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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

不幸な松岡シリーズ

卑劣! 販売サイトの罠!

作者: 松岡良佑

健全サイトで人生詰みかけた男の話。

 俺の名前は松岡良佑。


 自慢じゃ無いが、ネット小説大賞11で受賞し、約2年掛けて、2025年9月15日に、まずは分冊版の『信長Take3 ~戦乙女の濃姫と三度めざす天下布武~』が発売された。

 単行本はまだ後だが、それでも、まずは3話分が発売された!


 自分の作品が世に出て売り物になっている。

 学生の頃などは、人生設計に『小説家』になるなど、1mm程の欠片も想像していなかった。

 大体作文なんて大嫌いだった男だ。

 夏休みの宿題である読書感想文を、〇年〇組だけ書き換えてバレずに小学校、中学校を卒業した男だ。

 文章力には縁の無い人生を送る予定だった。


 それがヘルニアとは違う、原因不明の腰痛で人生が大きく変わってしまった。

 俺はソレが悔しくてたまらなかった。

 今までの経験が全部パー?


 ふ ざ け る な ッ!


 どれだけ泣きながらピアノの練習をし、血と汗と骨折しながら空手の修練を積んだと思っているのだ!?

 他にも水泳、野球、陸上など、最終的には格闘技の血肉になるように頑張ったのに全部パーだ。

 高校生の時には、ブロック殴り粉砕し、バットも蹴り折るまで鍛えたのに全部パー?


 本当に! ふ ざ け る な ッ!


 その経験が無駄になるのが嫌で、経験が活かせるであろう演劇を習ったりしたが、超一流にはどうしても勝てなかった。

 演劇は本当に新鮮で新しい世界を見せてくれたが、俺には何かが足りず、一流にはなれなかった。

 そうなると、演劇の経験も無駄にしたくない。


 だから小説は最後の賭けだった。

 もう小説以外に経験を活かせる場を思いつけず、人生最後の賭けに出て、俺は賭けに勝ったのだ。

 作文嫌いが文章を書いて、漫画化まで漕ぎつけたのだから人生、本当に不思議なものだ。


 とにかく、ようやく、人生を活かせる事に出会えたのだ!


 だから――

 自分の作品が――

 掲載されている――

 販売サイトを――

 ニヤケ顔で巡るのは――

 見逃してほしい――


 ここまでは気持ち悪く鬱陶しい話だ。


 問題は、そのサイト巡りだ。

 何のバチが当たったのか?


 とある販売サイトの広告をうっかり触ってしまった。

 まぁ、別に広告は消せばいい。

 ピンが抜けない詐欺広告でも構わない。


 だが……ウィルスは想定外だった。


挿絵(By みてみん)


 けたたましく鳴り響く警告音に、女性アナウンスによる解除方法の説明、次々とポップアップされる、良く分からない表示。

 そして、目立つ電話番号。


 とはいえ、こんな所に電話して解決を頼む程、俺は愚かではない。

 俺はすぐさまパソコンをシャットダウンした。


 ふぅ。

 書籍サイトに詐欺広告? そんな事があり得るのか? あり得たのだから仕方ない。

 何て油断ならない世の中だ!

 世界情勢からして、これも(くち)シアの()(いち)(せん)ンのせいか!?


 などと憤っていたが、冷静になって気が付いた。


 違う!

 仕方ないじゃすまないぞ!?

 出版社に迷惑かけたらどうする!?

 漫画のデータが全て入ったUSBメモリーもPCに繋がっていたんだぞ!?


 いや、俺のマンガだけがダメになるならまだ良い。

 メールを通じて出版社にまで感染させたらどうなる?

 他人様の作品まで全部クラッシュかッ!?


 損害賠償何億だ……?

 俺は叱責と打ち切り覚悟で出版社に連絡した。


 その間にも様々な事を調べ、調べ、調べ、調べ、調べ、調べ――


 サポート詐欺である事に気が付いた。

 緊急性を煽って金銭を騙し取る、対処は画面の消去で済むだけの比較的安全な詐欺だ。

 幸い、パソコンの自己診断でウィルスの危険性も確認できるタイプの奴だった。


 ここでようやく一安心した。

 だが、出版社の担当編集者様には激怒覚悟で電話にて謝罪した。

 まだ100%安心ではないのだ。


「あぁ、大丈夫ですよ。扱っているモノの性質上、とんでもなく強力なウィルス探知駆除システムが入っていますので」


 俺は膝から崩れ落ちた。

 心の底から安堵し、改めて怒りが湧いてきた。

 今なら、かつての様に拳でブロックを粉砕し、蹴りでバットを折れるかもしれない。


 皆さんも気を付けてほしい。

 違法サイトを開いて感染したなら本当に自業自得だが、健全なハズのサイトでも、広告には悪意が潜んでいるかもしれないのだ。


 こんなのは、今の若者には当然の知識だって?

 オジサンは初めて知りました……。


 お陰で、寿命が縮む所ではない『焦り』というジャンルの経験では、ブッチギリ一番の経験をさせてもらい、小説のネタとして昇華し、注意喚起を願い、お茶を飲んで溜息をつこうと思います。


 最後に、今一度警告してこの短編小説を終わりにします。


『悪意はどこにでも潜んでいるのだ――』

本当に気を付けて……

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― 新着の感想 ―
こういうの本当に許せませんよね てめぇらが小銭稼ぐためにどんだけ迷惑振り撒いてんのかと! それはそうとバット折りすごいです!
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