第11話 胸に刻むルミの声
事件発覚から数日後、SNSでは「Luminous(=IRISのファン名)」たちの声が飛び交い、応援の声や心配の声、時には過激な反応も混ざり、メンバーの心に複雑な波紋を広げていた。
<IRIS、管理甘すぎじゃない?ルミナスとして悲しいよ…>
<ルミだけど、私物盗まれるなんてショック……もっと守ってあげたい>
<被害に遭ったメンバーがかわいそう。ルミナスみんなで何かできないかな?>
<またサセンが暴走?ルミとして節度を持って応援しよう>
<こういうニュース聞くと、IRISも普通の人間なんだなって実感する>
一方で、過激な一部ファンや無責任な匿名アカウントからは、冷酷な声が投げつけられた。
<“守るべきもの”とか綺麗ごと並べてないで、芸能人なら盗まれないよう管理くらいしろ>
<シャツ?イヤホン?そんなの取られて泣いてるとかマジでプロ失格>
<人気商売なんだから、モノが狙われるのも自己責任でしょ>
<ルミナス気取るなよ、アイドルにとってファンなんて都合のいい財布だろ>
<守ってくれ?まずは自分たちでやることやってから言ってくれよ、IRIS>
<これってさージュンが初W主演の番宣だったりして・・・炎上商法ってやつ?>
その言葉の一つ一つが、彼らの胸に突き刺さった。
だが、それ以上に心を支えてくれたのは、静かに寄り添おうとする本当のファンたちの声だった。
<IRISのこと、信じてるよ>
<何もできないけど、私たちルミがついてるから>
控室のソファに座っていたジュンは、スマートフォンの画面を見つめながら小さく息を吐いた。
「……そんな声をくれるルミが一人でもいるなら、それだけで……胸の痛みが少しだけ和らぐ気がする」
隣のハユンが静かに頷いた。
「俺たちはひとりじゃない。忘れたくないな」
不安と怒りと悔しさを飲み込み、彼らは前へ進むことを決めた。
登場人物
桜 20歳韓国へ語学留学中 純とは遠距離恋愛中
純 建築学科3年
韓国人気アイドルグループ
IRISメンバー
テフン IRISリーダー ジュンと双子
ジュン テフンと双子
ミンソク 末っ子
ハユン 最年長