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目覚めたら公爵様が裸で隣に!? ムチ系男爵令嬢、任務失敗の気配です!

作者: 大井町 鶴

短編11作目になります。今回は、ちょっとお色気ありのドタバタしたお話です。(生々しくはないので、年齢制限はつけてませんが、もし、“マズいんではないかい?”ということであれば、お知らせ頂けると助かります(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ それではどうぞお読みくださいませ(´._.`)コク

ステラは愛用のムチをドレスの内側にしまった。


「ふう、疲れたわ....」


ソファにだらしなく横たわる男をチラリと見る。今日の男は、ムチで打たれると恍惚とした声を上げて喜んでいた。


(ホント、変態って気持ち悪い)


自分でムチをふるっておいてなんだが、ムチに打たれて喜ぶなんて変態だと思っている。


..........ステラは怪しい職業に就いているワケではない。かといって彼女の性的嗜好でもない。


彼女がムチを振るうのは、実家が裏稼業をやっているからだ。ステラの実家であるタブレ男爵家は、もともと裏稼業の成果を王に認められて男爵位を頂戴した家だった。ゆえに王家の依頼を受けては、王家に邪魔な存在を排除している。


ステラは王家に仕えることを誇りにしていたから、いつも迷いなく仕事をこなしていた。だが、ある日、やってしまったのだ。


………朝、起きると、ターゲットである若公爵がステラの横で真っ裸のまま、すぅすぅと寝息を立てて眠っていた。


(ターゲットがまだ生きてる。しかもなんで裸?............というか、私は眠ってしまったの!?)


ステラはパニックになった。もうすでに夜が明け始めている。ターゲットは死んでいない。


(どうする!?今から殺す? あれ?ムチは?ムチがない!)


ムチはふるうだけでなく首を絞めたり………色々と便利な道具だ。その愛用のムチが見当たらない。


(コイツが隠した??)


そこらへんを探すがムチが見つからない。こんなに必死にムチを探しているというのに、ベッドではターゲットの若き公爵レイモンが平和そうに寝ていた。ダークブロンドの髪が目元に垂れていて色気まで漂わせているじゃないか。


(キレイな顔だから殺すには惜しいと思ったけど。まさか朝まで仕留めず眠ってしまったなんて!)


とにかく、このままここに留まり続ければ人もそろそろ起きて来るだろうし、マズすぎた。しかも、昨晩、酒を飲んだせいで頭が良く働かない。昨晩の詳細を思い出そうとしてもモヤがかかったように思い出せなかった。


(……万全な状態で殺らなければ失敗するかもしれない。コイツが起きる前に去らなきゃ)


ステラは去ろうとして自分の状態に気が付いた。


素肌に男物のシャツを羽織っている。シャツは状況からしてこの男のものだろう。


(は!?ナニコレ!?.........し、下は!?)


急いで確認すると、下半身は下着こそ身に付けていたが脚がむき出し状態である。


(私、コイツとまさか……。コイツも素っ裸だったし........)


冷や汗を流しながら一生懸命記憶を辿るが、やっぱり頭がモヤモヤして全く思い出せない。


(とにかく!去るべし!)


ステラは急いで散らばっていた自分のドレスを身に付けると、急いで現場を去ったのだった。


…………そして、自分の屋敷に戻ったステラは父の前にいた。


「どうした?朝に戻るなど、今まで無かったではないか」

「に、任務に失敗してしまいました……。ターゲットはまだ生きています」


父は観察するようにステラをジロジロと注意深く見た。


「あ、あの、どうしましょうか?」

「……私が何とかするから良い。もう部屋で休め」


そう言うと、父は去って行った。


今回のターゲットであったレイモンは、ネウム公爵家の若き公爵だった。彼の父は基盤を整えると、レイモンに爵位を譲って領地に引っ込んでいた。領地に引っ込んでも権力は健在で、裏から色々と指示を飛ばしていると言われている。


ステラは自室に戻るとまずは身体をサッパリとさせようと用意されていた湯舟に浸かった。身体のチェックもする。


(ターゲットはレイモンで22歳。私よりも2歳年上の文武両道で社交界でも美男子で大人気の男……)


ステラも舞踏会でレイモンのことをよく見かけていたが、彼はいつも人に囲まれており、特に令嬢達にチヤホヤされているのを見て、快く思っていなかった。調子に乗っているように見えたのである。


昨夜の舞踏会もいつものように令嬢に囲まれていたレイモンだったが、変装したステラが近づくと下から頭のてっぺんまでステラをジロジロと見てきた。


(こんなに女性をジロジロと見るヤツが人気って皆、おかしいのでは??)


そんなことを考えていると、レイモンが令嬢達から離れてステラの元に寄って来た。


(来たわね。いやらしいヤツ)


ステラのドレスは身体のラインが出ていて煽情的だったから、下心がある男はすぐにホイホイとやって来るだろうとは思っていた。


(やっぱり男ね)


ちなみに、任務では大胆なドレスを着るが、普段は裏稼業を知られないためにも清楚なドレスを着ている。そもそも、可愛いドレスは自分の趣味であったし、仕事用のドレスは全く好みじゃない。だから、男達が釣られて寄って来るとは分かっていても、こういったドレスは好きになれなかった。


近寄って来たレイモンはさっそくステラを口説き出した。


「キレイなレディ。初めて見る顔だ。お名前は?」

「私はエステルですわ。若公爵様ってとてもハンサムですのね。見つめられただけで身体が熱くなってしまいますわぁ」


意味ありげに微笑めば、すぐに狙い通りの展開になった。


しばらく会話をした後、”2人きりで会話でも”と言われ、舞踏会場から少し離れた客室になだれこむことになった。扉が閉まると同時に、その気になったレイモンがブチュブチュと口づけしてきた。


(ちょっと!がっつき過ぎなのよ!!)


レイモンの胸を手で押して離した。


「若公爵様、まずはワインを飲みません?雰囲気って大事ですわよ」

「ああ、そうだね。ゴメン、君が美しいから焦ってしまったよ」


そこからしばしワインを飲んだ。チラチラとレイモンの様子を見るが、彼は変わりなくワインを飲み続けていた。ワインにはあらかじめ、睡眠剤を入れておいたというのに酔いつぶれる気配がない。いつもなら、その気にさせた男を酔い潰したところでお命頂戴という具合である。


(なぜ、眠らないのよ!仕事ができないじゃない!)


仕方なく、ステラは次の作戦へと出た。愛用のムチをドレスの内側から取り出すと、怪しく微笑む。


「.....こういったものを使って遊びません?」

「それは……ムチだよね?どうやって使うつもり?」

「どう使いましょう?」

「えーと、ムチで叩かれるのはイヤだな。縛られるのはいいかな」


レイモンはノリノリで手首を自ら差し出した。


(ムチで縛られたいなんて、とんだ変態野郎め)


妖艶な微笑みを顔に貼り付けながらも内心、毒づいた。


どうせ縛るならと、レイモンをベッドに押し倒してベッドボードの格子に手首を縛り付けてやる。


「これからどうするの?」


手首を頭上で縛られ興奮した様子でステラを見上げるレイモンは“興奮しちゃう”とか、気持ち悪いことを言ってくる。


「そんなに話していては、雰囲気も台無しですわよ」


仕事がやりにくいのと気持ち悪いのとで、レイモンを黙らせたいステラは口の中に仕込んでいた小さな固まりをガリッとかみ砕いた。すぐにワインを口に含むと、レイモンに口づけて口の中に薬を流し込む。無味無臭だから気付かれることはまずない。薬の中身は強力睡眠剤だ。


(よし、これですぐにでも眠るはず)


安心しかけた時、レイモンの手が急に伸びてきてステラの後頭部を押さえつけながら情熱的なキスをされた。口の中に流し込んだワインが逆流してくる。


「君もワインを一緒に味わおうよ」


そう言うと、レイモンはご丁寧にステラの鼻までつまんでゴクリとワインを飲ませた。


(この野郎!ちょっとだけ睡眠剤入りワインを飲んでしまったじゃないの!)


急いで吐き出したがやっぱり少し飲んでしまった。


「ちょっと!苦しいではないですか!」

「ああ、可愛い!」


レイモンはステラの抗議が聞こえないのか、ステラを見てウットリとしている。


(この野郎!何してくれる!)


怒りの表情が顔に出そうになったが任務のために必死に微笑んだ。だが、微笑もうとしているのになんだか顔が麻痺したようにうまく動かせない。


(やっぱり睡眠剤の影響が............!)


そこで意識は途切れたのだった。


(あそこでまさか眠るなど。とんだ失態だわ)


浴槽に浸かりながらひたすら反省する。一応は、プロの殺し屋なのだ。プライドがある。


(失敗はしたけど、こちらの正体には気付かれてはいないはず。カツラも被っていたからこの特徴的なプラチナブロンドの髪色も知られていないだろうし。メイクだって落ちていなかったわ。それにアイツも朝まで眠りこけていたんだから睡眠剤を飲み込んだに違いない)


それにしても、あいつはいつ服を脱いで素っ裸になったのだろうと不思議に思う。最初は焦ったが、入浴した時に自分の身体はチェックした。なにもなかったはずだ。


そんなことを考えながら食堂に朝食をとりに行くと兄がいた。兄は荒っぽい暗殺担当をしている。


「お兄様、おはよう」

「失敗したらしいな」

「いきなりそれ?」

「ほかに言うことあるか?」

「私に優しくないわ」

「そんなことない」


兄妹で静かに言い争っていると、父と母が食堂に入って来た。ちなみに父は謀略担当、母は情報操作担当であった。


「ステラにさっき、急ぎの手紙が届いたわ」


母のリンダが手紙を掲げた。母の表情が険しい。


「誰から?」

「ネウム公爵家のレイモン様」

「えっ!?」


急いで母から手紙を受け取り、中身を確認する。


「…………今日の午後、屋敷に来いと書いてある」


青ざめた表情でステラが言うと、父達はあれこれどうするべきか話し合い出す。


「ステラ、ここは言われた通り、まずはネウム公爵家に向かうんだ。何の目的で呼ばれたかはまだハッキリしていないのだからな」

「……はい、お父様」


すぐに用意すると、ステラはネウム公爵家へと出発した。馬車から降り立つと、建物の端は一体どこなのだろうと思うほど、立派な屋敷であった。


応対した使用人に豪華な応接間に案内されると、フカフカな椅子に座るように勧められる。すぐにお茶やお菓子も用意された。


(レイモンはどうして私を呼び出したのかしら。私とレイモンは直接の面識は無いのに)


今日は淡い水色にレースがついた清楚なドレスを着ている。昨晩のドレスとは真逆のデザインだ。


(私の正体など気付いているわけがない。変装をしていたし、彼だって睡眠剤を少しは飲み込んでいるはずなのだから。私が去ったのに気付いていなかったし。大丈夫よ)


だから堂々としていればよいと、自分に言い聞かせる。しばらくして、レイモンがやって来た。なんだか笑顔だ。


「突然、呼び出してすまない。君と話してみたかったんだ」

「はあ………私は若公爵様とは面識はないはずですが」

「若公爵などと呼ばずにレイモンと呼んでくれ」

「では、レイモン様と呼ばせて頂きます。それで、どういったことで呼ばれたのでしょうか?」


ステラは早く帰りたい気持ちもあり、早く話を進めようとした。


「まあまあ、焦らずゆっくりと話そうじゃないか。“雰囲気って大事”だしね」


レイモンの言葉にステラがピクリと反応する。


(昨晩、私がした言い回しと同じ……)


「僕は舞踏会で男達の関心を集めている君ときちんと話してみたかったんだよ」

「はあ.......」


ステラは美しくて優雅、プラチナブロンドの髪が見事だったから男性から声をかけられるのはそう珍しいことではない。むしろ、慣れている方かもしれない。だが、普段はかなーりお淑やかに振る舞っているので男性の誘いに乗ることはない。いわゆる高嶺の花キャラなのだ。


「お話ならば舞踏会で声をかけてくださればいいのに」

「うーん、僕も意外と人気があってね。舞踏会に行くと大抵、女性に囲まれてしまうのさ」

「確かに令嬢にいつも囲まれてらっしゃいますものね」

「だから、こうして呼び出してみた」

「............」


レイモンの言うことは分からないでもないが、一度も話したこともない女性をいきなり呼び出すなんて非常識だと、非難の目でレイモンをジロリと見る


(呼び出したのは、ただの興味心?)


「君は高嶺の花と言われているが、意外な趣味があると知って僕は驚いたなあ」

「意外な趣味?私に?」

「心当たりない?」

「..........ないですわ」

「本当かなあ」


そう言うと、レイモンは胸元からあるものを取り出してテーブルに置いた。ステラは目を剝きそうになった。............置いたものはムチだった。


「……これは何です?」

「これはムチだよ。君に馴染みのあるものだよね?」

「馴染みなんてあるわけが............!失礼ではないですか!」


動揺を隠しながら抗議する。彼は平然と............いや、むしろニヤニヤしていた。


(アレはまぎれもなく私のムチだわ)


「そんなモノを見せるなんて、私をどうしたいのです?..........まさか、それで私と遊ぼうとでも?」

「それはいい」


レイモンの言葉にギョッとした。


「でもねぇ、僕は今朝まである女性といてちょっとばかり疲れているんだ。枕元にムチが落ちていてからぜひとも君と試したかったのだけどね」


(..........コイツ、変態じゃん)


レイモンはゴソゴソと胸元からハンカチを取り出した。ハンカチを広げて何やらつまんでいる。


髪の毛であった。髪の毛はプラチナブロンドに輝いている。


「これは君の髪色と一緒だ。枕元に落ちていた」

「プラチナブロンドは確かに珍しいかもしれませんが、だからと言って私とは限らないでしょう。それに、私だって舞踏会に出席していたんです。どこかでついてしまったのが落ちたのかもしれませんし」

「...........なかなか認めないね」

「だからなにを言っているのです」


ステラは表面上は取り繕って平然とした顔をしていたが、心の中では完全に動揺していた。


(レイモンは私が朝まで過ごした女性だと確信している.........?状況から見てそうよね)


「その平然とした顔がまたいいね」


表情に出さない訓練は習得済みだ。心の中は動揺しまくりである。


「からかわないで頂きたいですわ」

「君さ..........帰宅してから自分の身体をきちんとチェックしてみた?」

「は?どういう意味ですの?」


レイモンの顔がニヤけている。............うす気味悪かった。


「胸元、胸の下をトイレで確認してきたら?」

「胸の下?」


身体なら今朝、入浴した時にチェックしたが胸の下までは確認していない。そこになにがあるというのだ。


「あの、先ほどから色々と言われていますが、どなたかとお間違えなのではないですか?レイモン様がどんな方とどう過ごされても私に関係ないことですし、気持ち悪いことを言わないで下さい。とりあえず、私、目にゴミが入ったようですので、直して参りますわ!」


気になったステラは、それらしき理由をつけてトイレに向かった。決してレイモンがとんでもないことを言ったせいではないのだと強調して。


「どうぞどうぞ。暑かったらドレスを脱いでみたら?身体の確認もできてちょうどいい」


気持ち悪い言葉を笑顔で受け流しながら部屋を出た。


(マジで気持ち悪いんですけど!)


ズカズカとトイレに向かうと、個室に入りドレスを脱いだ。言われた通り、胸の下をよく見る。


(なんだこれ!!)


ステラの豊満なバストのアンダー部分にはキスマークらしきものが付けられていた。


(これ..........ウワサのキスマークよね?)


紛らわしい仕事方法をしているステラだが、実際のそういった経験は無い。ただ、どういうことをすればどういった現象が起きるのかは知っている。


(ヤバイ。あの男はどういうわけでこんなところに印を付けたのか知らないけれど、私が相手だったと確信している。............私がヤツを殺そうとしていたこともきっと気付いている!)


そう考えたステラは血の気が引いた。ここは一先ずこの屋敷を脱出することが先決である。


(...........近くに人はいない。よし、あの窓から逃げよう)


素早く廊下の窓に近づくと窓を開けた。


「あれぇ~?どこに行くの?さっきいた部屋はあっちだよ」


背後にはいつの間に近づいて来ていたのかレイモンがいた。背筋にヒヤリとしたものが流れる。彼の手が伸びてきて開けた窓を閉められた。そのまま窓に縫い付けられる。


「あの、その、外がキレイだなと。窓を開けてよく観たかっただけですわ」

「ふうん。胸、見てきた?」


レイモンのギラリと光る目は‟逃がすか”という表情をしている。


「...............あなたは私をどうしたいのです?」

「取って食べようかな」

「殺す前に私を襲うということですか?このゲスの極みめ!」

「いやだなあ。僕は君を殺すなんてしないよ。ただ、僕とある約束をしてもらいたい」

「約束?」

「というわけで、出かけよう」


レイモンは茫然とするステラの腕を取ると、馬車寄せへと連れて行く。


「どこに行くのです?」

「ヒミツ。.........ああ、行くまでちょっと目隠ししておこうか」


レイモンはポケットチーフを胸元から取り出すと、ステラの目が見えないように目隠しをした。


「なぜ目隠しを?」

「その方がゾクゾクする」


(この変態野郎め!...........きっと私を警備隊に突き出すつもりだろう)


逃げようとしたが、手も後ろでに縛られる。...........どうしようもないと分かると恐怖で震えた。レイモンはステラに構わず楽しそうに鼻歌など歌っている。


しばらくして馬車が停まると、ステラは抱き上げられた。


「自分で歩きます!」

「目隠しをして手も縛られていたら歩きにくいだろう?」


抵抗したものの、意外と力が強いレイモンには敵わず、抱きかかえられたままどこかに連れて行かれる。


「さあ、着いた。ここに座ろうか」


柔らかいソファのような所に降ろされた。やっと縛れていた手が自由になる。目隠しも取り除かれた。


視界がハッキリとしてくると、驚くことに目の前には不機嫌そうな父がいた。母や兄の姿も見える。


「.............これは一体!?」


ワケが分からず混乱する。


「やあ、驚いた?」


微妙な雰囲気が漂っているのに、レイモンが空気を読まないような明るい声で言った。


「ワケが分かりません。一体なにが起きているのですか??」


警備隊に突き出されると覚悟までしたというのに、実家にいるとはどういうことだ。


「レイモン様!娘に馴れ馴れしく触れないで頂きたい!抱きかかえて来おって.....!」


父が怒っている。


「え~?もうそれ以上も触れたよ。いいじゃないか。これから僕が..........」

「ぬわんですと!?約束でも順番!順番というものがあるでしょうがあ!!」


父は完全にブチ切れていた。


「約束?順番?」


困惑するステラに父が説明をする。


「...........レイモン様は実は組織を束ねる方だ。そうでもなければこのバカげた計画を許すこともなかったわい!!」

「レイモン様が組織のトップ?王家に敵対しているのではなく我々の長だと?」

「そうだ。ここからはレイモン様に責任を持って説明して頂こうではないか!」


父の方が立場が下であろうに、有無を言わさない雰囲気だ。


「あー、僕はステラの評判を聞いてずっと気になっていたんだよ。だけど、組織内の者があまり親し気に接触しない方がいいから近づかなかった。..........なにより僕は君に話しかける勇気が無かったんだ」

「それで任務に見せかけて私に接触したということですか............?」

「そう!」


ニッコリとレイモンがする。


「なんと紛らわしいことを!ヘタをすれば私はあなたを殺していましたよ!」

「ごめんごめん」

「ごめん、で済む話じゃありません!」

「まあまあ。こうして種明かししたわけだし、君には約束してほしんだ」

「私、被害者ではないですか?なにを約束しなくてはならないんですか?」

「君は僕と結婚するということだ」

「は............?」


なぜ、そういうことになるのだと、理解ができない。好意があるということは分かったが、それがどうしていきなり結婚になるのか。


「僕は絶対に君を手に入れたかったから、いろいろと手を打った。朝、君は自分の姿を見て驚いたはずだ。それに印もあっただろう?」


朝、起きるとほぼ裸の上にレイモンのシャツを着せられていた。確かに胸に印も付けられていた。だが、今朝の入浴時に大事な部分をチェックしたら大丈夫だと確信したのだ。それを違うというのか??


「まさかあなたは私を本当に??ヒドイです!!ケダモノ!!!」


ステラが大声で叫ぶと、レイモンが慌てた。


「レイモン様、まさか娘に手を出したのですか!?約束しましたよね?結婚するまではそういうことは許さないと。しかも、娘の意識が無い状態で......?なんてことをしやがるんだっ!」


父がどこから出してきたのかレイモンに剣を突きつけた。


「違う!!!さすがに違う!!そう勘違いさせて断らせないつもりだっただけだ!」

「え!?」


レイモンはステラに恋焦がれるがゆえに、強引に結婚までこぎつけようとあれこれ紛らわしいことをしたのだった。


彼は、ステラが眠ってしまうと、自分も朦朧としている中、ステラの服を脱がせてなにかあったかのように胸の下にコッソリとキスマークをつけたと言う。一線を越えたとなれば、彼女も諦めて自分と結婚するしかないと考えたらしい。ちなみに、胸の下などという判断は彼の変態的な判断によるものみたいだ。


「だからって服を脱がすなんて!裸を見たなんて!印をつけたなんて!色々と横暴!!!」

「ごめんなさい、ごめんなさい!!!..................でも、正直、ヨコシマな気持ちを抱くどころじゃなかったんだよぉ!!!」


彼は強力睡眠剤のせいで、まぶたが半分閉じた状態で工作をしていたらしい。


「...............いろいろと方法を間違えたけれど、僕と結婚して下さい!見捨てないで!」

「言いたいことはたくさんあります!簡単に許せることではありません!それに、まったくロマンチックではありません!.............でも、あなたはボスであって、私はあなたに裸を見られたわけです」

「ということは............前向きに考えてくれるんだよね?ありがたいです!!」


レイモンは涙を流して喜んでいた。


...........レイモンとはそれ以降、なんだかんだでデートする機会を設けて会っていた。会う度にプロポーズしてくるので、ステラもだんだんと軟化して婚約を承諾することになった。


「私、結婚するなら好きになった方と結婚したいんです。だから、あなたは私を惚れさせなければなりません。しっかりと努力して下さいね」


今やステラの言いなりに近いレイモンはコクコクとうなずいたのだった。レイモンは正統派な求愛をするようにステラに教育されていたのである。


(レイモン様は組織のトップだし、顔も良い。変態っぽい.........変態だけど)


「ステラ、花束のプレゼントだよ」

「あら、まともになってきましたね」


バラの花束を受け取る。香りを吸い込むととても良い香りがした。


「こういう王道のスタイルが一番の方法だったのかあ」

「そうです」

「だけどね、僕は早くムチを使って仲良くしたい。あ、僕は縛られるのがいい」


そっと耳元で囁くレイモンはやはり変態であった。でも、そんなレイモンを扱うのがだんだんと楽しくなってきているステラもいた。


(結局、なんだかんだでお似合いだったのかもね、私達)


これからどうやってレイモンを調教してやろうかしらと、密かにワクワクしてくるステラであった。

カッコイイ、ヒーローじゃなくてすみません


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