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小春日和 終章1

 昨夜は珍しく小春あねから求めてきた、受ける七海も紅緒おばあさまから姉のお見合い話を耳にしてる為普段以上に身体が火照ってひどく興奮し互いの肉体に印を残していく。

 しかし気付けば七海は小春に一方的に何度も高みに昇らされて、記憶が所々欠如し曖昧のまま夜は過ぎて気付けば朝だった。

 ただ隣を見ると小春の姿は既に無く淋しく思った。

 身を起こそうとするが気だるく甘い疲れで起き上がるのが困難だった。

 特に腰より下は重く痺れていたが別段嫌な気持ちでは無いが気恥ずかしい。


「……ん」


 無理して身体を起こして恥ずかしいがベットを見るとシーツは乱れていて昨夜の行為の激しさを窺い知るには充分だ。


「……」


 シャワーを浴びてスッキリとしたかったが、七海は自分の意思では動かすのに困難な身体を学習デスクの椅子に預けたことで机の上に封筒が有るのに気付く。


「何かしら?」


 封筒には『七海へ』と簡単に書かれていた。

 中には手紙の他にハート型のペンダントが入っていた。

 ペンダントヘッドは銀色のハートの枠の中の半分は穴が空いていて半分には金色のプレートの中に青と緑の二種類のジルコニアが埋め込まれていて一目でペアネックレスと解る品だった。

 七海はペンダントを掲げると、陽光を浴びたペンダントヘッドのクリスタルは春の若葉と夏の海が同居してるように見え、まるで小春と七海の幸せを祝福されてるとさえ考えてしまい思わず笑みが溢れた。


「……小春姉」


 手紙の存在を思いだしペンダントをそっと机に置くと手紙を読んだ。


『七海へ。


 面と向かって話すのは照れちゃって上手く言えないから手紙にするね。


 この前の遊園地楽しかったよ。

 本当はその時にペンダントを渡そうとしたけどタイミングが悪くて渡しそびれちゃった。


 ペンダントヘッドは私の手作りで石は二人のイメージ色なんだよ

 七海はペアは恥ずかしいかもしれないけど同じ物を持ってるってだけで嬉しいの♪


 いつも一緒だよ!


  小春。』



 七海の心は温かくなり幸せな気持ちになれた。

 少し休んだ事もありいくらか身体の自由が戻った気がするから、今度こそシャワーを浴びようと腰を上げた。

 シャワーの水滴は首元から足先まで流れ落ち上半身の二つの突起は鈍い痛みを脳に伝えていた。


「……ん、こんな場所まで痕が……」


 多分服で隠れる場所は小春に征服された痕が、白いキャンバスに紅い記しを残していて水滴を浴びる度に鈍い痛みが脳で甘い痺れとして変換されて心地良い。

 甘美な気持ちになるのを理性で抑えて後は手早く済ませた。

 制服に着替えてキッチンへ向かうと普段目にしないおかあさんが椅子に座りお茶を飲んでいた。


「七海おはよう」

「おはようお母さん」


 普段静は紅緒と食事をとっているので滅多に卓を囲むことは無かったのだが、今静がこの場にいる事実が何を意味しているのか七海には知るよしも無かった。


「お母さん珍しいね紅緒おばあさまは?」

「小春と一緒に出掛けたわ」

「………見合い?」

「七海はやっぱりお母さんの娘よね……何も血のつながった人を好きに成らなくてもね」

「……え?だって小春姉って碧葉家から来たんじゃ?」

「あらあら簡単に関係を認めちゃうの?もう少しお母さん的には粘って欲しかったかも」


 七海にとってはそれ処ではなかった、住民票でも小春は養子扱いで義姉妹に成ってるからだ。


「このことは小春ねえさんは知ってるの?」

「小春には話して無いからね……でも頭の回る娘だから多分ね……」


 知ってるかもしれないと静は繋げたかったのかも知れないと七海は考えていた。

 それより心配なのは小春は紅緒と一緒にいるという事実。


「見合いを心配してるより紅緒おかあさんからの指示を話すわよ」

「……」

「今回の見合いは形式的にやるもので失敗したら家から出てもらうって」

「そしたら次は?」

七海あなたの番ね……」

「嫌よ!見合いなんて形式的でもダメ」


 そうは言ったものの白城家で紅緒の言葉は絶対であり、理不尽等唱えらようなら一族から排除されて生きていく。


「七海には白城家とは関係無い場所で幸せに暮らして欲しいの……それは望まれた幸せであって欲しい」

「望まれた幸せ?」

「そうよ……」


 静は七海に見せる様に写真を机の上に乗せる、そこには高校生くらいの男女の写真だった。


「お母さんこれは?」

「私ととても大切な人」

「……それって」


 七海の勘はこれ以上聴くなと言っていたが、好奇心には勝てなかった。


「小春の実父」

「その事をお父さんは知ってるの?」


 静は気持ちに整理出来たとスッキリした顔で頷いた。


「でも、ここから先は話すけど七海あなたも忘れて欲しいの……お願い」

「……」


 七海が頷くのを確認すると静はポツリポツリ語りだしす。


「切っ掛けはどうあれ私は実弟と関係を持った事実は消せないし……消すつもりもなかった、ただ紅緒ははの考えは違っていの」

「……」

「紅緒は初孫にあたる筈の小春の席を抜く為に、碧葉家の実子として育てさせて白城家の世継ぎを産ませる為だけの人形として養子縁組みをさせたのよ」


 白城家では時折血族の中でもが濃すぎる者が出るのだが……跡継ぎはその者を筆頭にするしきたりがあった事を静はあえて言わなかった。


「……可哀想、お母さんもお姉ちゃんも贄にされたって話じゃない……何が血筋よ!何が白城家よ!」


 七海は両手で顔を隠すことで、素顔を消したつもりだったが隙間から漏れる嗚咽で何もかもバレていたが静は落ち着くのを待った。


「お父さんのことも好きだけど、弟を忘れることも出来ないダメダメなお母さんだけど……七海、私の娘に産まれてくれてありがとう……だから幸せになるのを諦めないでお願い」

「……お母さん私……泣かない、この件で泣くのは最後にする」


 七海の目に力が戻ったが目の下には哀しみの痕が紅く残っていた。



 












小春編の終章に突入です。


っても、あと3~4話くらいありますがね。

気長にお付き合いのほどを。


次回は小春のお見合い話です。

さて、誰がきますかね。


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