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ゴールデン・パラシュート  作者: 木崎隈汰
戦争編(ダン)
5/22

外伝1 「氷の英雄」

登場人物紹介

・ニューアスメリア合衆国

「ボビー・ライラック」

28才・男、O・Hの一人、通称「アイスマン」体内から氷を発生させる能力を持つ。英雄気質で仲間想い。

戦争に対しては心を痛めている、どんな窮地でもあきらめない精神を持つ。

彼は24才の時軍の訓練最中に山で遭難する。仲間に発見された時体が冷たかったので死んだと思われていたが、安置所で復活する。それ以来体を氷と化す事が出来るようになった。

O・H≪オーバー・ヒューマン≫

「アイスマン」

能力所有者:ニューアスメリア合衆国「ボビー・ライラック」

・特徴

・触ったものを凍らせることが出来る

・自分自身を凍らせる事により、味方の盾となる。また氷を作りだす事によって壁を精製する事が出来る。

・冷たい息を吐き出す事が出来る

短所

・熱や火炎とはイーブンな関係にある。

・射程距離が短い。



 二大国家ニューアスメリア合衆国とカルナダ連合の戦争は、日々激化していた。特に中央戦線は日ましに強くなっていた。中央戦線・北西部に駐屯するニューアスメリア軍の大体はカルナダ連合に大規模の攻撃を仕掛けようとしていた――


ニューアスメリア軍・第7陸軍機動大隊とある基地の一室―――


 そこでは暑さにうなだれる兵士十数人が一人の男を待っていた。


「早くあいつ来ないかな?」

「こう暑ければ職務にも支障をきたすってもんよ。」


 名もなき兵士達は口々に不満を募らせる。それもそのはずであるクーラーの使い過ぎによる故障で幾つかの部署はクーラーの機能が停止しているからである。

 部屋の扉が開かれると一人の男が室内に足を踏み入れる。兵士達は待ってましたとばかりに熱い賞賛を送る。兵の一人が口を開く―――


「おいボビー、得意のアレでこの部屋の気温を下げてくれ。」


 別の兵士が更に口をはさむ。


「ついでにそこにある、飲み物もよろしく。」


 そう言うと男は照れ臭そうに体から冷気を放つ、するとたちまち部屋一帯は涼しげな気温に包まれた。さらにテーブルに置いてある飲み物類にフッと息を吹きかけると、たちまち冷たい飲み物が出来上がっていた。


ボビー 「これくらいお安いものだ、また必要になったら呼んでくれ、他にも回らないと行けない部署があるんでこれで失礼するよ。」


 そう言うと、歓声を受ける中、基地の一室を後にしていった。

その後、各部署を得意の能力で転々と回って行ったあと。最後の一室に辿りついた。

 この基地最高の司令室である。入念に身だしなみをチェックすると、ドアを三度ノックする。司令管がどうぞと返事を返すと、足を踏み入れ―――


ボビー 「失礼します!!ボビー・ライラック大尉は司令室の空調を設備しに参りました!!」


「堅苦しい事は抜きにしてくれ、それよりも速く気温を下げてくれ暑くてかなわん。」


 それではと、たちまち能力を行使すると、司令官が温度計に目をやると先程まで36度を超えた温度系は17度まで下がっていた。

 司令官がボビーに一言ねぎらう。


「すまんな、私の部屋にまで来てもらって、おかげで皆、士気を下げずにここまできている。」


 と司令官は立ち上がりボビーに対して深々とお辞儀する。

一礼を貰った後にボビーは慌てた口調で司令に話かける。


ボビー 「司令、顔を上げて下さい、これくらい安いもんです。本当は司令室を真っ先にするところを最後で良いとおっしゃたのは司令じゃないですか!」


 司令は顔を上げ、先程の優し気な表情が嘘みたいかの様に、険しい顔つきでボビーに話かける。


「君も知っての通りだが、我が軍は戦争勃発によりカルナダ連合の激しい強襲により前基地を放棄して防衛ラインを引き下げた。戦いの中でも、もっとも厳しいと言われる撤退戦をほとんど犠牲なくこなす事が出来たのは、君が我が隊にいてくれたからだ。感謝しても、足りない位だ。」


 司令は更に続ける。

「明後日カルナダ連合の前座部隊に対して大規模な作戦を展開する、君には一個師団を率いて真っ先に切り込んで貰いたい。引き受けてくれるかね?」


ボビー 「身に余る光栄です!謹んでその任務お引き受けします。」


 そう言い放つと司令に向かって敬礼をし、指令室を後にしていった…


明後日後・敵基地前ベースキャンプ―――


 指揮官となったボビーは、これから共に戦う戦友たちを呼び集め一同に演説を行った―――


ボビー 「これより我々は、カルナダ連合の強襲によって奪われた前座基地に攻撃を仕掛け、防衛ラインの引き上げを狙った作戦を展開する!!この戦いはカルナダの奴らをぶちのめす事が目的ではない。諸君等の家族、親、兄弟、愛する者を守る戦いである、皆の命を私に貸してくれ!!」


 兵士数百名にそう叫ぶと数秒もしない内に大歓声が巻き起こった。

 それから数キロはしないであろう自分等の元居た基地へと皆攻撃を仕掛ける、先発を切っていたのはやはり、ボビーであった、戦車等の砲撃支援を受け距離を詰めていく、カルナダ軍は砲撃をしているのが、ニューアスメリア軍だと分かると、ただちに応戦する。しかしボビーの能力によって氷の壁を作っていた部隊は敵の砲撃にびくともせずに、砲弾の嵐を降らせていた。

 戦局を眺めていた一人のカルナダ軍の兵士は先導を走っているのが氷の男だと知るとすぐさま司令と思われる男に報告した。


「司令!!氷の男です。奴が先導を仕切っています!!真っ直ぐにこちらの基地へ向かって突っ走ってきます!!すでに第一防衛ライン突破されました!!」


 カルナダの司令は追撃戦で思うように、損害を与えられなかったボビーを苦々しく思っていた。味方の部隊に焼夷弾による攻撃を許可する。


「多少の被害を喰らっても構わん!何としてでも奴を仕留めろ!」


 そう叫ぶと次々と焼夷弾にカルナダ軍は切り替える。その間にボビー率いる強襲隊は敵の第二防衛ラインに攻撃を仕掛けていた。ボビーは次々と戦車のキャタピラ部分を凍らし、味方と協力しながら敵を倒していく。

 カルナダ軍は焼夷弾の砲撃を放ち砲撃部隊の氷の壁を破る事には成功したが、第二、第一防衛ラインの味方部隊にも被害が及んだ。


 ボビー率いる強襲隊に一発の砲弾が流れてきた。

悲鳴を上げる兵士庇うようにボビーは氷のドーム状の壁を出現させた。


ボビー 「ケガはないか?どうやら私が作った氷の壁は敵の焼夷弾で燃え尽きてしまったらしい。」


「おかげで命拾いしたよ、大丈夫さ、みんな奮戦している。」

 

 と側にいる通信兵に連絡が入る。


「待たせたな!!これより第1戦車部隊、及び第2戦車部隊は強襲隊の支援にあたる。」

 本隊の部隊が支援にはいるという知らせだった。

この報告によりニューアスメリア軍全体の士気が大いに上昇した。

 それに対してカルナダ軍側は士気が下がり第三防衛ラインも突破されていった。カルナダの司令の元へ更に通信が届く。

「敵本隊の到着により、第三防衛ラインも突破されました!このままでは最終防衛ラインも突破されるのは時間の問題です。」

 カルナダ軍側の司令は、怒涛の勢いで攻めてくるニューアスメリア軍を見て苦悶の表情を上げる。そして撤退を決意、残存する兵力をまとめて国境沿いへと引き返して行った…


 ニューアスメリア軍・第7陸軍機動大隊はこうして、カルナダ連合に奪われた重要拠点の一つを取り返す事に成功した。

 この戦いで多大な功績を挙げたボビー・ライラック大尉は一階級特進となり、少佐となった……

 ボビー少佐は佐官になっても驕る事はなかったと言う、また周りの同僚や部下からは敬意の念を込められ、氷の英雄≪アイスマン≫と呼ばれる事になったと言う…

別の視点での話です。ニューアスメリア軍は、≪スーパー・ソルジャー≫を、≪オーバー・ヒューマン≫と呼んでいます。呼び方が違うだけです。

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