小春日和。。。。。。。。
これを載せて大丈夫かの検証です。
清水 さち。
1年2組でクラス委員長。
成績は優秀だがクラスで二番目の位置。
誕生日が四月だからクラスで一番年上。
身長がクラスで一番低い彼女は負けず嫌いである。
だからクラスで一番長身で学年トップの白城 七海に強い敵対心を持っていて彼女に勝ちたいという気持ちが思慕、恋慕に変わるのはそんなに難しい事ではなかった。
最近の悩みは七海に思いを告げて以来彼女から避けられている状況だった。
パコーン!
さちは何とかボールをラケットで打ち返すが相手に軽々打ち返されてしまう。
「しまった!」
慌てて反対に飛ぶが間に合わずにさちの遥か先でボールはテンテンと転がって行った。
モヤモヤ悩んでいるのはさちらしくないと思い部外者だけどコートを使わせてもらって良かったと気持ちが晴れ晴れしていた。
「ナイスファイ!さち」
ショートカットの少女が近寄りさちに手を差し伸べる。
「葉月先輩有難うございます。」
さちは葉月の手を借りて立ち上がる。
「同じ歳なんだから先輩はよしてっていつも言ってるでしょ。」
「でも…」
「いつもみたいに向日葵って呼んでよ…ね。さち!」
葉月 向日葵三月生まれの2年生。
さちの隣に住む幼馴染み。
名は体を表すと言うけど誰もが納得出来るのはそうそう居ないはずとさちは思っていた。
「シャワー浴びて帰ろう♪」
「葉月先輩…ちょっと待って…」
葉月は近くの後輩に片付けを頼むとさちを引っ張ってテニス部部室に向かった。
部室にはシャワーが併設されているが1年生、ましてや部外者であるさちが使用出来る筈も無いのだが葉月 向日葵の前では些細な事で済まされた。
さちは汗で汚れた身体を洗い流せてサッパリした気持ちでいた。
キイィッ。
簡易的な仕切りで区分けしてるシャワー室は個々の扉も簡易な一枚板が蝶番で止められてる程度で顔と脚は丸見えだった。
「さち。洗ってあげるよ♪」
葉月は両手にボディーソープをつけるとさちの背中に擦りつける。
「…んひゃっ!」
「さちは敏感肌なんだな☆」
後ろから抱き締められる形でさちは向日葵になで回されていた。
「もう…もう、…おねがい。」
やめて。さちはそう伝えたかったのに言葉は塞がれてしまった。
キス…ダメ。
駄目なのに…。
「…向日葵…どうして…私達…。」
キスの痕をなぞるようにさちは唇に握った右手の人差し指を当てた。
「もう。終わりにしたいんだ…幼馴染みって関係。…パートナーが出来る前なら私にもチャンスは有るよね!」
「…パートナー?」
「さち、誤魔化さなくてもいいよ。爪をみたら分かっちゃったから。」
そう言ってゆっくり左右の掌をさちの鳩尾を中心に上下に滑らせていく。
「…向日葵…駄目だよ…。私。恋人はまだだけど…好きな人は…いるから。」
首筋を舐められ…さちの抵抗は言葉だけだと葉月にも解っていたけどそれだけでは駄目だとも理解していた。
「白城 七海…さん。…だっけ?」
さちの身体がピクンと動く。正解だと確信した。
それと同時に向日葵は嫉妬した。幼い頃から一緒に育ったさちを…さちの心を奪った七海に嫉妬した。
「…そうなの…だから…私。向日葵を嫌いにさせないで…おねがい。」
泣きながら訴えるさちの目の前に向日葵は左手を持ってくる。
「さち。薬指を舐めて。」
「…え。」
さちは解らないって顔をしたけど。
「舐めなさい…いえ、舐めるのよ!」
根負けしたのかおずおずと舌を出し向日葵の左手の薬指をペロペロと舐めだした。
「…ふっ…くっ…も、もういい…。」
向日葵の薬指はさちの唾液で一杯に濡れていた。
「…これは誓いの儀式。」
ぎしき。ギシキ。…儀式。さちは言葉を反芻した。
「向日葵…駄目!駄目だよ!!」
シャワー室にその声は虚しく響いた。
さちの一生に一度の傷みを薬指は奪っていった。
悲しみの涙は外に流れたが言葉は向日葵の口腔に消えていった。
☆★☆★☆★♪★☆★☆★☆★☆★☆★★
駅前で少女はソワソワしていた。何度も手鏡を見ては前髪を気にしている。
今日は白のスカーフをリボンかわりにして髪を後ろで束ねている。髪留めと同じ白のロングコートは通販で先日届いたばかりの物だ。
「家から一緒でも良いけど…待つのも悪くないね。」
キョロキョロと回りを見ては時計を見る。
約束の時間までまだ30分もある。
「七海!…七海待った?」
ポニーテールにした小柄な女性が目の前に立つ…小春だ。
「ううん。待ってないよ♪お姉ちゃん。」
「七海!今日はお姉ちゃん禁止!!言ったら罰だよ!」
小春は指を立てると強気な態度に出た。
「罰って何するの?」
「…とっても恥ずかしいヤツなの!」
七海は小春の様子をニヤニヤしながら聞いていた。
「恥ずかしい事ってどんなのか解らないよ?私は子供だから♪」
「七海は意地悪だね。」
「お互いの認識に齟齬があったら嫌じゃない?だから共通認識にしときたいのよね」
言われると思った。小春はそう考えたが仕方ないと諦めていた。
「…人前で…キス…とか?」
「解ったよ…お姉ちゃん♪」
七海は小春の唇に自分のを重ねた。
「…もう、七海ちゃんの…ばか。」
七海は小春の手を取ると駅改札に向かった。
「七海!切符!私まだ買ってないよ!」
「私が買ってるから安心して!」
百合って深いなと思う。
拙い文では描き切れない渇きを伝えたいですね。