盆地の底、海への坂 作者: くろっきぃ 掲載日:2026/03/25 家を出れば、鼻をかすめる潮の香 霧は濃く、風に混じるは波の音 坂を上れば海が見え 水平線には一艘(いっそう)の船 昼は、古びた家を軋ませる乾いた風 夜は、大地を震わせる轟(とどろ)きと霧笛の声 いま私がいるのは、逃げ場のない盆地の底 風は淀み、潮の香も届かない 鳴るは、ただ瓦屋根の乾いた音 春がくるたび、不意に蘇る 風が運んだ、あのかほり メモ 10代を過ごした地元を思い出そうとすると、鼻をかすめる海の香り。 そして「ボ―ッ」と鳴り響く汽笛の音