第1話「夢の始まり」
登場人物紹介
ニューアスメリア合衆国
「ダン・クーリッジ」
26才・男、明るくポジティブな屈強な漢。いたずら好きで腹話術が得意
割とリーダーシップがある。強襲が得意
「バリー・オズボーン」
27才・男、無駄口をあまりたたかない、冷静で現実的、博学でもある
狙撃に秀でる、武器の横流しをしているためその方に広いパイプを持つ
「マイキー・ドレ」
20才、男、ハッキングが得意で通信機材を担当している、隊のムードメーカーでもある。
小回りの利く戦法を得意とする。体が小さいことをコンプレックスにしている
「チェイス・ピチカー」
22才・男、気弱でのんびりしているが、温厚
少々間が抜けている修理や料理が得意、補給を担当する。子供好き
「タイラー・ベルト」
27才・男、陽気な黒人で状況把握力にたける、ダンとバリーと同期で親友
冗談をよくとばすチーム内で一番でかい
XX92年 二大国家《ニューアスメリア合衆国》と《カルナダ連合》は政治的干渉により決裂―――カルナダ連合はニューアスメリア領モーセス地方の駐屯基地を襲撃―――こうしてニューアスメリア合衆国対、カルナダ連合の戦争が勃発した。
当初は東部戦線・コバルト平原、各所で激しい衝突が繰り返されていたが戦況は移り変わりやがて中央の国境沿い付近へと移り替わっていった――――
この経緯で両軍ともに大規模な戦力を撤収、僅かな戦力を残し中央戦線へと戦力を終結させていった。
―――――――――――人生は死というゴールが決まっている―――――――――――――
―――――――――――ならば何故?俺達は生にしがみつくのか―――――――――――
―――――――――――人は必ず一生に一度は夢を見る――――――――――――――――――
―――――――――――退屈に生き永らえるのであれば――――――――――――――――――
―――――――――――面白おかしく死んでやる、楽園を目指して――――――――――
中央へ戦力を撤退したあとから七ヶ月後――――東部戦線・タスチアナ森林地帯
バレーウォール山脈のふもとに駐留するニューアスメリア軍のとある一個分隊は戦況が緩やかになったせいなのか、今日も巡察と称しタスチアナ森林の入り口付近で巡察≪サボリ≫を行っていた。
隊長と思われる男の年齢は20代半ば頃だろうか?1人の男が呑気にあくびをしている。
「いやぁ~、今日は最高のサボタージュびよりだぜ、なぁバリー。」
「…そうだな。」
と二人の男は煙草をくゆらし談笑する。
二人の大柄な男に対して一人気弱な青年が心配そうに口を開く。
「まずいんじゃないかなぁ?」
「だったらチェイスはついてこなきゃよかっただろ?」
「でも…、一人で帰ったらみんなは徒歩で帰るの?」
「何でお前が1人で車を使う前提なんだよ。歩いて帰るのはお前だっつーの。」
「まぁ、そう言うなマイキー。」
三人の男は静けさの漂う森の中、ゆっくりと辺りを見回す。一人を除いて
突然心配そうな青年チェイスが、建物をらしき物を発見したらしい。
「あれ?あんな所に建物っぽい物が見えるよ?」
建物らしき場所に向かって指をさす。やれやれといった様子でダンは重い腰を挙げる。
「気晴らしにちょいと行ってみるか…、名目上は一応≪巡察≫って事になってるからな。」
さすがにダン・クーリッジは大人だった《サボリ》より巡察任務を優先したのである。
メンバーの中で最年少のマイキーが不満を零しバリーに叱咤を受ける。
「もうちょっと、ゆっくりしていこうぜ?」
「あれを放置して俺らが死ぬ、またはどやされるのと、偵察しに行くのとどっちが良い?まぁ…良い口実が出来たと思え。」
マイキーは不服そうにしながらもジープに乗り込む
四人が見つけたのは攻撃を受けて廃屋となったカルナダ連合の前哨基地だった。
基地であった物の前で4人はたたずむ。
「これは――――カルナダ連合の分頓基地かなんかか?」
「どうやら、そうみたいだな最近まで使っていた痕跡がある。」
「二人一組で探索を開始する。二階は俺とチェイスで一階はバリーとマイキーで頼む、何かあったら無線で連絡してくれ。」
ダンとマイキー2人の男は建物の形状を留めている2階を探索をする。特に何もなく飽きてきたのかダンはチェイスに話かける。
「おいチェイス、何か見つかったか?」
「何も…、そっちはどう?」
とふと探索から開始三十分程たった頃だろうか、ダンの無線からコールが鳴り響く――――――
「ダン、地下らしきものの階段を見つけた後で降りてきてくれ。」
二人が足早に駆けつけると地下階段の入り口で二人が待っていた。
「俺が見つけたんスよ♪」
とこの少年はまるで手柄でも挙げたかのように話す。ダンは一同に地下を探索する様に命じる。
四人はそれぞれ地下室へ探索しに行き、とある一室の扉に目をおいた。
「地下は割と被害がないようだな…、ん?」
「でかい扉だな。」
「チェイス開けてみろよ。」
「えぇー?何か嫌だよ、マイキーが開ければ良いじゃないか」
「トラップが仕掛けられているかもな…。」
と三人の男はチェイスをからかう。しどろもどろしているチェイスに苛立ったのかダンがぶっきらぼうに命じる。
「いいから、開けろ。」
「しかたないなぁ…。」
メンバーにはやし立てられチェイスが恐る恐る扉を開くと……。
四人の目の前には口では言い表せない程の金色の山が広がっていた。
「ワーォ⁉こいつはヤベェな目の前が金で一杯だ。」
「スゲェー⁉なんだこりゃぁ。」
「うわぁ⁉」
「これだけの量なら最低20億クレジットは堅いな、しかしジープじゃ運べないな。」
「タイラーに連絡して軍用トラックを持ってきてもらう、その後はお前のツテで何とかならねぇか?」
「俺もみすみすこのチャンスは逃したくないしな、良いだろう何とかやってみよう。」
「おいマイキー、ジープに戻ってタイラーに連絡しろ、ジープが使い物にならなくなったてな。」
ダンは先程の金塊をよそに夢を募らせる、ふと自分の相棒に目をやると、はしゃぎながらチェイスと2人で一階へ金塊を運ぶ少年をよそにバリーは険しい表情で地下で拾ったと思われる資料を読んでいた。
「おいダン…、ちょっと…。」
「どうした?深刻な顔して?」
バリーから渡された資料は作戦命令書だった。それもこの戦争の核心に迫る重大な。ダンはバリーから渡された資料を読み上げる。そしてダンの顔も険しい顔つきになっていく。
この作戦は最重要機密である――――
XX91 4月20日に置いて我が部隊は兼ねてから極秘に研究した
新しい戦力手段・スーパー・ソルジャー〔S・S〕の成果を実地
試験したいがためニューアスメリア領東部戦線の補給基地を攻撃
する。これにはニューアスメリア陸軍ベルモンド・ワグナー中将
合意の元である
この作戦の情報流出には厳しい処罰が下されるので重々注意の上諸君
らには作戦を遂行してもらいたい。
ガルナダ連合准将アルバート・ウィリス
「なんだこれは?本物か?俺達の祖国は最初から俺達を裏切っていたのか?中央に行った奴らは何も知らずに死んでいくというのか?」
祖国が自分たちを裏切っている事に対し怒りを露わにしているダンにバリーが声を掛ける。
「どうするダン?祖国は俺達を裏切っている。このまま黙っていればその訳のわからん≪S・S≫とやらに殺されるぜ?」
「あぁ…、軍を告発する。取り敢えずはタイラーを待とう、その後は隣国のアージニア共和国へ亡命でもするか…。」
「脱走する気か?両軍から追われれる事になるぞ、まぁ良い…、アージニアにもツテは無い訳じゃない。」
四人は周囲を警戒しながらタイラーを待っていた。二人は金に心を躍らせて、二人は祖国が裏切っている事を知り複雑な思いを胸に秘めて―――。
二階で周辺警護をしていた、バリーから通信が入る。どうやら不審な集団がこの廃墟を目指しているとの事だった。
「廃墟に向かって来てる一団がいる、人数は4、装備に規則性があるし統率が取れている。恐らくはカルナダ軍の兵士だ。」
報告内容に状況は一変する。それまで遠足気分だったチェイスとマイキーに敵が来た事を知らせる。
「了解した、バリーはそのまま待機、観察を続けろ。マイキー、チェイス聞こえたか?戦闘準備にかかれ。」
「ちぇっ……、戦闘準備か。」
「うん……。」
ダンはそのままマイキーにトラップの設置を命じチェイスを引き連れる。
さらにバリーから通信が入る。ダンは敵と自分達の距離を聞き、そのままバリーに狙撃を命じる。
「人数6、さらに接近。」
「バリー、その距離からは敵兵を狙えるか?」
「あと大体200m程近づいてくれれば有効射程距離だ。」
「OK、それじゃ、チェイスは俺と入り口付近からはさみうちだ、マイキーは設置が終わったらバリーのバックアップにあたれ。」
「三方向からの攻撃を展開する。」
敵の一団が入り口付近へと侵入してくる。ダンは皆に合図をしチェイスと共に身を潜める。
「敵入り口付近侵入、これより迎撃を開始する。」
先制攻撃を仕掛けたのはバリーだった。バリーはスナイパーの達人だった、撃った弾は無情にも敵のこめかみに命中する―――。
「敵だ!12時の方向から撃って来やがった」
「各自慌てずに散開し物陰に身をひそめろ!」
隊長らしき男が隊員達に対して叫ぶ―――――。
しかし作戦立地に関してはダンの方が上手だった。こと待ち伏せというカードを所持しているのであれば尚更…。
物陰に隠れようとする兵士二人に対し容赦なく牽制射撃を行う。
一人は銃の射撃により倒れたがもう一人は弾幕に対し臆する事なくダンの元へと近づく。
「貴様等アスメリア軍の兵士か⁉なぜこの場所を知っている⁉」
この隊員は拳銃を構え近接攻撃へともつれこむ。ダンの腹部に対し鋭い拳を放つ。
「ぐッ…、なかなかやるな…。だが…。」
ダンは敵の崩拳を腹に受ける、だがダンの体はその攻撃に耐える――――。
反対側に身を潜めていたチェイスはダンとタイミングを合わせた強襲により敵兵の一人を倒していた。
敵の来る気配がない事を察知すると、バリー達がいる建物内へと駆けつけていった。しかし建物内に戻る途中にカルナダ兵に見つかってしまう。
「いたぞ!建物内に入って行ったぞ!」
「待て深追いするな!」
チェイスを追っていたこの隊員達は奇襲と待ち伏せにより動転していたのかもしれない。
建物内に入って行ったチェイスを獲物を狩る様に追いかけていく。
「うわあ!」
「見つけたぞこの間抜けめ!」
チェイスに向かって銃弾が降り注ぐ。一発の銃弾がチェイスの右腕を貫通する。止め刺そうとチェイスに近づく兵士の1人にマイキーが忍びよる。
「間抜けはアンタだよ!眠ってな!」
そう言うとスタンロッドをあてられた兵士の1人はその場で気絶し、一階へ降りて来たバリーの射撃によりもう1人もあえなく倒れる。
辛くも敵隊員を体術でねじ伏せたダンは急ぎ足で次のポイントへ向かう。
この隊長は少し優秀だったのかもしれない、ダンの気配を感じ壁に身を潜めダンと鉢会うとすぐに足払いをかけ、銃を突き詰めて尋問する。
「われわれ《デスゲイルズ》をよくもここまで追い詰めたものだ!」
唐突にあたりに声が響く―――。
(お前こそ回りと後ろを見て見ろ)
「なにっ⁉」
隊長と思しき人物は唐突な声に一瞬身がたじろぐ、この一瞬をダンは見逃さなかった、隊長の首元を掴みかかり片方の拳で渾身の力を込めて顔めがけて振りぬく。
ダンの拳を顔面に受けた敵隊長耐えられるはずもなくその場で崩れ落ちた。
その場で膝をつき息を切らしているダンの元へ仲間3人が駆けつける。バリーが親友の予想外な行動を褒める。
「例のアレ使ったのか…?、上手いもんだな、まさか敵さんも腹話術にやられるとは思いもしなかっただろうな。」
おもむろにその辺に仕込んであった拡声器を広いあげる。
「流石にひやっとしたぜ、ん?チェイスお前どこかやられたのか?」
右腕を押さえながらよろよろと歩く仲間に対して、心配気味にダンは口を開く。
「大丈夫、マイキーが肩を貸してくれてるから…。」
そういって大丈夫だと言わんばかりに顔に笑みを浮かべる――――――。
不意にどこからともなく車の走行音が聞こえる。どうやらこちらへ向かって来ているようだ。
「新手か?こっちにはけが人がいるってのにクソッ。」
「違うみたいだぜ?どうやらタイラーのトラックが到着したようだ。」
新手と勘違いするダンをよそにバリーは味方だと感づく、近づくトラックから陽気な声が聞こえる。
「オーイ兄弟、大丈夫か?」
近寄ってくるトラックを見つめながら、4人はもう一人の仲間に手を振りかざす、新手でない事を確認し4人はほっと一息つく。
「これで金塊が積み込めるな…。」
「そうだな…」
彼らはまだ知らないカルナダ連合のS・Sの脅威を…
場所は一転する
デスゲイルズ部隊・キャンプ
一人のカルナダ軍・女性兵士が黙ってたたずむ男に心配そうに話かける。
「隊長?気分でも優れないのですか?」
隊長と呼ばれた男は眉間にしわをよせ険しい表情をしていた。
「先発部隊からの返事がない。恐らくは敵と交戦状態になり、捕虜となったか?あるいは死亡したか…」
「ブルー・ボルト、敵は中々のやり手のようだ、任務を遂行出来たら除隊の件を私から上訴しておこう」
「本当ですか?その話信じますよ?」
トロンは自分の腕に付けられた腕輪をじっと見つめる。
「本当だ。出来れば残ってもらいたいのだが…、仕方がない。君は貴重なS・Sなのだから」
話を終えると、部隊員に向けて声を上げる。
「今から30分後に出立する。目標、東部戦線タスチアナ森林前線基地。」
不穏な空気を身に纏った兵団がダン達の元へと向かって行く…。
後書き
執筆ペースはなるべく速くするようにはします。
誤字脱字があったら連絡をくれると嬉しいです。
設定・世界観は徐々に公開していきます。
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