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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

文芸やコメディ等 短編集

『僕と記憶の桜の木』 シナリオ調 ※中学生ごろの作品

 主人公は高木優、十八才。短い黒髪はいじった様子がなく、どこか清潔な印象を受ける。

 優は学校の裏庭(桜の木が二十〜三十本植えられている。)の桜の木下で目が覚めた。


 優|(僕は何で桜の木の下でなんか寝てたんだろう?)


 優は起き上がり制服をはたきつつ校舎へと向かった。

 H.R、1〜3時限などが終わり、4時限目の国語が始まった。桜を題材とした小説を先生が朗読し始めた時、優は自分の頭が痛み出したのに気づいた。


 優|(何で突然頭痛なんて……)


 4時限目が終わり、昼休みになった。クラスメイト達に誘われて、僕は裏庭の桜の所で昼食を食べる事担った。桜のき(優が寝ていた木)の下で昼食を食べつつクラスメイトが口を開いた。


 未香|「この桜の木、去年位からすごく綺麗に咲くよね。』

 武志|「恐えーくらいにな。」

 沙夜|「まるで誰かの命を吹き込んだみたい。」


 クラスメイトのそんな会話を聞いて、優の頭はまた痛み出した。


 沙夜|「雰囲気変わったよね。」

 武志|「この木だけな。」

 未香|「なんか、冷たくて哀しい感じ……。」


 優の頭痛はさらにひどくなる。脳裏に誰かが人を殺している情景の断片がランダムに広がった。


 優|(これは……嫌だ。何だか分からないけど嫌だ。…………やめてくれ。……やめてくれーーーっっ!)

 |「うわああああっ!」


 突然優は叫びながら学校を飛び出す。

 気づくと優は家の前に立っていた。


 優|(さっきのは何だったんだろう……。あれは……。考えても仕方ないか)

 |「ただいまー、母さん。学校で頭が痛くなっちゃって……?!」


 言いかけて優は驚く。家の壁という壁に「桜」と書かれた紙がはりめぐらされていたのだ。優の頭痛は一層ひどくなる。優は自分の鼓動が速くなっていくのを感じた。

 台所へ行くと、壁に血のような赤いペンキで「桜」と書かれていた。それを見たとき頭痛はピークに達し、優は倒れる。


 優|(思い出した……。僕はあの木の下に死体を埋めたんだ。二年前のあの桜の木の下に…………)


 二年前。高校に入学仕立ての頃。優は成績トップで入学したにもかかわらず、成績が思わしくなくなっていた。優の将来を期待していた母親は正気じゃなくなっていっていた。


 母親|『暇があるなら勉強しなさいよ!この頃いつも遅くなって、御前様じゃない。煙草は吸わないでっ!嫌いなの知ってるでしょ!?」

 優|「母さんっ!僕だよ。父さんじゃない、優だよっ!」

 母親|「ああ、優。」

 優|「そうだよ母さん、優だよ。」

 母親|「いい子ねぇ、優ちゃん。ママまた褒められたのよ、礼儀正しいお子さんですねって。」

 優|「……母さん……。」


 優の成績不振と夫の浮気とで、母親は壊れてしまっていた。母親にはもう幼い頃の従順だった悠人、彼女を顧みない夫の幻しかみえなくなっていた。言葉も支離滅裂を極め、誰に言ったものか判断できないありさまだった。そして決して現在の優を認めようとはしなかった。優は耐えた。今はこんなだが昔はそれでも優しい良い母親だったのだ。昔の母に戻るかも知れない。優は切望して止まなかった。だが希望は絶望へと変わる。


 優|「ただいまー。」

 母親|「お帰りなさい、あなた。……今日学校から電話があったのよ。「お宅のお子さんが最近学校に来ないのですが何かあったのですか。」ってね。どうせあの女でも囲ってそこに入り浸ってたんでしょ。……どうしてよ!こんなにもあなたを愛してるのに!!」

 優|僕は優だよ、母さん。実は母さんに父さんと僕からプレゼントが……」

 母親|「いらないわよ!そんなものっ!どうせあの女が選んだんでしょう。そんなものより私を愛してよ!私を見てよ!!」


 その言葉を聞いて優の中で何かが弾けた。


 優|「母さんこそっ、母さんこそ僕をみてよっ!僕はいるのに、僕は昔も今も僕でしかないのに、見ようとしないのは母さんも一緒じゃないかっ!」

 母親|「どうして私を見てくれないの。どうして……」

 優|「……母さん、僕に気づいてよ……」

 母親|「……もしかして、私が女じゃなくて母親になったから……だから私から離れたの?そう、そうだったんだわ!!」

 優|「?!母さん?」

 母親|「私が母親をやめて女に戻れば良いのね。子供は必要なかったんだわ……」

 優|(止めてくれ……聞きたくないっ!)


 優は無意識のうちにテーブルの上にあった花瓶で母親を殴り殺していた。

 我に帰った優は、死後硬直が始まるまでに母親を体育座りにし、ラッピングをして自転車に乗せた。まだ日が沈みきっておらず、死体を運ぶとき何人かに「後ろのそれ何?」と聞かれたが、優は「彼女へのプレゼントなんです。大きなテテディ・ベアをせがまれまして。」と言って切り抜けた。

 そして優は学校へ着いた。裏庭には誰もいなかった。桜の下に穴を掘ると、優は泣きながらラッピングごと母親を埋めた。


 優|「……結局、母さんは僕のこと見ようとはしなかったね。……後悔はしてないよ。疲れてたから……僕がこんなにも好きでいることを無視する母さんに付き合うことに。…………不毛だよな、死体に話しかけるなんて。……サヨナラ、母さん…………」


 優が母親に別れをつげている頃、家には家中に溢れかえらんばかりの赤い薔薇が父親名義で届けられていた。しかしその薔薇は優が学校へ行かずにアルバイトをして稼いだお金で贈ったものだった。優の努力は無に帰したのである。


 優|(僕にとって忌むべき場所なのになぜあそこで寝てたんだろう?)


 意識下で優は疑問をなげかける。しかしその答えを考えているうち、優は深い闇へと呑み込まれていった。


 …………裏庭……。そこには躓いて桜の木の根で心臓を一突木された男の死体が一つ、桜の花びらの舞散るなかに横たわっている。その足下には、彼が躓いたのであろう白骨化した人の手が突出していた。


 優の魂は死んでしまったことを知らずに、まだ幻の中を彷徨っているのだろうか……あの哀しい、かつての現実だった過去の幻の中を…………。




 桜の下には死体が埋まっているんだよ……クスクスッ……。(暗闇に浮かぶ桜・子供の声)




 お読みいただきありがとうございました!

 この作品は、中学の頃に一生懸命ワープロかパソコンかを使って書いたものになります。

 当時そのままに、誤字や脱字や句読点を書き入れています。

 読んでいただいた方の、記憶の中の創作が蘇るといいなと思いつつ、また次のお話でお会いできたら幸いです。

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