃないか。
「いきなりどうしたんだよ」
「いやちょっと臓器系の疑いをかけられてねえ」
「は?」
意味わかんないよね。大丈夫、俺もわかんない。
「しかし、あれだな・・・お前学校と全然違うんだな」
桜井が俺の格好を見回してそんなことを言う。それも当然、普段は野暮ったいメガネ装着してるからね!メガネをパージするだけでも印象は違うだろう。
しかも今日はナンパ用におしゃれな服着てるし。貯金箱の中身を開放してまで買ったやつだ。
これで普段と変わりませんねとか言われたらへこむ。そして泣く。
「意外かい?」
「そりゃ、まあ・・・」
「そう振る舞ってたからねえ。 素はこっちさ」
ていうかこれキャラバレだよね。いや学校以外では素だからいつでもバレる可能性はあったわけだけど。でも桜井ならいいか。言いふらすやつでもないし。
「つかなにやってたんだよお前は」
「ん? ああ、ナンパだよ」
「ナンパ!? いやお前そんなことしなくても狩野が・・・」
ああ、やっぱ端から見るとそう見えるんか。確かに今のご時世じゃそう見えてもしかたな・・・なくない!ええい、この世界の常識に毒されすぎだ。しっかりして自分!ワタシ、オンナノコ、スキ!
「あー、それなんだがね。 俺は女の子好きなんだよ」
「それは・・・今時珍しいな。 え、つかマジか?」
「真面目にね」
やっぱその反応かー。いやでも引いてる感じではないな。純粋にビックリしてる感はあるけども。
うん、やっぱこいつは話しても大丈夫なやつだったな。
「それじゃせっかく会ったんだ。 ちょいとどっか遊びにでも行こうか」
「え? 俺は別にいいけど、お前その、ナンパはいいのか?」
「あははー、どうせナンパも成功しないしねえ」
いくらその気があっても相手があんなんじゃナンパのしようがないのさー。
そんなわけで桜井とゲーセン行ったり店をひやかしたりして過ごした。真以外と遊ぶのはずいぶんと久しぶりである。
さて、ここまでならただ友達と遊んだだけの休日で終わったのだがそうは問屋が卸さなかったようだ。
「なー、いいじゃねえか。 いっしょに遊ぼうぜ」
くそう、深淵を覗きこむ者が深淵に見られているようにナンパをする者は自分がナンパされるというのか!自分で言ってる意味わかんないけどとりあえず今現在ナンパされている真っ最中である。
「だからあんたらとは遊ぶ気ないって言ってるだろ! しつこいな!」
桜井が強気に拒否してるがナンパくんたちはにやにや笑ってるだけで引く様子がない。もしや言葉が通じてないのだろうか。若人のIQの低下は深刻である。
というかしつこいナンパってこんなにうざかったんだなぁ。俺も気を付けなきゃ。
とか考えてる場合ではない。ほんとしつこいんですけどこいつら。
「いいから来いよ!」
桜井の腕を掴んだ。
あ、こいつめ!実力行使とはナンパくんの風上にも置けない、途端にくそ野郎だよ!
他のくそ野郎が俺にも手を伸ばしてきたのをみて咄嗟にカバンの中の防犯グッズを掴む。
だが、防犯グッズを出す前に横から伸びてきた手が男の腕を掴んだ。
「真!?」
「わりぃな・・・こいつは俺の連れだ。 失せろ」
声ひっく!完全にキレてるボイスじゃないですかヤダー!あっ、桜井は!?
「・・・・・・」
桜井の方では知らない人が無言で桜井を掴んでいた人の腕をひねり上げていた。めっちゃギリギリいってる。大変、くそ野郎の腕が取れちゃう!
「な、なんだよてめえら! こいつらは俺たちが先に・・・」
「・・・黙れ」
「俺たちは失せろって言ったんだよ・・いいから黙って消えやがれ・・・!」
「ひっ・・・わ、わかったよ!」
さすが見た目不良の真だね。くそ野郎たちは大人しく引き下がっていったよ。
ところでそっちでくそ野郎の腕をひねり上げていた人は誰?ほとんど喋ってない上に眼光めっちゃ鋭いからちょっと怖いんだけども。
「無事か和樹!?」
「うん、ありがとね真。 桜井も大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。 会長ありがとうございます」
会長?え?うちの学校の人?俺知らんのだけども。
「ねえ、真? この人は・・・?」
「・・・・・・」
「あー、こいつはうちの生徒会長だ。 ちょっと縁があってな。 それなりに仲良くさせてもらってる」
全然喋らないねこの人。さっきちょっと喋ったっきりよ。
うちの生徒会長こんな人だったのか。集会とかで話会長の話とかあったけど全然聞いてなかったから知らなかった・・・。
普段喋らないとか生徒会長やっていけるのかな?それとも壇上ではめっちゃ喋るのかな?
「・・・天辺昴」
「あ、どうも槇原和樹です」
喋らなさそう。
「会長たちはどうしてここに?」
「・・・・・・」
「生徒会の買い出しらしくてな。 俺は荷物持ちだ」
「へえ、そんなことしてるんだ」
「わりぃかよ」
「ううん、善きこと善きこと」
高校で再会してからすっかりキャラ変わっててびっくりしたけど根は変わってなくて安心した。
「つかお前は何しに来てたんだよ」
「んー、ナンパ」
「はぁ!?」
「でもうまくいかなくってねー。 やめて桜井と遊んでたのさ」
おっと、涙が。
「・・・・・・」
・・・なんか見られてる。会長にめっさ見られてる。え、なに?こわい。
「そういえばもう買い物は終わったのか? まだなら手伝うぞ」
「そりゃ助かるがよ。 いいのかよ?」
「助けてもらった礼だ。 気にするな」
ねえ、そっち仲良いのはいいけど会長めっちゃ見てくるんだけど。なに?校則にナンパ禁止とかあったっけ?ねえちょっと。
このあとみんなで買い物に行ったのだけど会長の視線が気になって落ち着きませんでしたとさ。
そのうちガン見してこなくなったけど、なんだったんだろうか・・・?
次から話がめちゃくちゃになってきます(すでにめちゃくちゃとは言ってはいけない)