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何気ない日常の話

どうして朝学校に行く時、もうすでに帰りたいのだろう。

それは朝だからさ。いや昼も夕方も帰りたいけど。


という無駄思考をする今日この頃。これから学校なのでとても憂鬱だ。週5日は憂鬱だ。

それもこれも学校でいちゃつく男どもが悪い。やつら友達同士のじゃれあいの延長線上でいちゃつくから平然と教室とかでイチャイチャしてるのだ。

目の前で「あっ・・・」「ご、ごめん(赤面)」「いや、別に・・・(赤面)」みたいなやり取りを見せられる第三者のことも考えていただきたい。別に恋愛するのはかまわないが余所でやれ。



さて、そんな俺は学校では地味キャラやっている。

着崩したりせずにきちっとボタンをとめた制服、苦しくない程度に締めたネクタイという遊びの無い服装。それでいてパリッとはしてなく必要以上に堅苦しさは感じさせない。

トータル評価としては背景モブみたいな服装だ。しかもわざわざ野暮ったい伊達メガネまでかけているのでどうあがいてもメインキャラにはなれないビジュアル。

加えて学校では目立たないように大人しくしているから背景不可避。


そんな生活をしているので友人が少なめなのが悩みだが増えても男はほとんどが友人以上を狙ってくるのでなんとも言えない。

だがそんな俺にも親友と呼べるやつは存在する。俺が女好きであることまで話したことのあるマブダチだ。

と、こっちに向かって走ってくる音が聞こえる。噂をすればというやつだ。


「わりぃ和樹。 寝坊しちまった」


そう言って鋭くつり上がった目を不機嫌そうに細めるながら来たのは我が親友こと狩野真。

ボサボサの金髪はたぶん起きたときのまま。制服の上着はフルオープンでその下のワイシャツのボタンもいくつか外れたまま、ついでに裾はズボンから出しっぱなしだ。

こんなんだからぱっと見不良っぽいが実は無遅刻無欠席かつ成績優秀な優等生である。


「いーやぜんぜん? 五分も遅れてないでしょ」


彼とは幼稚園からの仲である。中学は別だったけど。これでも昔はどちらかというとおどおどして気弱だったのだがどうしてこうなったのだろう。中学で何があったし。

まあ根っこは変わってないので別にかまわないのだけど。


真といっしょに通学路を歩く。もうすぐ夏に差し掛かる日差しは日に日に強さを増して季節が変わりつつあることを意識させてくる。


「もうちょっとで衣替えだねえ。 あ、いやその前に梅雨か」

「そういやお前梅雨嫌いだったな」

「雨は嫌いじゃないけどさあ。 ずっとじめじめは駄目だね。 濡れるのも嫌いだし」


濡れるとやけに視線を感じるのだ。それは目立ちたくない俺にとって良くないこと。

いや濡れて服が肌に貼り付くのはエロいということはわかるけども似たような身体だろうになぜ見るのか。というか注目すべきは女の子でしょうに。

・・・まあ見られる側の気持ちがわかってからは自重してるけども。


そうこうしているうちに学校についた。人気のない昇降口の時計を見れば授業開始40分前。今日も今日とて余裕はばっちり。

これより早いと部活してるやつらがいるし遅いと登校ラッシュに巻き込まれてしまう。だからいつも俺たちがくるのはこれくらいの時間だ。


「それじゃあまたね」

「おう、昼休みな」


真とはクラスが別なのでここで別れる。親友と別のクラスというのはさみしいものだがこればっかりはしかたがない。恨むなら学校を恨む。

とはいえ途端に憂鬱な気分が溢れだしてくる。今日も一日平穏無事に過ごせるだろうか。

いやフリじゃないですよ?この学校での騒ぎって大抵恋愛(BL)のゴダゴダだから本気で巻き込まれたくないのである。


「おーはよ」


教室に入ると同時にあいさつをすればいくつかが返ってきた。

教室にいたクラスメイトは三人。俺と同じくいつも早めに来るやつらだ。そのうちの一人に声をかける。


「桜井おーはよ」

「おはよう、どうしたんだ?」

「用はないけど雑談でもどうかとね」


彼の名は桜井聖さくらいひじり。クラスメイトの男で親交のある一人だ。

彼は珍しいことにまだ恋愛に興味がない人なので今のところは仲良くしている。

たまにこうやって話すぐらいだけど話しやすいからついつい長話してしまう。


そんなふうにだらだら話してたら割り込んできた男がいた。イケメンだ。

そいつは無言で桜井の手を引っ張り教室の外へ、っておい。一言もなしとかマナーがないよマナーが。


「な、なんだよ彰! すまん槇原、またあとでな!」


ああ、桜井がさらわれてしまった。知り合いみたいだから大丈夫だろうけど。

しかしああやって無理矢理連れてかれるのとか漫画でしか見たことないんですけど。無理矢理腕引っ張られて・・・痛めないか心配だ。

その際何故かキッと睨まれる俺。俺が何をしたし。


いや、待てよ、そうか桜井・・・お前あいつにロックオンされてるのか。

桜井は恋愛興味ないって言ってるくせに誰にでも仲良くしようとする好青年だから想いを向けている側としては気が気ではないんだろう。

でもだからってやたらに嫉妬して周りに敵意振り撒くのはどうかと思うな。単純にみみっちいし他人の交友関係に口出す奴は嫌われるぞ。

それともあれかな?BL界ではああいうのがモテるの?


結局桜井は朝礼直前まで帰ってこなかった。




お昼休みにその事を真に話した。


「っていうことがあってね」

「そ、そうか。 そりゃ・・・災難だったな」


ん?なんだろう、なぜか全力で目を逸らされている。しかもどうも歯切れが悪い。これは・・・。


「どったの? もしかして知り合い?」

「え、ああ。 クラスメイト・・・だ」


あー、まあ自分の友達が他の友達を睨み付けたとかいう話聞けば気まずいよねぇ。


「わりぃ、あいつにはよく言い聞かせとくから・・・」

「真が気にしなくても。 というか別に怒ってるわけじゃないからね?」

「いや、だがよ・・・」

「もー、真が悪いわけじゃないでしょうよ」


結局今日の昼休みはやたら責任を感じている真に「お前のせいじゃない」と言い聞かせているうちに終わってしまったのだった。

しかしこんなに謝ってくるなんてクラスじゃ仲良いのかね?

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