新たなる脅威
強仕の頃の丈夫が地に寝そべっている。被っている兜は、牛のような二本の角を備えていた。整った顔立ちに一寸ほどの髯を垂らし、戦袍に軽鎧を纏い、肩に黄色の巾を羽織って胸元で結んでいた。
「劉辟さま、被害は死傷者が五百程度ですね。これくらいで済んでよかったよかった」
額を黄色の巾で鉢巻いている。調べを終えた若者は微笑を浮かべると、寝そべって目を瞑ったままの劉辟に告げた。
許塢にほど近い山中が根城だった。春が近づいてから南方の汝南郡より北上し、根城にしたばかりだった。
横たわった劉辟の脇では、何儀と黄邵が地に頭をつけて土下座している。
「相手のことをろくに調べもせず、欲に負けて勝手に兵を動かしたんでしょう? 何儀さんと黄邵さんらしいなあ」
黄色い鉢巻きをした若者が、皮肉な笑みを浮かべて何儀と黄邵を見下ろした。
「勝手に兵を動かしたのは悪かったがよ、龔都からもお頭に何とか言ってくれよ」
顔を上げた何儀が、懇願するように黄色い鉢巻きの龔都を見上げた。
「そうだよ。見たこともねえ巨大な砦に驚いただけだ。次は失敗しねえ。だから、許してくれよ、お頭」
黄邵も顔を上げて口早に弁明すると、横になっている劉辟の足がピクリと動いた。
「……巨大な砦、ですか? はて? この辺りに砦などありましたかね?」
小首を傾げた龔都に、何儀と黄邵が交互に応じた。
「以前は、あんなものなかったはずだ」
「ああ。邑を丸ごと砦にしちまったみてえだ。農民が城壁の上から矢で応戦しやがる」
「それに、滅法強い化け物みてえな巨漢もいたしな」
「間違いなくお宝があるはずだ。でなきゃあ、邑をあんな高え壁で囲ったりしねえ」
「――――⁉」
突如、何儀と黄邵、そして、龔都の三人は、目を剥いて息を飲んだ。
弾かれたように半身を起こした劉辟が、食い入るように何儀と黄邵に顔を近づけて言った。
「その話、もっと聞かせろ」
劉辟の相貌には、残忍な笑みが浮いていた。




