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小春日和。。。。。

 お昼までは曇りでも日差しは多少あり明るかったけど今は午後2時だというのに黒い雲が青空をすっかり隠してしまっていた。


 クラスの大半はウンザリ顔の中七海だけは新しい傘と長靴を使う子どものような笑顔だった。

 一つまた一つと窓ガラスに大粒の水滴がまるで音楽会でも始めたように聴こえていた。


「…犬猫降り」


 ヨーロッパの一部では仔犬と仔猫がまるでダンスをしてるような雨降りだと何ともファンシーな言い回しだがこの状況を表すには適切だった。


 七海は心嬉しくなって雨の日くまさんを鼻歌ハミングしていた。



 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 お姉ちゃんに女性・・を感じて意識したのもこんな雨の日だった。

 その日七海は学校を早退して居間のソファーで寝ていた。




 給食を食べた後急にお腹の下辺りが重くそして鈍く傷んだ。

 頭も痛く吐き気がするし最悪だった。


「……給食悪かったのかな。」


 七海は周囲を見渡すが誰も異変が無かった。

 下半身からドロリとしたのが出た感覚と共に目の前の景色から色が抜け落ちてモノトーンの世界になってしまった。

 七海は死んでしまうのかなと考えて意識が飛んだ。

 友達の声が遠くに聞こえた。



 七海は起きた時には保健室のベッドの上だった。

「担任の先生には話したから今日は早退しなさい。辛ければ明日は休んでもいいから。」


「せんせぇ…私は病気…なの?」

 七海は教室での出来事を思い出して不安になった。


「あっはははは♪いや失敬。どちらかといえばおめでとうだね!」


 こんなに辛いのにおめでとうだなんてあんまりだと七海は思ったが、ベッドの横にランドセルがあってちょっと泣けた。皆勤賞逃したのかな…。

 重い身体を起こしてみると寝たせいか少し楽になったみたいだ。


 家までは普段でも40分くらいかかるが何とか頑張れそうだ。七海は持ち前の気力で帰宅を試みた。

 しかし嫌な事があった時には悪い事が連鎖するもので後少しで家に着くって場所で雨降りにあい着く頃には全身濡れ鼠。


「泣きっ面に蜂とはよく言ったものね。」


 何時もは帰宅すれば母がいて学校のこととかを話ながらおやつを食べるのだけど今日は居なく薄暗く静な家で一人なのが不安でたまらなかった。


 濡れたままだと余計に悪く成ってしまうと着替えをするが下着が赤く染まっているのを見て…養護教諭の祝福を思い出した。


「こんなに血が出てるのに…目出度いはず無い…お母さん…お姉ちゃん。」


 七海はありったけのトイレットペーパーを血の出てる場所に当てて着替えると居間のソファーで横になった。



 雨はさらに激しさを増し雷を連れてきた。

 雷がどこかに落ちた音で七海は目を開いた。


 雷よりも目の前の姉と唇が重なってることに吃驚した。

 そして何事も無かったように離れる姉の袖口を咄嗟に掴む。

 七海が起きるとは思っていなかったらしく慌てて言い訳を小春は考えていた。

「なっ…ちがくて…七海ちゃん…おはよう。」


 結局マトモな言い訳すら出来なかったのは姉の小春だ。

 この当時の七海は年齢差がある姉に対して少々苦手意識があり、キスの意味が解らなかった。


「お姉ちゃん…なんで?」

「七海ちゃん…ごめんなさい。」


 ファーストキスを奪われた理由としては納得出来なかった。


「私…わたしね…はじめて…だったんだよ?いつか好きな人にって…だからなんでなの?」

「ごめん。…最近お姉ちゃん変なの…七海ちゃんの事を考える時間が増えてね。ドキドキが止まらないの。」


「それって…?」

「うん。たぶん…好きなんだと…思う。七海ちゃんの事。…気持ち悪い…よね?」

「…分かんない…けど…フアフアして気持ち良かったよ。」


 お姉ちゃんって苦手なんかじゃ無くて意識し過ぎていただけなんだ。


「お姉ちゃんに…お願いがあるの。」

「何でも言って。お姉ちゃんに出来ることなら何でもするから」

「なら、七海の事大事にして下さい。」

「はい。」

「あと、今夜からは一緒に寝たいの。」

「はい。」

「あと…あと、もう一回…キス…。」

「喜んで!!」



 その日の夜は赤飯が出たけど…複雑な味がした。



 そんな昔ばなしを思い出していたら放課後になっていた。

 慌てて七海は姉にメールを送った。昇降口で待っていると。



「七海待った?」

 小春は七海が昨日天気を気にしていた理由を理解していた。

「七海にお願いがあるの…私傘を忘れてた来たみたいだから…」

 これ以上無いくらい笑顔の七海。

「しょ、しょうがないなかぁ小春姉さんは♪」

「お願いします♪」

 しかし、七海は姉のバッグから折り畳み傘が出てるのに気づく。

「小春姉さん…それって…」

「七海ちゃん減点!そこは解っても気付かないふりしないとダメ!…だってしたかったんだよね?」

「それは…」

「したかったんだよね!」

「…はい。したかったです。」

「じゃあ行きましょ♪相合い傘♪♪」


 子どもの頃は当たり前でやっていた相合い傘なのにいつの間にかしないのが当たり前になっていた。

 だから今日は小春も少し学生気分に浸っていたかった。


「お姉ちゃん…日曜日に予定ある?」

「どうしたの?」

「デートしよ!」




予告は不要ですね。


あと七海の成長過程はコードが引っ掛かる可能性があるかも。

消えてたらごめん。



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