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追跡者レース  作者: 白猫
1/7

第1回 スタート

 



  《ジャン、ジャン、ジャン、ジャン…》


 


 突然ど派手な音楽が鳴り、ステージ上に可愛いライオンの着ぐるみが登場した。

 

 ライオンはマイクを握っていて、音楽が鳴りやむのを待って話し出した。



『レディース&ジェントルメン!』



 その声と同時に一瞬の静寂が訪れる。そして周囲の人々の視線が声の主に注がれる。



『さぁさぁ、今から‘追跡者レース'を開始しまぁ~す』



 そう言ったと同時に一斉に怒号が起こった。



「ふざけんな!」


「ちゃんと説明しろ」


「ここ何処だよ」



 ……



 飛び交う声を完全に無視してライオンは話を続けた。



『こちらのスクリーンに注目~』


 

 ライオンが指さす方に大型スクリーンが現れ、画面上には下から上に文字が表示されてくるのだった。




---------------


 ≪ルール≫


 ・ゴールゲートを通過すれば勝ち


 ・スタートは8時(現在:7時56分)


 ・追跡者は8時30分から追跡を開始する


 ・タイムリミット内にゴールしなければ負け


 ・タイムリミットは20時 ゴールゲートは12時から開放される


 ・所々に設置されてる看板にゴールへのルートが記載されている


 ・ゴールした者には賞金300億円 ただしゴールした者全員(・・)で山分けとなる


 ・参加人数300名


 ・スタート時に時計・拳銃(弾なし)・1本の鍵を配布


 ・ハンデとして女性・子供(12歳以下)には特別使用の運動靴を支給


 ・最初の追跡者はランダムで選ばれる


 ・随所に宝箱が設置されていて入手したアイテムは自由に使用可


 ・配布されている鍵を使い宝箱の解錠が可能 ただし鍵は1度きりの使い捨て


 ・死亡したら負け



  ………

  ……………


---------------




「え?もう始まるじゃん」


「家に帰りたいよ」


「うわ、腰に拳銃がある」


「何この靴?」


「本当に賞金でるのかよ~」


「総距離を教えろよ!」


「死亡したら負けって何だよ!」



 周囲のざわめきを余所に、目の前に設置されている大型スクリーンには次々と下から上にスクロールされ文字が流れている。



 一通り文字が表示され終わると、この空間で唯一の出入り口であろう大きなスタートゲートが開いた。



『質問は一切受け付けませ~ん。死亡しても安心して下さい。ちゃんと事故死に見せかける準備はできてますから~』



 あえて挑発するように言うライオン。



 その言葉に怒号は大きくなるばかりだった。


 

『では、みなさ~ん。追跡者につかまらないようゴールを目指しましょうね~。そろそろ行きますよぉ~』



 ライオンがいつの間にかスターターピストルを構えていた。



『位置 について………よーい………』



≪バン!≫



 スタート合図の鉄砲が鳴った。 



 こうして多くの人が状況を理解できぬまま‘追跡者レース'が開始されたのであった。




 

普段は「異世界で出逢う大切な人」というファンタジー作品を執筆しています。

この度、別のジャンルでも作品を書いてみたいと思い投稿しました。

ただ作者遅筆と最近多忙の為、更新頻度は遅めとなります。ご了承の上お楽しみ頂ければと思います。

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