プロローグ〜ヴォルガ=ポールカ
新しく書かせていただきました。試験的なものです。一応 展開は考えております。よろしくお願い申し上げます。
爆発音とは、心に響く残像。
腹の底まで響いたそれは俺の心の中で消化され、液体となったそれは、脳天の方向に向けて飛散していくようだった。
ひとしきり爆発音が響いた後、静寂が訪れるのだった。
レイザー・キャノン閃光は瞼の裏で残像となって暫く目眩を起こさせた。
ヴォルガ=ポールカは、ふうと息を吐いた。
硝煙の向こうには何も見えなくなっていた。
A.M.(アーマード・モジュール)は爆散して消滅して、煙と化したのである。
二足歩行形態で突撃してきたA.M.には、正面部を制圧するための散弾機銃が装備されている。A.M.の散弾機銃は、前面の敵に対して左右に拡がる形で、複数の銃弾を同時に発射することが可能だ。
ヴォルガ=ボールカは、その散弾を、大きる右にやり過ごす形で回避しつつ、A.M.の卵型のボディに対して照準を定めつつ、電気熱線銃のトリガーを引いたのであった。
熱線がA.M!の銀色の機体を照射し、焼き切ったのだ。
さて、取り敢えずも迫る吃緊の脅威は排除したこととなった。
しかし、新たなる敵がすぐに現れるだろうことは分かり切っていた。ヴォルガは息をひとつ吐くと、すぐに歩き出した。今までA.M.が立ち塞がっていたその空間に向けて。
舗装もされていない土が剥き出しの地面には、成人男性が余裕で入り込める程の大きさの穴が空いていた。
穴は今空いたといえより、前からそこにあって、その前に立ち塞がるようにA.M.が居たから見えていなかっただけのように思えた。
ゲームの世界の中ではよくあることだ━━。
ヴォルガは思った。そしてまた思う。
レトロだ━━。
同じゲームの世界でも、それはレトロな VR ゲームの仕様によく似ているように思えた。全てが古臭いのだ。
グラフィックの 粗雑さ。それは単に画素数の問題であろう。
テクスチャーの表現が限界値を感じさせ、どこか 質感の滑らかさにかける。動きの滑らかさにも問題はあった。CPU のメモリの問題か?
そう。これはどちらかといえば レトロゲームと言われる 部類に入るゲームの世界観である。
ヴォルガは舌打ちした。このようなゲームはあまり好きではない。どうせなら最新式の滑らかなゲームをしたいものだ。そう思えてならない。
リアリティに欠けるのだ。緊迫感が足りないのだ。通痛覚刺激を与えてこない。味覚を操作しようとしない。嗅覚にも連動していない。
レトロゲームだ。
ヴォルガは、白けかけていた。
どうせ VR ゲームの世界に迷い込むのなら、もっと、リアルの極致のような世界を味わいたかったのだ。
そんなことを思っていた時である。
ごう、という爆音が遠くに響いていることに気づいた。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。